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新居、たわいのない生活、上手く作れたら手放したくない。写真と文:笹本菜月(ガラス作家)#4August 28, 2026

半年ほど前、神奈川のとある街に引っ越した。5階建ての古いマンションで、エレベーターがないのは少し不便だが、広くて明るいこの部屋に一目惚れした。

日の光がいかに大事か、この家に来てより感じるようになった。薄暗い部屋に住んでいた頃は布団から起き上がるのが本当に億劫で、何となく気分も晴れないままだったように思う。
日当たりの良い部屋で朝を迎え、お茶を飲み、窓を開ける。それだけのことなのに、前よりも肩の力が抜けていることに気づく。
心地よく暮らせる場所があるということは、思っていた以上に大切なことだった。

新居、たわいのない生活、上手く作れたら手放したくない。写真と文:笹本菜月(ガラス作家)#4東と西からの二面採光でいつでも明るい。(夏はとんでもなく暑いのが玉に瑕(きず)) | 東と西からの二面採光でいつでも明るい。夏はとんでもなく暑いのが玉に瑕(きず)。
東と西からの二面採光でいつでも明るい。夏はとんでもなく暑いのが玉に瑕(きず)。
新居、たわいのない生活、上手く作れたら手放したくない。写真と文:笹本菜月(ガラス作家)#4
新居、たわいのない生活、上手く作れたら手放したくない。写真と文:笹本菜月(ガラス作家)#4
新居、たわいのない生活、上手く作れたら手放したくない。写真と文:笹本菜月(ガラス作家)#4
新居、たわいのない生活、上手く作れたら手放したくない。写真と文:笹本菜月(ガラス作家)#4

家の佇まいが良いと、それに合わせて使う道具ひとつひとつにもこだわりたくなるもので、特にキッチンが広いことで自炊をちゃんとするようになり、元々それなりに選りすぐって少しずつ揃えてきた器の出番がぐっと増えた。
素敵な器を使えると、多少投げやりな日でもちょっとだけ大丈夫になれる気がする。

そして、私が普段いちばんよく使う器は、実は自分が作ったグラスである。手前味噌......。

お客さんにお届けするからには、やはりまず自分で使い心地を試してみなければ、というのは半分本音、半分建前で。

単純に、1日の中で最も出番が多い器がガラスのコップだというのもあるし、気兼ねなく扱えて自分の手にちょうど収まるサイズのものを探し求めるよりも、作る方が早いと思ってしまうDIY精神でもある。

はじめは、私自身が使いたいと思うものを興味のままに追い求めて作っていた。しかし、「生活」をあらためて見つめ直す中で、より良くなりたいと思う気持ちは、ものづくりも暮らしをつくることも同じなんだ、と最近になってやっと気づいた。
そうして自分なりに向き合ってきたものが、今となっていろんな人に手に取ってもらえるのは、なんだか不思議で、純粋にありがたいことだな、と思う。

日頃作っていて、たまに「これは......良いっ......! 」と、ときめく瞬間がある。同時に、それを見逃すと完全に同じものに再び出合うのが困難であることは、自分が誰よりも知っている。
ビビッときたときは、ちょっとの後ろめたさを感じながら家の食器棚にそっとしまっている。

新居、たわいのない生活、上手く作れたら手放したくない。写真と文:笹本菜月(ガラス作家)#4家にある一軍の作品。上手く作れたので世に出さなくてすみません……。 | 家にある一軍の作品。上手く作れたので世に出さなくてすみません......。
家にある一軍の作品。上手く作れたので世に出さなくてすみません......。
新居、たわいのない生活、上手く作れたら手放したくない。写真と文:笹本菜月(ガラス作家)#4
新居、たわいのない生活、上手く作れたら手放したくない。写真と文:笹本菜月(ガラス作家)#4

ガラス作家 笹本菜月

笹本菜月さんプロフィール
1999年東京生まれ。武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科ガラス専攻を卒業後、富山ガラス造形研究所に進学。その後、2023年からガラス作家として神奈川を拠点に活動し、やわらかな揺らぎのあるチェック柄をモチーフにテーブルウェアやオブジェ、ランプなどを制作している。

instagram.com/n_ssmt

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