TRAVEL あの町で。
生活と文化が同一線上にある街。京都・一乗寺で出合った13のスポット。後編September 12, 2026
京都駅から電車で約40分。目立つ神社仏閣はなく、都市として賑わうわけでもない左京区の小さなエリアだが、ここが最も〝京都らしい〞と言う人は多い。住宅の合間に喫茶店、古道具店、ワインバーなどが潜む街の歩き方を、ローカルたちが集うショップ『コウエン』のマネージャー、日髙美月さんが案内してくれた。
この記事は後編です。前編はこちら。
胡椒餅&豆花 みつは

ナチュラルフーズ・ドングリ
白川疏水

一乗寺駅

遠藤珈琲店
アンティーク分室

恵文社一乗寺店

マヤルカ古書店

ル タン ドゥ グー
喫茶 霧箱
コイモ ワイン&カフェ
イトウ

モンティーク

Kyoto Local Guide_一乗寺
観光地化する京都とは別世界。日常が根付き、息づく一乗寺。
「毎日、店に立っていると、入り口の大きなガラスが額縁で外の景色が絵のように思えるときがあって。もちろん季節の移ろいも感じられるし、公園の子どもたちが遊ぶ姿も目に入る。街の人たちの行き交う姿から、一乗寺の心地よい生活が垣間見られるようです」
そう語るのは一昨年にオープンした『コウエン』のストアマネージャーの日髙美月さん。開店を機にそれまで住んでいた北区の西陣エリアから引っ越し。一乗寺で暮らし始めた。以前から新しい店に行くことや喫茶店で過ごすのが好きで、街の新しいパブリックスペース的空間である『コウエン』を訪れるお客さんたちとの会話も相まって、一乗寺の魅力を日々実感している。
「ずっと変わらない、京都のしっとりした空気感」のある西陣と比べると、一乗寺は「思っていた以上に若い人が多くて。風通しが良い」という印象だという。
「大学生と地元の方の暮らしがうまく混じり合っているというか。そのなかで、少しずつ新しいお店がオープンして、街がゆっくり変化していく。それが一乗寺らしさなのかな、と。昔ながらのものも親しまれながら、新しい風も受け入れてくれる街だと思いますね」
一乗寺エリアは駅を中心として徒歩15分ほどの小さな圏内。そこに「スーパーから古本屋さんまですべてある」。例えば、葱が飛び出たスーパーの袋を提げながら『恵文社一乗寺店』で自費出版の歌集を立ち読み。そんな光景は今も昔も変わらない。
日髙さんもわざわざ、ではなく、普段の買い物や散歩中に、レコードが聴ける『遠藤珈琲店』や、いわばニューウェーブな古道具店『イトウ』などに寄ることで、日常と現在進行形のカルチャーが同一線上にある、一乗寺ならではの暮らしを自然と謳歌している。
「『恵文社一乗寺店』で本を買って、すぐ近くの『モンティーク』を覗いて。それから『コイモ ワイン&カフェ』でちょっとワインを飲んだり。『ナチュラルフーズ・ドングリ』では大原など地元の野菜や調味料を買ったりも。それらが自分の生活圏内にあって、いつでも立ち寄れるんです。好きなのはそういった、いわゆる京都らしいとか観光客の方に向けた店ではなくて、あくまで一乗寺に暮らしている方に向けた場所。ずっと街に愛されている店、というか」
とはいえローカルが新入りに閉鎖的というわけではなく、『喫茶 霧箱』のように新しいスポットもいつの間にか街に溶け込んでいる。
「京都の人でも『一乗寺はラーメン屋さんばっかりでしょう?』と思っている人も意外にまだまだいますが、それだけじゃもったいない。疏水沿いをちょっと散歩するだけでも『マヤルカ古書店』や『ル タン ドゥ グー』『胡椒餅&豆花 みつは』だったり、決して癖は強くなく、店主の個性やこだわりをさりげなく大切にした、素敵なお店が増えています」
取材中、一乗寺で働く人から、この街は「オフのままで過ごせてしまう街。京都駅や河原町に行くときは気持ちをオンにして、気合を入れないといけません」と聞いた。この言葉に日髙さんも共感する。つまり、一乗寺は観光客で溢れ返るテンションの高い京都とは別の京都。ここには、のんびりと散策したくなる、よそゆきではない京都の日常が根付く。
「ちょうどよい、ということだと思います。それは店側もお客さんも気取らなくていいということ。ユルすぎず、でも整いすぎず。暮らしの中にあって、ずっと通いたくなる店が一乗寺の魅力を支えているし、そんな店がこれからも残っていくと思います」
日髙美月 『コウエン』ストアマネージャー
1998年、京都府生まれ。一乗寺在住。学生時代はグラフィックデザインを学び、その後は大阪の書店や京都市内の飲食店などに勤務。2024年11月、カフェ+ギャラリー+ショップの複合空間『コウエン』のオープンを機にストアマネージャーに。一乗寺エリアの移動は「主に自転車で」。


京都駅から一乗寺駅までは、地下鉄烏丸線の烏丸御池駅で乗り換え三条京阪駅へ。三条駅から京阪鴨東線で出町柳駅。叡山電鉄に乗り換え一乗寺駅へ。元田中駅で下車し、緑豊かな白川疏水沿いを散歩しながら北上するルートもおすすめ。鴨川から東へ分岐した高野川へは一乗寺駅から徒歩10分ほど。
photo : Yosuke Tanaka edit & text : Yusuke Nakamura



















































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