TRAVEL あの町で。
懐かしさを覚える景色を探しに。ノスタルジックな街並みが広がる台南で訪れたい6つのスポット。September 07, 2026
2026年8月5日発売の別冊MOOK「&Taipei/台湾、街歩きガイド」より、編集者·ライターのFion Tsao(フィオン・ツァオ)さんに教えてもらった、台南で訪れたい6つのスポットを紹介します。
懐かしい、情緒あふれる風景に出合える場所。

1.青青土氣 chin chin pottery チンチントゥーチー
西寧街
1階は展示、工房などがある陶芸空間。遠方からアーティストが作陶のため長期で通いに来ることも。2階のカフェではここで作られた皿を使った料理が楽しめる。「床のタイルは細かく砕いた大理石などを混ぜた磨石子(モースーズー/テラゾー)と呼ばれる仕上げ。かつて台湾ではよく使われていましたが、今ではとても貴重」とフィオンさん。
▷台南市中西區西寧街28號 ☎06‒221‒6739 12:00~19:00 カフェ津津13:00~17:00 木金休 Instagram 一般の人も陶芸の授業を体験可(1か月~)。
2.永樂市場2階 ヨンラースーツァン
國華街三段
民族路(ミンツールー)と國華街(グオホワチエ)の交差点に佇む2階建ての建物からなる伝統市場。「2階の居住スペースの空き室には、ここ数年、レトロな雰囲気の喫茶店『秘氏咖啡(ミースーカーフェイ)』や、昔ながらの理容室を再現したセレクトショップ『香蘭男子電棒燙(シャンランナンズディエンバンタン)』などがオープンしています。週末は賑わいますが、平日に行くと、よりローカルな場面を覗くことができます」
▷台南市中西區國華街三段123號2F ☎06‒224‒3134 営業時間と定休日は店により異なる。國華街はグルメストリートとして有名。
3.壹二茶堂 イーアーツァータン
府前路一段
農薬や化学肥料を使っていない台湾の野放茶、自然茶、有機茶のみを販売する完全予約制のティーサロン。「どれも台湾の〝高山〞の静けさを思い起こさせるような、繊細で上品な風味のものばかり。茶葉やティーバッグのほか、台湾製の陶器やガラスの茶道具も豊富に揃っているので、私は友人への贈り物に選ぶこともあります」
▷台南市中西區府前路一段122巷159號 ☎0922‒122‒118 営業時間・定休日は決まっておらず、来店時は公式サイトかInstagramで要予約。
4.沓沓吃飯 ターターツーファン
北區 長勝路
築50年以上の古民家で夫婦が営む家庭料理店。「梅、桑の実、文旦、マンゴーなど、台湾の季節の果物と厳選した地元食材を組み合わせた品々が味わえます。もちっとした食感とハーブのような香りが特徴の台中194号七葉蘭香米(チーイエランシヤンミー)という貴重な米を、契約農家から仕入れているそう」。台湾の若手工芸作家による照明や器も店内を彩る。
▷台南市北區長勝路80巷39號 ☎なし 営業時間・定休日は決まっておらず、来店時はInstagramかLINEから必ず事前予約を。
5.台南葉家燒烤 タイナンイエチアシャオカオ
開山路
〝熱炒(ラーツァオ)〞と呼ばれる台湾式居酒屋の屋台。昔ながらの建物や廟が多いエリア、開山路(カイサンルー)の『馬公廟(マーコンミアオ)』前の広場で創業して50年以上。家族4人で営む。「これからの季節は、夜風にあたりながら、友人たちとテーブルを囲むのにぴったり。お客さんも、ふだんより解放的で賑やかな雰囲気になります」。Facebookからも予約可。酒も持ち込める。食事は22時まで楽しめるが、入店は19時半まで。
▷台南市中西區開山路130‒1號 ☎06‒227‒3060 18:00~22:00 月火休
6.沒有名字的酒館 メイヨウミンツーダチョウグワン
開山路
店名は「名前のないバー」を意味する。1970年代に建てられた昔ながらのマンションの一室で7年前にオープン。天井や、床のタイルなど細やかなつくりが美しく、オーナーの肚仔さんが一目惚れして借りた物件。「毎週具材が変わる『酒飲みのためのスープ』(150元)が看板メニューで、料理上手の母親直伝のレシピだそうです」
▷台南市中西區開山路118號2F(友ヨウツェンシアレンロウユエン誠蝦仁肉圓の上)☎なし 20:00~24:00 不定休 そのほか休みはInstagram(@13du33)に。
ノスタルジーが漂う情景を、心ゆくまで堪能する。
