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レモンとつまみ。祖母との思い出が詰まった、かまぼこのレモンあえ。写真と文:桑原亮子 (料理家) #2June 15, 2026

祖母の料理には、ちょっと風変わりなものが多かった。 私の母は産後一か月足らずで職場に復帰したこともあって、中学生ごろまでは放課後を祖父母宅で過ごすことが多く、そのせいか母の料理より祖母の料理のことをよく覚えている(まあ、インパクトが強いものが多かったせいもあるのだが)。

祖母は料理にやたらとレモンと砂糖を使う人だった。特に夏になるとレモンの当番回数が顕著に増えて、レモン風味の料理を食卓で見ない日はなかった。

さて、ここで祖母の定番レモンレシピを書き出してみた。

「レモンニラ冷ややっこ」
冷ややっこには、レモン果汁と醤油、ニラと鰹節がまぶしつけてあるのが定番だった。 なぜネギではなくてニラだったのかは不明だが、庭で祖母がニラを育てていたからだと推測している。

「焼き魚とレモン人参おろし」
ふだんの食卓では、肉よりも魚の当番回数が多かった。祖父の好物は、白身魚で作る焼き魚。そして添えられていたのは、大根おろしではなくて人参をすりおろしたものにレモンと醤油を和えたものだった。

「キャベツのレモン漬け 」
漬物樽で大量に作っていた漬物。キャベツ、ニンジン、レモンにアジシオをかけて漬けておくだけで出来る、簡単な浅漬けみたいなもの。

本当はもっとあるのだが、このくらいにしておこう。

月日を経て、ひょんなことから料理を生業とするようになった私も、レモンのレシピをちょこちょこと世の中に送り出している。2025年にはレモンのレシピエッセイ集も出版させていただいたくらいだ。 その後、イベントや教室などでは、「桑原さんは瀬戸内出身なのでレモンをよく使われるのですか? 」って、聞かれることも多いけど、私が知る限り、レモンが使われる郷土料理はほとんどない。 私がレモンに惹かれる理由は、酸味や香りが好きなのもあるけど、祖父母との味の思い出がベースにある気がしている。

もちろん良い思い出ばかりではなかった。 でもね、亡くなった祖母がたまにイライラしていたのも、仕事、家事、孫育てを一手に引き受けてしんどかったのかな、って、歳を取ったらそんな視点も生まれた。 お酒を飲みながら、いろいろ思い出すと少し酸っぱい気持ちになるけど、あのレモン料理たちは私の宝物だ。

ひとりで飲むときは、ぼんやりとそんなことを考えている。

かまぼこのレモンあえ

レモンとつまみ。祖母との思い出が詰まった、かまぼこのレモンあえ。写真と文:桑原亮子 (料理家) #2

    〈材料〉2人分

    板つきかまぼこ...1本(80g)
    レモン...1/4個
    玉ねぎ...1/6個

    A
    白ワインビネガー(酢でも可)...大さじ1
    オリーブオイル...大さじ1
    レモン汁...小さじ1
    塩、オリーブオイル...各少々

    〈作り方〉
    1.板つきかまぼこを5mm厚さに切り、レモンをいちょう切りに。玉ねぎは縦に薄切りにして水にさっとさらして水けをきる。

    2.ボウルにかまぼこ、玉ねぎ、レモンを入れ、混ぜ合わせたAを加えてあえる。

    3.器に盛り、塩をふってオリーブオイルをかける。


料理家 桑原亮子

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1982年生まれ。『SPICEUP』主宰。通訳・翻訳業を経て、料理好きが高じて友人と料理教室『SPICEUP』を立ち上げる。2023年には東京・富ケ谷にもアトリエをオープン。現在、大阪と東京の2拠点生活を送る。著者に、『予約の取れない料理教室 SPICEUPの作りたくなる日々のごはん』(主婦と生活社)、レシピエッセイ本『レモンをひと絞り、スパイスひとさじで変わる毎日の料理』(グラフィック社)など。新刊『予約の取れない料理教室 SPICEUPの作りたくなる日々のつまみ』(主婦と生活社)が2026年6月に発売に。

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