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物を手放すときの誠意。写真と文:原田教正 (写真家) #4June 26, 2026
ベルリンからの一時帰国も終盤に差し掛かった2026年の4月上旬、インテリアスタイリストの竹内優介くんの事務所で「STOCK UP MARKET」というマーケットを開催することになった。竹内くんとは年齢も一つ違いで、たまに広告やCMの仕事をご一緒する機会にも恵まれてきたが、あまりゆっくり物について話す機会を持てないまま年月が経ちつつある、そんな頃のことだった。

きっかけは、私が折りたたみコンテナ15箱ほどに収納して保管していた小物類(主に撮影用)の置き場に困っていたことだった。この数年はベルリンと東京、その他にも制作スペースを借りたりで物は増える一方。けれども往来生活が続くなかで、生活や撮影で使う小物たちは出番を著しく失っていた。そんな折、竹内くんが保管場所のことなどでいろいろと手を差し伸べてくれたのだった。
彼が用意してくれた棚に、2人でコンテナから小物を取り出し並べていると、打ち合わせで話すのとはまったく違った気持ちで物についての話題で会話が弾む。「〇〇で買った〇〇の物で〜」、「この〇〇はここが〇〇で〜」とか、「これ僕も同じの持ってるよ」であったり、彼とやっと他愛もなく話せたことに幸せを感じずにはいられなかった。けれども、そうこうしていると今度は棚に収まりきらない物や、これからもっと違う誰かに使って欲しいと思う物なども続々と発掘されていく。「原田くん、この子たちうちの事務所で売ってみる?」僕を見かねた竹内くんの一言から、マーケットの話はトントン拍子で決まった。唯一お願いした条件は、「フリーマーケット」と呼ばないことだった。

「フリマ」という言葉を私はあまり使わないようにしてきた。安売りを謳って手放すくらいなら、潔く親しい誰かやアシスタントに「良かったら使ってみて」と言って譲ってきたし、私にとって本当にいらない物ならば、もはや誰に譲ることも望まない。物は人付き合いが苦手な私にとって、ある意味で友人のようなものだ。だから、なにかしら出合った経緯や魅力を含めて接客をし、その想いをわかってくれる誰かに買ってもらいたい。それは新たな作家、古物、道具と出会う機会になると思うし、何よりも手放さざるを得ない物たちへの誠意だと思っている。結局は手放すのだから、偽善かもしれないけれど。
マーケットに並べた物には、撮影用に買って制作予算の少ない現場に自ら持ち込んだり、駆け出しのスタイリストさんにこっそりと貸し出してきた物もたくさんあった。「本当は日々の中で使ってあげたい」と言いながら、出役に徹してもらってきた物たちだ。並べてから引っ込めたものもある。今度はだれかの日常で、あるいは私の生活のなかで、本当の役目を果たす機会が訪れることを密かに嬉しく思っている。








































