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吉田山のすそのに集う、魅力溢れる小さな店。京都・吉田で出合った13のスポット。後編September 11, 2026

吉田山の緑に抱かれる吉田神社と、その麓に広がる京都大学吉田キャンパス。観光地としては銀閣寺と哲学の道があるものの閑静なエリアに、ここ最近、店主の個性が光る小さないい店が増えている。自身もこの地で小さな書店を営む、『コフク ブックアンドデイリーストア』店主の佐藤夕伽子さんに案内してもらった。

この記事は後編です。前編はこちら

エンタ

京都・吉田 『エンタ』 のパン
『エンタ』店主の吉原真由子さんは独学でパンづくりを習得。「安心して食べてもらえるパンを届けたい」と食材を厳選し、味わい深い食事パンや素材の組み合わせが楽しいサンドイッチなどを提供。ショーケースには20種類ほどが並ぶ。

フィウ

京都・吉田 『フィウ』 ガラス作家、垣内信哉の作品 | 「扱いたい調味料や器があれば、作り手の方を直接訪ねてお話しするようにしています」という『フィウ』の美田さん。ショーケースには島根のガラス作家、垣内信哉の作品。上段グラス¥4,400、中段籐巻グラス¥13,200、下段鉢¥5,500。
「扱いたい調味料や器があれば、作り手の方を直接訪ねてお話しするようにしています」という『フィウ』の美田さん。ショーケースには島根のガラス作家、垣内信哉の作品。上段グラス¥4,400、中段籐巻グラス¥13,200、下段鉢¥5,500。
京都・吉田 『フィウ』 〈HELLO!VEGGIES〉のスイートチリソース、沖縄の〈サニーアンドミー〉のサマーデイ麻油・イエスタデイ辣油、宮崎の〈チルチルキッチン〉の韓国万能タレなど。 | 『フィウ』の棚に並ぶのは、静岡の〈HELLO!VEGGIES〉のスイートチリソース、沖縄の〈サニーアンドミー〉のサマーデイ麻油・イエスタデイ辣油、宮崎の〈チルチルキッチン〉の韓国万能タレなど。ほとんどを試食できるのが嬉しい。
『フィウ』の棚に並ぶのは、静岡の〈HELLO!VEGGIES〉のスイートチリソース、沖縄の〈サニーアンドミー〉のサマーデイ麻油・イエスタデイ辣油、宮崎の〈チルチルキッチン〉の韓国万能タレなど。ほとんどを試食できるのが嬉しい。

竹中稲荷社

京都・吉田 竹中稲荷社
吉田神社の末社として吉田山の頂上近くに祀られる竹中稲荷社。商売繁盛の御利益で知られる。約200mの参道に朱色の鳥居と桜の木が交互に並び、春には鮮やかなコントラストが美しい隠れた名所。往時は数千の鳥居があったとの記録も。

み空

京都・吉田 『み空』の自家焙煎の深煎りコーヒー
『み空』の自家焙煎の深煎りコーヒーは「先入観なく楽しんでほしい」と「濃いめ」「かるめ」「デミタス」という表記。「濃いめ」「デミタス」はネルドリップ、「かるめ」はペーパードリップで。珈琲・濃いめ¥600、ショートブレッド¥200。

古道具店 呱々

京都・吉田 『古道具店 呱々』 店主の平野まさこさんが京都の古い家から買い付けた懐かしい古道具や佇まいが美しいガラス、台湾で仕入れた茶器など、日常使いのアイテムが揃う。
知らなければ辿り着けない路地奥の『古道具店 呱々』(左京区浄土寺西田町82‒11)。店主の平野まさこさんが京都の古い家から買い付けた懐かしい古道具や佇まいが美しいガラス、台湾で仕入れた茶器など、日常使いのアイテムが揃う。

