TRAVEL あの町で。
手仕事を辿る旅。鳥取・鳥取〜倉吉を味わうための6冊の本。後編June 30, 2026
暮らしの延長にある文化として、「民藝」が自然に息づく鳥取。かつてこの地で鳥取民藝の礎を築いた吉田璋也の本を旅の入り口に、修復専門家・河井菜摘さんの案内で鳥取市から岩美、倉吉へ。ゆったりと流れる時間に身を委ねながら、手仕事を辿る旅に出かけた。
この記事は後編です。前編はこちらから。17のスポットを紹介する中編はこちらから。
豊かな自然と民藝の心に包まれる、鳥取〜倉吉を楽しむ6冊。
『遥かな町へ (谷口ジローコレクション』 谷口ジロー 著(小学館)

鳥取・倉吉の懐かしい町並みを舞台に、48歳の主人公が14歳の自分へと時を遡る物語。昭和の倉吉の風景や家族の記憶が緻密な筆致で描かれ、町そのものがもう一人の登場人物のように深く心に残る。失踪した父の真意を探りながら、人生や家族を見つめ直していく、漫画家・谷口ジローの代表作。
『鳥取が好きだ。水丸の鳥取民芸案内』安西水丸 著(河出書房新社)

イラストレーター・安西水丸が愛した「鳥取民藝」の世界をまとめたオールカラーのエッセイ集。彼が足繁く通い、惚れ込んだ器や郷土玩具など、日常に溶け込む「用の美」の魅力をイラストやコレクションの写真とともに語る。鳥取の豊かな風土にも触れ、一緒に旅をしているような感覚が味わえる。
『眼のわざ 山本教行コレクション』山本教行 著(筑摩書房)

今回訪ねた岩井窯の陶芸家、山本教行が集めた世界中の優れたもの、美しいものを紹介。10代から磨いてきた独自の審美眼「眼のわざ」で選ばれた手仕事を、その土地の風土や日々の使われ方とともに温かな言葉で綴る。鳥取の民藝の精神に触れながら、美と暮らしを静かに見つめ直したくなる本。
『SHOJI UEDA .1913-2000 植田正治 イメージの軌跡』北瀬和世 編(植田正治写真美術館)

世界的に評価された写真家・植田正治の生誕100年を記念した決定版写真集。鳥取砂丘で人物をオブジェのように配するモダンな演出写真「植田調」など、初期から最晩年までの約276点を大判図版で収録。充実したテキストや詳細な資料も備え、70年に及ぶ写真家としての歩みと視線の軌跡をたどる。
『生誕120年芸術写真の神様 塩谷定好とその時代』「 塩谷定好展」実行委員会 編(今井出版)

植田正治が「神様」と称賛した芸術写真の第一人者、塩谷定好の生誕120年記念図録。生涯鳥取を拠点とし、レンズフードを外す独自の手法で自然や人々を絵画のように叙情的に写し出した。初期から晩年までの仕事と同時代の作家たちの作品も収録。郷愁あふれるモノクロームの原風景を堪能できる。
『吉田璋也のデザイン - 新作民藝運動がめざした未来』鳥取民藝美術館 岐阜県現代陶芸美術館 編(NHKエンタープライズ中部)

現在開催中の吉田璋也の大回顧展(~2027年まで全国を巡回予定)の公式図録。伝統的な手仕事を現代の暮らしに生かす「新作民藝運動」を牽引した足跡を紹介する。自らデザインした器や家具など約300点の多彩な品々により、生産から流通まで社会をデザインした先駆者の姿に触れられる一冊。

羽田空港から鳥取砂丘コナン空港まで約1時間15分。鳥取駅までレンタカーもしくはバスで約20分。鉄道の場合、東京駅から鳥取駅まで、東海道新幹線のぞみで約3時間、姫路駅で乗り換え特急スーパーはくとで約1時間30分。大阪駅から鳥取駅までは特急スーパーはくとで約2時間30分。鳥取駅から岩美駅まではJR山陰本線で約20分、倉吉駅までは特急で約30分、各駅停車で約1時間。市内から足を延ばすにはレンタカーがあると便利。

河井菜摘修復専門家
1984年、大阪生まれ。京都市立芸術大学、大学院にて漆工を学ぶ。2015年に独立し漆と金継ぎがメインの修復家に。陶磁器、漆器、竹製品、木製品など日常使いのうつわから古美術品まで修復を行う。現在、鳥取・京都・東京の三拠点生活を送る。
photo : Masako Nakagawa illustration : naohiga text : Akane Watanuki



































