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ドイツでの新しい日常。写真と文:原田教正 (写真家) #2June 12, 2026

昨年の12月、ベルリンにアパートを借りて住民登録を済ませ、つい先日ビザの取得が叶った。ドイツでは、ビザより先にまず家を借りて住民登録をする必要がある。この3年ほど、秋から冬にかけての3か月をベルリンでの滞在制作に充てながら、家探しやビザ取得の現実性を探る日々が続いていたので、ようやくひと段落した。英語もドイツ語も話せないという負い目はもちろんあるが、カフェで知り合ったドイツ人から語学を教わったりしながら、どうにか生きている。政治の変化に伴う問題や、資金的なことなど、いろいろな事柄が常について回る毎日だ。どれくらいベルリンで生活していけるのか、まだ私にもわからない。当面は、仕事のたびに日本に戻ると思う。

ドイツでの新しい日常。写真と文:原田教正 (写真家) #2 | 写真は、制作途中でのメモ的なスナップ。
写真は、制作途中でのメモ的なスナップ。
ドイツでの新しい日常。写真と文:原田教正 (写真家) #2
ドイツでの新しい日常。写真と文:原田教正 (写真家) #2
ドイツでの新しい日常。写真と文:原田教正 (写真家) #2

私が写真を始めたのは、16歳の秋だった。アルバイトでなんとなく貯まったお金で安価な一眼レフを買い、学校行事や授業をサボっては写真を撮りに出かけるようになり、無断欠席を問いただす電話を見越して、実家の電話線を引っこ抜いたりしていた。そうして、川や海、人の気配のない、けれども誰かがいた場所を探し求めるように写真を撮り歩いていた。頭の中は写真のことばかりで、もちろん浪人し、美大に進む過程で、写真家として生きていこうと決心した。

その後もいろいろなことがありつつ、ありがたいことに仕事として写真を続けてこられた。けれども、20代後半に差し掛かる頃、初志貫徹、もっと制作活動と向き合いたいと思うようになっていった。展示や写真集をつくり、写真家と名乗ることはできても、その言葉に見合う写真との向き合いを、私はなにもできていない。そんな思いが募っていった。潮田登久子さんの数年前の展示に「永遠のレッスン」というものがあったが、本当にその通りだと思う。写真にはいろいろな側面があり、決して単純なものではないし、常に自らにレッスンを課す必要がある。もっと写真を知りたい、もっと写真とわかり合いたい。そう、いつも思ってきた。

ドイツでの新しい日常。写真と文:原田教正 (写真家) #2
ドイツでの新しい日常。写真と文:原田教正 (写真家) #2

ベルリンでは、朝起きて朝食を済ませたら自由時間だ。大きなカメラを担いで人気のない景色や、誰とも知らない人間の残した痕跡を記録しに出かけたり、何度も何度も同じ本や資料にあたり、手がかりを探すべく、日を変え、時間を変え、読み返すこともある。たまに、低気圧に負けて寝たきりの日だってある。そんな些細なことを繰り返しながら、取り込んだことを反芻し、壁にぶつかれば、そのたびにいろいろなことを自らに問い直す毎日だ。

今日は雨が上がったので、18時になったら出かけて、道端で読書の続きをしようと思う。21時まで明るいのが、とてもありがたい。

ドイツでの新しい日常。写真と文:原田教正 (写真家) #2

写真家 原田教正

原田数正プロフィール
1992年東京生まれ。武蔵野美術大学卒業後はコマーシャルフォトグラファーとして活動する傍ら、展覧会や写真集の制作を行っている。2025年9月から本格的に制作拠点をベルリンに移す。写真集『The Meeting of Two Eyes』(YAMADA Book publishing)の発売に合わせ、銀座SIX蔦屋書店にて2026年6月1日(月)〜6月14日(日)まで刊行フェアを開催中。

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