プレック

京都・吉田 『プレック』 スコーンやマフィンなどの焼き菓子
『プレック』(左京区北白川久保田町27‒3)は、栄養管理士の資格を持ち、料理の世界にいた上田美香さんが手がける軽食とおやつの店。定番のスコーンやマフィンなどの焼き菓子はどれも素材の味わいを素直に楽しめ、元気になる味。

おはる

京都・吉田 『おはる』 | 『おはる』店主はイタリアンやホテルで腕を磨いた吉田はる美さん。故郷・伊勢志摩の新鮮な魚介や柑橘を使った料理と、夫が焼く『吉田パン工房』のパンが看板。吉田さんがお酒好きとあって、早い時間から飲みたくなるメニューがずらり。
『おはる』店主はイタリアンやホテルで腕を磨いた吉田はる美さん。故郷・伊勢志摩の新鮮な魚介や柑橘を使った料理と、夫が焼く『吉田パン工房』のパンが看板。吉田さんがお酒好きとあって、早い時間から飲みたくなるメニューがずらり。
京都・吉田 『おはる』 伊勢志摩の魚介や京都の有機野菜をたっぷり使った「おはようAセット」(¥2,300)を。このプレートにパンやスープ、生搾り柑橘ジュース、ドリンクが付く。 | 朝7時30分から営業する『おはる』(京都市左京区岡崎西福ノ川町13‒2)では、伊勢志摩の魚介や京都の有機野菜をたっぷり使った「おはようAセット」(¥2,300)を。このプレートにパンやスープ、生搾り柑橘ジュース、ドリンクが付く。
朝7時30分から営業する『おはる』(京都市左京区岡崎西福ノ川町13‒2)では、伊勢志摩の魚介や京都の有機野菜をたっぷり使った「おはようAセット」(¥2,300)を。このプレートにパンやスープ、生搾り柑橘ジュース、ドリンクが付く。

ベンチ

京都・吉田 『ベンチ』 のシュードーナツ | ドーナツが大好きという『ベンチ』の加藤さんが試行錯誤して行き着いた自慢のシュードーナツ(¥290)。口溶けのよい国産小麦を使い、パーム油で軽やかに揚げ、レモンアイシングで爽やかに仕上げた。街歩きで疲れたときのおやつに。
ドーナツが大好きという『ベンチ』の加藤さんが試行錯誤して行き着いた自慢のシュードーナツ(¥290)。口溶けのよい国産小麦を使い、パーム油で軽やかに揚げ、レモンアイシングで爽やかに仕上げた。街歩きで疲れたときのおやつに。
京都・吉田 『ベンチ』で12~15時に提供されるスパイスカレー(¥990) | 『ベンチ』で12~15時に提供されるスパイスカレー(¥990)は、ほろほろと柔らかいチキンとたっぷりの副菜が嬉しい一皿。ご飯は国産米とバスマティのブレンド。スパイスをたっぷり使っているのに辛くなく、一口ごとに体が喜ぶおいしさ。
『ベンチ』で12~15時に提供されるスパイスカレー(¥990)は、ほろほろと柔らかいチキンとたっぷりの副菜が嬉しい一皿。ご飯は国産米とバスマティのブレンド。スパイスをたっぷり使っているのに辛くなく、一口ごとに体が喜ぶおいしさ。

イカット

京都・吉田 『イカット』 店主の中村ももさんが作る無添加シャルキュトリーや、実家『ドングリ』の野菜を使った一品を、ワインと楽しめる。
「ナチュラルファストフード」を掲げる『イカット』(左京区浄土寺西田町114‒8)。フレンチや精肉店で研鑽を積んだ店主の中村ももさんが作る無添加シャルキュトリーや、実家『ドングリ』の野菜を使った一品を、ワインと楽しめる。

花屋にち 星雲おやつ

京都・吉田 『花屋にち 星雲おやつ』
2025年8 月に西陣から移転オープンした『花屋にち 星雲おやつ』(左京区北白川久保田町29‒15‒2)。夫の西村宏紀さんが手がける草花と、妻のゆりさんが作る植物性の焼き菓子が並ぶ。素朴でやさしい味わいは日常の癒やしにも、手土産にも。

