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吉田山のすそのに集う、魅力溢れる小さな店。京都・吉田、ローカルガイド。前編September 11, 2026
吉田山の緑に抱かれる吉田神社と、その麓に広がる京都大学吉田キャンパス。観光地としては銀閣寺と哲学の道があるものの閑静なエリアに、ここ最近、店主の個性が光る小さないい店が増えている。自身もこの地で小さな書店を営む、『コフク ブックアンドデイリーストア』店主の佐藤夕伽子さんに案内してもらった。
この記事は前編です。後半はこちら。
吉田神社

ベンチ

フィウ

み空

オーウェン

風光 huko
Kyoto Local Guide_吉田
いい店同士のつながりを辿り、〝素顔〞の京都に出合う。
現在は実家のある大阪に暮らすものの、5年前までの25年間この吉田エリアに住み、2024年4月には自身の店『コフク ブックアンドデイリーストア』を開いた佐藤夕伽子さん。「店を開くならここと決めていました。知り合いも多く、土地勘もあって気心が知れた場所。京都の中でも特に文化や文学の色があり、人と人のつながりが感じられるところで始めたかったんです」と話す。
地元に愛されてきた老舗喫茶やカフェの閉店が続く一方で、ここ数年は店主のセンスや人生観がそのまま表れたような小さな飲食店やショップ、ギャラリーなどが静かに増えている。「大型資本のチェーンではなく、個人が経営する小さい店が点在して、ゆるやかにつながっているのがこのエリアの魅力。その走りとなったのはかつての名物書店『ガケ書房(現・ホホホ座)』やギャラリー&クラフトの『北白川ちせ』だと思います」
吉田山の麓に広がるように店が誕生するなかでも、活気づいているのが白川通今出川の交差点から近い白川疏水の周辺だ。
「仁王門の間借り時代から通っていた『み空』は、私の前の店とほぼ同時期に向かいにオープンしたご縁のある存在。石倉さんが作るロールケーキは生クリームが苦手な私でも驚くほど軽やか。その並びの『プレック』はみんなが上田さんのキャラクターに惹かれて会いに行く場所。海外経験もあり英語が話せるので、外国のお客さんも多いよう。私も焼き菓子を買ったり、早めの昼ごはんに水餃子を食べに行きます。『花屋にち 星雲おやつ』は手土産を探すのにもちょうどいい。店主のお二人のお人柄にも和みます」
同じ頃に店を始めた店主たちが、互いの店を行き来しながらこのエリアを楽しんでいる。
みんなが口を揃えて言うのは「いい店が近くに増えて嬉しい」ということ。その空気感は旅行者にも伝わるのか、近隣の店をハシゴして回る人も多いよう。
「私の店が料理本を中心に扱っていることもあり、グロサリーが増えているのも楽しい流れ。『ベンチ』や『フィウ』、そしてうちへと足を運んでもらえたら嬉しいです(笑)」
吉田山の山頂にあるカフェ『茂庵』もこのエリアを歩くなら、ぜひ訪れてほしいという佐藤さん。「コロナ禍以降は席数が減って、喫茶メニューのみになったけれど、まさに〝市中の山居〞といった風情で、静かな時間を過ごしたいときにおすすめの一軒です」
エリアの顔になりつつあるのは、吉田山の麓にできた『エンタ』。吉田神社の朱色の鳥居の前で、焼きたてのパンを求める行列はどこかのどか。「間違いないだろうなと思っていたら、たちまち有名店になりました。どれも味わい深くおいしいけれど、特に好きなのはライ麦のサワー種を使っているデンマーク発祥のロブロ。やわらかい酸味でしっとりして食べやすい」。さらに南に下れば自らの感性と向き合うような静謐な写真画廊『風光』がある。アートに身を浸したら、すぐ近くの『おはる』へ。海辺の食堂のようなおおらかな雰囲気の空間で、魚介の白ワイン蒸しや炭火グリルを、ワインとともに楽しみたい。
吉田エリアは観光地のざわめきとは距離を置きながら、ここに暮らしているように旅をし、京都の素顔を感じられる場所。最後にこのエリアを楽しむ秘訣を聞いた。「バスも本数が多いから便利だけど、ぜひ歩いてみてほしいです。小さい路地にも発見があるし、初めての道も楽しい。大文字や吉田山がどこにいても見えるので、近くにいつもある山々の美しさや安心感も感じてほしいですね」
佐藤夕伽子 『コフク ブックアンドデイリーストア』店主
雑誌の編集者を経て、『枚方 蔦屋書店』『本と野菜 OyOy』で食関連の選書を担当。2024年4月に白川今出川に料理本と食材を扱う『コフク ブックアンドデイリーストア』を開店。詳細はInstagram(@kofukubook_dailystore)で。


京都駅から吉田エリアまでタクシーで約20~30分。京阪本線で出町柳駅まで行き、そこからタクシーだと約5分。バスなら市バス5系統や206系統が本数も多く便利。吉田山に向かって起伏はあるが、金戒光明寺や真如堂などに立ち寄りながら歩いて回れる。今出川通周辺の小さな店はホッピングする楽しさも。
photo : Yoshiko Watanabe illustration : naohiga text & edit : Natsuko Konagaya

































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