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今日は誰とワインを飲もう。ずっと会いたかった造り手と乾杯。写真と文:平澤淳一 (ワインセレクター) #2August 12, 2026
私は仕事以外で、一人でワインを飲むことがほとんどない。
どうせ飲むなら、誰かと飲みたい。ともに料理を囲み、その日の出来事を話しながら飲む一杯の方が、ずっとおいしく感じるからだ。
ワインインポーターの会社を退職すると決めたとき、「これから誰とワインを飲みたいだろう」と考えた。
せっかく自由な時間ができるなら、ずっと会いたかった人に会いに行こう。
そんな思いつきから、ヨーロッパへ旅に出ることに。
以前から、独立したら自分なりの方法で生産者を紹介していきたいと思っていた。今回の旅は、これまで接点のなかった人たちを訪ねる旅。言ってしまえば、大人の“推し活”である。
その中でも、どうしても会いたかった一人が、アンダース・フレデリック・スティーンだった。世界的に有名なレストラン『ノーマ』のソムリエとして働いた後、南フランスでワインの造り手となった「ナチュラルワインの革命児」とも呼ばれる存在だ。
ブドウの収穫が始まる、一年で最も忙しい時期。本来なら簡単に会えるタイミングではない。それでも輸入元の協力もあり、念願だった蔵を訪れることができた。
初日は収穫作業のため、待ち合わせは彼の家の近くにある小さなレストランだった。
外から見ると少し入りづらい、地元の人が集まるような店。でもワインリストを開くと、東京ではなかなか出会えない造り手の名前が並んでいる。
先にグラスを傾けながら、「どんな人なんだろう」「何を話そうか」と考えているうちに、一本目は空になっていた。
そこへ、アンダースが家族と一緒に現れた。
ようやく会えた。
最初の乾杯は、不思議なくらい自然に始まった。
彼は知的で、ユーモアがあり、とても穏やかな人だった。初対面なのに肩の力が抜けていく。彼のワインを飲んで感じていたことが、そのまま目の前の人柄につながっていた。
ワインは、その人そのものなのかもしれない。
実はこの旅には、もう一つ目的があった。彼が以前〈︎Apartamento Magazine〉から出版したアートブックを、日本語版として一緒につくれないか。その相談をするためだった。
企画の話を切り出したのは、何本かワインを開けたあとだったと思う。
気づけば、「やろう」という話になっていた。
ワインには、人と人との距離を少しだけ近づける力がある。
おいしいワインはもちろん好きだけれど、それ以上に好きなのは、一緒に飲んだ時間が記憶に残ることだ。
今日は、誰とワインを飲もうか。
cooperation:VORTEX
〈gubigubi〉主宰 平澤淳一















