オーウェン

京都・吉田 『オーウェン』 南フランスのルーションで造られる赤ワイン 黒糖ラムケーキ | 『オーウェン』で一日の終わりに選んでもらったのは南フランスのルーションで造られる赤ワイン(¥1,300)。完熟したブドウの果実味がやわらかく広がる。妻が作る黒糖ラムケーキ(¥700)とよき相性。テーブルチャージ(¥500)あり。
『オーウェン』で一日の終わりに選んでもらったのは南フランスのルーションで造られる赤ワイン(¥1,300)。完熟したブドウの果実味がやわらかく広がる。妻が作る黒糖ラムケーキ(¥700)とよき相性。テーブルチャージ(¥500)あり。
京都・吉田 ワインバー『オーウェン』 タンノイのスピーカーから流れる音楽  | ワインバー『オーウェン』のもうひとつの魅力はタンノイのスピーカーから流れる音楽。写真右手は北山の『レコードショップジジ』が韓国のオムのミニアルバムをレコード化。店名はマイク・キンセラのソロプロジェクト「Owen」のもじり。
ワインバー『オーウェン』のもうひとつの魅力はタンノイのスピーカーから流れる音楽。写真右手は北山の『レコードショップジジ』が韓国のオムのミニアルバムをレコード化。店名はマイク・キンセラのソロプロジェクト「Owen」のもじり。

喫茶ドセイノワ

京都・吉田 『喫茶ドセイノワ』 | 『喫茶ドセイノワ』(左京区北白川東久保田町11‒2F)は白川通今出川の交差点に近いビルの2階。隠れ家のような静かな空間と、カフェやフルーツ専門店で修業した店主のすずきまいさんが作るスイーツが好相性。焼き菓子の購入のみも可能。
『喫茶ドセイノワ』(左京区北白川東久保田町11‒2F)は白川通今出川の交差点に近いビルの2階。隠れ家のような静かな空間と、カフェやフルーツ専門店で修業した店主のすずきまいさんが作るスイーツが好相性。焼き菓子の購入のみも可能。
京都・吉田 『喫茶ドセイノワ』の苺のショートケーキ(¥750) スパイスレモネード(¥650) | 『喫茶ドセイノワ』の苺のショートケーキ(¥750)は甘酸っぱいイチゴときめ細かいスポンジ、甘さを控えた生クリームの三位一体感に加え、佇まいも美しい。スパイスレモネード(¥650)と。読書する人が多く、落ち着いた空気が漂う。
『喫茶ドセイノワ』の苺のショートケーキ(¥750)は甘酸っぱいイチゴときめ細かいスポンジ、甘さを控えた生クリームの三位一体感に加え、佇まいも美しい。スパイスレモネード(¥650)と。読書する人が多く、落ち着いた空気が漂う。

茂庵

京都・吉田山の『茂庵』
吉田山の緑に抱かれるように佇む『茂庵』(左京区吉田神楽岡町8吉田山山頂)は、大正時代に建てられた茶の湯の場を使ったカフェ。ゆったり配された席に着くと大文字山や市街を見渡せる。夏はかき氷、冬はあんこもちバターホットサンドが人気。

