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季節を味わう憩いの場。写真と文:溝口実穂(〈菓子屋ここのつ茶寮〉主宰)#1August 10, 2026
私は、13年前から東京の下町(浅草・鳥越)にて、予約制の店〈菓子屋ここのつ茶寮〉を営んでいます。
〈菓子屋ここのつ茶寮〉とは、四季を感じられる菓子と料理の間(あわい)にある品々を、約2時間のコースで味わっていただく場です。ふだん何気なく口にしている食材も、ちょっとした調理法の工夫や、他の食材との組み合わせ方によって、まだ知らない表情を見せてくれます。食材同士の組み合わせの妙を楽しみ、新たな発見を持ち帰ってもらえたらいいな、と思っています。
そして、この店にはもう一つ、大切にしている目的があります。それは「時間芸術」です。これを説明するには、私が和菓子屋で働いていた頃まで遡らないとならないのですが、頑張って短くまとめるのでお付き合いください。
和菓子屋で働いていた頃、本当に忙しくて目の前の事にがむしゃらで、四季を味わえずに過ぎ去った一年がありました。桜が咲いたことにも気が付かず、幼い頃には当たり前に感じていた、季節が変わるときの街の匂いにさえ気が付きませんでした。
旬の美味しいものにもありつけず、「なんてもったいない一年を過ごしてしまったのだろう」と、ふと我に返ったのです。「でもきっと、こういう人たくさんいるんだろうな」とも同時に思いました。
季節の変化に気が付けなかったことにさえ気が付かない環境で、頑張って闘っている人たち。そんな人たちが、ほんの少し肩の力を抜き、今しかない季節の味と出合える場をつくりたいと思い、〈菓子屋ここのつ茶寮〉を始めました。
たった2時間、携帯電話から離れ、日常と距離を置く。目の前の一皿に向き合うことで、「頭と心が整う感覚がある」と感想をよくいただきます。そのたびに、私の意図が伝わっているのだなあ、とホッとします。
予約の管理から何から何までたった一人で続けてきて13年。今では、日々を懸命に生きている大人たちの「季節を味わえる憩いの場」になれていることを、とても嬉しく思っています。
〈菓子屋ここのつ茶寮〉主宰 溝口 実穂














































