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秋、水の流れをたどって。春夏秋冬、能登めぐり。写真と文:小川紗良 (アーティスト) #3June 17, 2026
災害が起きたとき、多くの人々が直面するのが水の問題だ。私たちの生活は、炊事、洗濯、入浴など水なしには成り立たない。石川県珠洲市では、2024年に地震と豪雨が相次いで起き、地区によっては1年以上断水が続いた。その間住民は、給水タンクや井戸水を活用してどうにかしのいだ。

日本の水道事業は主に市町村単位で運営されている。特に面積の広い地域や寒さの厳しい地域では、その管理費や凍結対策費がかさむ。さらに人口が減ってしまえば、一世帯あたりが担う水道の維持費は上がっていく。各地で水道管の老朽化が問題となっているなかで、泣く泣く値上げを決める地方自治体も多い。
珠洲市でも、移住してきた若者から、毎月の水道料金の負担が重いという話を聞いたことがある。災害により上下水道ともに大きな被害を受けたうえに、人口も減ってしまった今、従来のインフラシステムでは賄いきれない地方の現実が見えてきている。

2024年の11月、水に関する新たな試みがあると聞き、私は珠洲市高屋町を訪ねた。高屋町は地震と豪雨で一時孤立し、断水の被害も長期化していた。そんななか案内された場所を尋ねると、足元のホースから水が流れ、共有の水汲み場となっていた。聞けば、この水は山から引いているものだという。
この給水設備を手がけた、〈水未来研究所〉の代表・松尾俊作さんに山の上まで案内していただいた。
松尾さんは地震の発生後、前職の支援業務のため奥能登に通っていたなかで「昔から枯れない水源がある」という話を聞き、住民の生活用水確保のためにこの設備を整えたという。装置は山の傾斜を活かして設置されており、電気などの動力は必要ない。また薬品を使わない浄化方法が採用されていて、ランニングコストはほぼかからない。能登豪雨の際にも、地域の水道サービスが停止した中で、この給水設備は翌日には復旧することができたという。15名ほどが利用する小さな地区に対して、コストも維持も無理のないシステムが実現した。
つくづく、奥能登は日本の未来を映していると感じた。私たちが日々当たり前に享受している水も、電気も、食料も、いつどんなきっかけで断たれてしまうかわからない。特に都心部で大きな災害が起きたとき、近場に海も山もないとなれば、一体どうなってしまうのか。従来のシステムでは、まったく歯がたたない状況がいつか訪れるかもしれない。奥能登の小さな営みは、未来の危機を生き延びるためのヒントを与えてくれる。
〈水未来研究所〉の活動について、詳しくはこちらから。
アーティスト 小川紗良






































