&Cooking 渡辺有子の料理教室ノート。
カツオ出汁で初秋の和食。渡辺有子の料理教室3年目9月September 12, 2026
料理家の渡辺有子さんが先生に、ライターの吉田直子さんが生徒に。本誌で連載中の「&Cooking 渡辺有子の料理教室ノート」がWebでも読めるようになりました。3年目9月のテーマは、「カツオ出汁で初秋の和食」。3つのレシピを紹介します。

カツオ出汁で初秋の和食。
先生:9月に入って、いよいよ秋の気配を感じるようになってきたわね。
生徒:何にせよ、疲れた胃が優しいものを欲しているのが正直なところです。
先生:知っているわよ。この夏、直子さんがよく食べ、よく飲んでいたことは。
生徒:先生の耳にも届いていましたか!
先生:当てずっぽうでしたが、そんなことだろうと思って、今日はカツオ出汁を使った優しい料理を考えてきました。
生徒:なんと〜(涙)。
先生:まずは基本のカツオ出汁の取り方からいきましょうか。1ℓの水が沸騰したら、カツオ節をたっぷり、量で言うと30gほど入れて火を止めます。自然に鍋底に沈んでいく、1〜2分の間にじんわり出汁が出てくるの。沈みきったら漉して出来上がり。量は目安ね。
生徒:思っていた以上に簡単ですね。そしてきれいな琥珀色〜。
先生:今日はこの出汁が活躍するわよ。「里芋の炊き込みごはん」は、カツオ出汁と米の入った鍋の中に塩と里芋を加えて炊くだけなの。炊けたら全体をよく混ぜて、スダチの果汁を回しかけて最後に皮も加える。工程はたったこれだけです。
生徒:これまた簡単。〝里芋の皮は厚めに剥く〞は、以前に習ったのでバッチリです。
先生:直子さん、素晴らしい。そうしたら、炊き込みごはんの鍋を火にかけながら、続いてのメニュー「鶏と冬瓜の薄炊き」に参りましょう。火にかけて沸騰させたカツオ出汁の中に、余計な脂を取り除いた鶏モモ肉を入れて、弱火で煮たらいったん取り出します。次に薄切りにした冬瓜とショウガ、塩を加えましょう。鶏肉は、粗熱が取れたら、繊維に沿って細く裂きます。冬瓜はトロトロになるまでよく煮て、裂いた鶏肉を加えます。鶏肉に火を入れすぎないよう、ここからは急ぎますよ。最後に水溶き片栗粉を加えるのですが、冬瓜のつるんとした感じを生かしたいので、片栗粉でつけるとろみは軽めにしましょう。
生徒:ちょいと味見を……。ああ、これは滋養スープですね。
先生:いいわよね〜。さあて、最後の一品「海老あんかけの茶碗蒸し」も作りましょうか。
生徒:この茶碗蒸し、海老あんかけだけでも豪華なのに、百合根まで入るんですか!
先生:旬の百合根はホクホクしておいしいの。さて、カツオ出汁に塩、薄口醤油と溶いた卵を加えて混ぜ、漉します。これを常温で静かに置いておくとなめらかになるの。百合根を加えて蒸し始めますよ。鍋と蓋の隙間から水滴が入らないように、蓋にふきんを掛けるのをお忘れなくね。続いてあんも作りましょう。カツオ出汁の中に海老とショウガの絞り汁を入れて、酒、薄口醤油、塩で味付けします。そこにまた水溶き片栗粉を投入。サラッとしたとろみにしたいので、水2に対して片栗粉1がお勧めよ。茶碗蒸しができたら、あんをかけて出来上がり。炊き込みごはんをスダチ果汁と皮で仕上げたら、全3品完成ね。
生徒:この炊き込みごはん、スダチなしで十分おいしいと思ったのですが、スダチをかけたとたんに味が引き締まりました。茶碗蒸しは、カツオ出汁の良さが存分に味わえて。
先生:喜ぶ顔が見られて良かったわ。
生徒:夏が終わるこの時期のカツオ出汁。胃だけじゃなく、心にも優しく染みました〜。
1.里芋の炊き込みごはん
〈材料〉作りやすい分量
里芋… 4個
米…2合
カツオ出汁…360㎖
塩 …小さじ1と1/3