Kyoto Local Guide_吉田

いい店同士のつながりを辿り、〝素顔〞の京都に出合う。

 現在は実家のある大阪に暮らすものの、5年前までの25年間この吉田エリアに住み、2024年4月には自身の店『コフク ブックアンドデイリーストア』を開いた佐藤夕伽子さん。「店を開くならここと決めていました。知り合いも多く、土地勘もあって気心が知れた場所。京都の中でも特に文化や文学の色があり、人と人のつながりが感じられるところで始めたかったんです」と話す。
 地元に愛されてきた老舗喫茶やカフェの閉店が続く一方で、ここ数年は店主のセンスや人生観がそのまま表れたような小さな飲食店やショップ、ギャラリーなどが静かに増えている。「大型資本のチェーンではなく、個人が経営する小さい店が点在して、ゆるやかにつながっているのがこのエリアの魅力。その走りとなったのはかつての名物書店『ガケ書房(現・ホホホ座)』やギャラリー&クラフトの『北白川ちせ』だと思います」
 吉田山の麓に広がるように店が誕生するなかでも、活気づいているのが白川通今出川の交差点から近い白川疏水の周辺だ。
「仁王門の間借り時代から通っていた『み空』は、私の前の店とほぼ同時期に向かいにオープンしたご縁のある存在。石倉さんが作るロールケーキは生クリームが苦手な私でも驚くほど軽やか。その並びの『プレック』はみんなが上田さんのキャラクターに惹かれて会いに行く場所。海外経験もあり英語が話せるので、外国のお客さんも多いよう。私も焼き菓子を買ったり、早めの昼ごはんに水餃子を食べに行きます。『花屋にち 星雲おやつ』は手土産を探すのにもちょうどいい。店主のお二人のお人柄にも和みます」
 同じ頃に店を始めた店主たちが、互いの店を行き来しながらこのエリアを楽しんでいる。
みんなが口を揃えて言うのは「いい店が近くに増えて嬉しい」ということ。その空気感は旅行者にも伝わるのか、近隣の店をハシゴして回る人も多いよう。
「私の店が料理本を中心に扱っていることもあり、グロサリーが増えているのも楽しい流れ。『ベンチ』や『フィウ』、そしてうちへと足を運んでもらえたら嬉しいです(笑)」
 吉田山の山頂にあるカフェ『茂庵』もこのエリアを歩くなら、ぜひ訪れてほしいという佐藤さん。「コロナ禍以降は席数が減って、喫茶メニューのみになったけれど、まさに〝市中の山居〞といった風情で、静かな時間を過ごしたいときにおすすめの一軒です」
 エリアの顔になりつつあるのは、吉田山の麓にできた『エンタ』。吉田神社の朱色の鳥居の前で、焼きたてのパンを求める行列はどこかのどか。「間違いないだろうなと思っていたら、たちまち有名店になりました。どれも味わい深くおいしいけれど、特に好きなのはライ麦のサワー種を使っているデンマーク発祥のロブロ。やわらかい酸味でしっとりして食べやすい」。さらに南に下れば自らの感性と向き合うような静謐な写真画廊『風光』がある。アートに身を浸したら、すぐ近くの『おはる』へ。海辺の食堂のようなおおらかな雰囲気の空間で、魚介の白ワイン蒸しや炭火グリルを、ワインとともに楽しみたい。
 吉田エリアは観光地のざわめきとは距離を置きながら、ここに暮らしているように旅をし、京都の素顔を感じられる場所。最後にこのエリアを楽しむ秘訣を聞いた。「バスも本数が多いから便利だけど、ぜひ歩いてみてほしいです。小さい路地にも発見があるし、初めての道も楽しい。大文字や吉田山がどこにいても見えるので、近くにいつもある山々の美しさや安心感も感じてほしいですね」

佐藤夕伽子 『コフク ブックアンドデイリーストア』店主

雑誌の編集者を経て、『枚方 蔦屋書店』『本と野菜 OyOy』で食関連の選書を担当。2024年4月に白川今出川に料理本と食材を扱う『コフク ブックアンドデイリーストア』を開店。詳細はInstagram(@kofukubook_dailystore)で。

佐藤夕伽子
 
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京都駅から吉田エリアまでタクシーで約20~30分。京阪本線で出町柳駅まで行き、そこからタクシーだと約5分。バスなら市バス5系統や206系統が本数も多く便利。吉田山に向かって起伏はあるが、金戒光明寺や真如堂などに立ち寄りながら歩いて回れる。今出川通周辺の小さな店はホッピングする楽しさも。

photo : Yoshiko Watanabe illustration : naohiga text & edit : Natsuko Konagaya

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