MOVIE 私の好きな、あの映画。

俳優・井浦新さんが薦めたい映画、薦められた映画。July 27, 2026

好きなシーンや新しい発見で盛り上がる、映画は最高のコミュニケーションツールだ。映画好きが語る「私が薦めたい映画」「誰かに薦められた映画」。&Premium153号(2026年9月号)「誰かと語りたい、あの映画」より、俳優・井浦新さんが薦めたい映画、薦められた映画を紹介します。

俳優・井浦新さんが薦めたい映画、薦められた映画。
「今、公開中の出演作『トロフィー』もそうですが、社会問題や歴史にはできるだけ目を向けたい。知ること、対話することは、自分にとって大切なこと。作品を通して考えるきっかけを共有できたら大変嬉しいです」と井浦さん。

この先の人生を豊かにしてくれるドキュメンタリー。

私が薦めたい映画
『岡本太郎の沖縄』(完全版)葛山喜久

岡本太郎が日本人としてのアイデンティティを探し求め、最後に行き着いた沖縄。恋するように辿る姿は、今を生きる私たちに何を問いかけ、伝えるのか。Taro Okamoto’s Okinawa / 2022 / Japan / 127min.

→ okamoto-taro.okinawa

僕らが生きているこの世の中には、こちらが目を向けないと知らないままになってしまうことがたくさんあります。例えば公開中の映画『トロフィー』。朝鮮学校に通う14歳の少女ソヒが、父との関係や友人との日々の中で、自身のルーツと向き合いながら成長していく物語。普段は知ることのない、朝鮮学校のことや在日コリアンとしての葛藤を丁寧に描きながら、でもそれだけじゃなく、みんなが同じように日々の暮らしがあることも教えてくれます。僕は歴史が大好きで、こういう教科書に載っていない史実を調べるのも好き。その流れでお伝えしたいのが『岡本太郎の沖縄』。僕が小さい頃のイメージは「芸術は爆発だ」を連呼する変なおじさん。しかし大人になってあらゆる芸術に触れるうちに、岡本太郎という芸術家の凄まじさを知りました。特にこの映画は日本人とは? 自分自身とは? 彷徨い、答えを求めて最後に行き着いた沖縄を辿る旅のドキュメンタリー。喜如嘉、フボー御嶽、イザイホー、島の祭事を司る司祭主・久高ノロ……あるがまま存在し、純度高く生きる人々の姿と対峙して、何を感じ、思ったのか? カメラは迫ります。鑑賞後は心が温かくなります。

誰かに薦められた映画
『何といふ今だ 今こそ永遠 河井寛次郎』一般社団法人 日米芸術振興協会

民藝運動を牽引した陶芸家のドキュメンタリー。Kawai Kanjiro: The Eternal Now / 2026 / Japan / 65min.

河井寛次郎は大正から昭和にかけて活躍した陶芸家。詩人や随筆家としての顔も持ち、生涯を通じて哲学的な言葉を残しています。そんな彼自身に薦められたというか導かれたように感じるこの作品は、NYで開催された『河井寛次郎 House to House 展』の一環で製作されたドキュメンタリー。彼の人生と思想を描くとともに、日本文化には暮らしの中に美があるという気づきをくれる。岡本太郎と並んで多大な影響を与えてくれた存在で、ことあるごとに彼らの作品に触れていますが、不思議と自分の生き方や発言の点検にもなっています。彼が残した作品やメッセージを余すところなくキャッチしたいと思っています。

俳優・井浦新さんイラスト

井浦 新俳優

1999年、是枝裕和監督の『ワンダフルライフ』で映画主演デビュー。最新作『トロフィー』では、在日コリアンの父親役を好演。全国公開中。

photo : Shingo Wakagi styling : Kentaro Ueno hair & make-up : Eriko Yamaguchi illustration : Shapre text : Yukino Hirosawa

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