スダチ… 2個
〈作り方〉
1.米は洗ってザルにあげておく。鍋に米とカツオ出汁を入れ、30分ほど置く。
2.里芋は皮を厚めに剥いて塩(分量外)でぬめりを取り、洗って水気を拭いて1㎝角に切る。
3.1に塩を加えてざっと混ぜ、2の里芋をのせ蓋をして炊く。初めは中火強、鍋がふいてきたら弱火にして12分。火を止めて10分ほど蒸らす。
4.炊けたらざっと全体に空気が入るように天地を返し、スダチの果汁を2個分搾る。
5.お茶碗によそい、スダチの皮を削って散らす。
2.鶏と冬瓜の薄炊き
〈材料〉2人分
鶏モモ肉… 1枚
冬瓜…1/2個(700g)
ショウガ…スライス4枚
カツオ出汁…400㎖
酒…大さじ1
塩…小さじ1/2
片栗粉…小さじ1と1/2
紅タデ…適量
〈作り方〉
1.鶏肉は脂など取り除く。冬瓜は種と皮を取り除き、ピーラーかスライサーで薄く切る。
2.鍋にカツオ出汁と酒を入れひと煮立ちさせ、鶏肉を入れて蓋をして弱火で6分加熱する。鶏肉を取り出し、粗熱を取る。
3.鍋に冬瓜とショウガを入れ、塩をふって蓋をして弱火で10~12分炊く。
4.粗熱が取れた鶏肉を繊維に沿って細く裂く。
5.4を3に加え、さっと混ぜたら倍量の水で溶いた片栗粉を回し入れ、とろみをつける。器に盛り、あれば紅タデを散らす。
3.海老あんかけの茶碗蒸し
〈材料〉2人分
卵… 1個
カツオ出汁…200㎖
薄口醤油…小さじ1
塩…小さじ1/4
百合根…80g
[あん]
むき海老…120g
ショウガ絞り汁…小さじ2
カツオ出汁…200㎖
酒…小さじ1
薄口醤油…小さじ1/4
塩…小さじ1/4
片栗粉…大さじ1
〈作り方〉
1.カツオ出汁に薄口醤油と塩を合わせておく。
2.卵を割りほぐし、1と合わせてザルで漉し、しばらく置いておく。
3.百合根は一かけずつ剥がし、茶色くなっているところは取り除く。
4.器に2を注ぎ百合根を入れ、蓋をして(なければアルミホイルをかぶせる)蒸気の上がった蒸し器に入れ、しっかり蓋をし、30分ほど弱火で蒸す。
5.むき海老は塩水で洗い、水気を拭いて包丁で粗めにたたく。
6.小鍋にカツオ出汁をひと煮立ちさせ、5とショウガの絞り汁を入れ、ざっと混ぜて火を通す。酒、薄口醤油、塩で味を調え倍量の水で溶いた片栗粉でとじる。
7.蒸し上がった4に6をかける。


渡辺有子先生
わたなべ・ゆうこ/東京都生まれ。料理家。スタジオ「FOOD FOR THOUGHT」にて、料理教室や食にまつわるイベントを開催。東京・代々木上原と西荻窪で、同名の器店をディレクション。作家ものの器や食まわりの商品を扱う。『料理と私』(晶文社)、『渡辺有子の家庭料理』(主婦と生活社)など著書多数。旬の素材を生かしたシンプルでおいしい料理に定評があり、いつまでも初心者気分でいつづける生徒・吉田直子にも、懇切丁寧に料理を教える。

吉田直子生徒
よしだ・なおこ/東京都生まれ。ライター。冠婚葬祭で使う小物とジュエリーのブランド〈シュオ〉のディレクター、ファッションブランドのプレスを務めるなど、フレキシブルに働く1 児の母。2019年、絵本『こっぷんとかっぷん』(絵・よこやまかんた/若芽舎)を刊行。2020年には蒼井優の著書『今日もかき氷【進化版】』(マガジンハウス)の編集を手がける。渡辺有子の料理教室で毎月記事をまとめているが、いまだに作るよりも食べることを好む。
photo : Wakana Baba text : Naoko Yoshida


















































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