台北から台南に移住して、10年以上が経つ編集者・ライターのフィオン・ツァオさん。のんびりとした生活リズム、暖かな気候、人と人との距離が近いこと。その魅力はあげれば切りがない、と彼女は嬉しそうに語る。
「晴れの日が多いことが何より好きです。それから中心地の中西區(ツォンシーチュィ)にさまざまなスポットが集中していて、街のサイズもコンパクトで、街歩きだって楽しい。たとえば美術館が点在していたり、日本統治時代の古い家屋や小道が当時のまま残っていたり。古都であることが関係しているのか、文化や芸術を大切にする姿勢があるのも、私には居心地がいい。営業時間が厳密に決まっていない店も珍しくなく、時間がゆったり流れているんです。ここに来てから、自分と向き合う時間が増えた気がします。郷愁、ノスタルジック、懐かしさ。そんなキーワードがぴったりな街ですね」
自身も陶芸をたしなむフィオンさんがまず教えてくれたのは、陶芸空間『青青土氣』。
「陶芸好きならぜひ訪れてほしいですが、まず建物の佇まいが素晴らしい。築約60年と古く、床のタイル、天井の梁、壁の風合い、中庭のつくりなどが、できるだけ当時のまま残してあるんです。台南には芸術大学があり、多くの陶芸家を輩出しています。彼らの作品を展示・販売していたり、作陶の作業場も。私も習いに行っていますが、一般の人が参加できるレッスンもありますよ。数年前にオープンした2階のカフェは、窓枠ひとつとっても美しく、時間を忘れて過ごせます」
続いて薦めてくれたのは、家庭料理店『沓沓吃飯』とティーサロン『壹二茶堂』。
「ゆっくりごはんを食べるという意味の『沓沓吃飯』は、比較的観光客が少ない北區の小さな路地で営まれています。どこか私の祖母の家を彷彿とさせるような台南の昔ながらの民家で、シンプルな家庭料理が楽しめます。オーガニックの台湾茶のみを扱う『壹二茶堂』は、かわいらしい佇まいの古民家をモダンに改修しています。ここで五感を研ぎ澄ましながら、高山で生まれたお茶を飲んでいると、趣味の登山をしているときのような心の静けさを取り戻すことができるんです」
昼間の街を覗くなら『永樂市場2階』へ。
「2階は昔ながらの集合住宅になっていて、民家と店が混在する面白い空間。歯磨きをしているおじいさんや、世間話をする女性たちに遭遇することもありますよ(笑)」
フィオンさんいわく、中西區は台湾でも特に寺廟が密集している地域で、頻繁に廟會(ミアオホェイ・廟の祭り)に遭遇できるのも魅力だそう。
「ここでの夜の散歩が大好きです。真夏は暑さが過ぎ去って夜風が涼しいし、冬には各所に寺廟の提灯が飾られているので、神様と一緒に歩いているような気分になれる。廟の前にある広場も趣深くて、座りながら地元の人たちと一緒に歌仔戲(こーあーひー・伝統的な歌劇)や布袋戲(ぽーてーひー・伝統的な人形劇)を鑑賞していると、この地ならではの宗教文化に触れられます。馬公廟の広場には『台南葉家燒烤』という屋台があって、ここで過ごす時間は格別です」
閉店の22時まで『台南葉家燒烤』を楽しんだら、すぐ向かいの『沒有名字的酒館』に行くのがフィオンさんの定番コースだ。
「看板もなく、古いマンションの2階にあるちょっと神秘的なバー。仕事に疲れてここに来ると、家に帰ってきたような安心感があるんです。私の〝リビングルーム〞といってもいいかもしれません。オーナーの肚仔(ドゥーツァイ)さんはセンスがとても良くて、台南のアートや文化に関心のある友人らはよくここに集います」
どこを切り取っても懐かしさが漂う、台南の地。ここでなら、自分の心と向き合いながら、暮らすように旅ができそうだ。

Fion Tsao フィオン·ツァオ編集者·ライター
台湾北東部の宜蘭生まれ、基隆育ち。台北の出版社を経て、2012年12月に台南へ移住。愛猫と暮らす。フリーの編集者・ライターとして、台湾のデザイン誌『Shopping Design』をはじめ、さまざまな媒体でカルチャーにまつわる記事を執筆。手がけた書籍に『山裏食』(裏路文化)など。
photo : Masako Nakagawa,Fion Tsao text : NH coordination : Mari Katakura
































































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