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浅間山の深緑に囲まれて。「作品と深く呼吸する」をテーマに、長野・軽井沢のセゾン現代美術館がリニューアルオープン。August 08, 2026

五感を研ぎ澄まし、「自然と呼吸する場所」へ。
長野県軽井沢、浅間山のふもとに1981年に移転オープンし、45年目を迎える「セゾン現代美術館」。「作品と深く呼吸する場所」をテーマに、2年間かけて改装し、6月26日(金)に再オープンした。
大きな特徴は、自然界そのものを作品の一部として取り込んでいることだ。たとえば、庭園には、彫刻家・若林奮(いさむ)の代表的なシリーズ《振動尺》が点在する。コールテン鋼に設けられた空洞を風が通り抜け、光が差し込み、季節ごとに異なる景色が映り込むことで、人と自然のあいだに生まれる「振動」を感じさせる装置となっている。こういった庭園を歩く体験そのものが、作品との対話になり、軽井沢の風景や風、木々の気配を全身で感じながら、美術館へと導かれていく。このランドスケープは、《振動尺》を手がけた彫刻家・若林奮(いさむ)が構想し、建築は、戦後日本を代表する建築家・菊竹清訓(きよのり)が設計した。建築と庭園、そして自然が一体となり、美術館スペース全体がそれぞれと呼応するようにデザインされている。
改修に携わったのは、建築家の工藤桃子さん。彼女によって、新たにデザインされたのは、カフェとショップの空間。まず、カフェでは、作品を鑑賞したあとに、ゆったりと庭園を眺めながらお茶を味わうことができる。ガラス作家のピーター・アイビーが今回のリニューアルのためにオリジナルで制作したという、光や風景を映し込むガラスのお重で提供されるのは、一枚一枚丁寧に摘み取られた無農薬の茶葉を使った〈中井侍銘茶〉のお茶と干菓子。長野県最南端の村で生産されているという希少な日本茶を味わえるのは、大きな魅力だ。カフェの空間自体も自然との繋がりを感じられるように工夫されている。左官によって仕上げられた土の壁や、通常より少し低い高さに設計された椅子は、窓の外に広がる大地へつながっているような感覚になる。庭園を眺めながら、美術館で過ごした時間の余韻を深めることができる空間に生まれ変わった。
また、1981年の開館記念<マルセル・デュシャン展>にて、ジョン・ケージがパフォーマンスを行ったという「ARTFORUM」内に移設された、ミュージアムショップにも注目。企画展のグッズ販売という形ではなく、岩石・ガラス・木・土・漆などといった地球の記憶のカケラといえる素材と作家との対話から生まれた作品の数々が販売されている。この美術館で過ごした記憶や感覚を、日常に持ち帰ることができるのも嬉しいポイントだ。
約90点の作品が展示される企画展「ソコからみたキセキ」が開催中。
リオープンに合わせて始まったコレクション展「ソコからみたキセキ」。会期は、8月23日(日)まで。リニューアル後初の記念すべき展覧会にも注目が集まっている。アンゼルム・キーファーの作品は常設で展示され、他にもパウル・クレー、ジャクソン・ポロックといった20世紀を代表する作家から、荒川修作、横尾忠則など戦後日本美術を代表する作家までの作品が、幅広く展示されている。リオープンにあたり、作品の説明キャプションが取り除かれたことで、私たちはまず、ダイレクトに作品に対峙することになる。展示室に差し込んでいる光や窓から見える風景をも作品の一部と捉えながら、空間と身体を共鳴させてそれらを味わうことができるのだ。気になった作品があれば、美術館のホームページにアーカイブされたコレクションカタログから映像や資料と合わせて、より理解を深められる。
軽井沢の森の中を抜けていく風、庭園に優しく降り注ぐ木漏れ日、川の水が流れる音。この地で脈々と受け継がれてきた自然の営みの中で、静かに佇む作品たちは、人間と自然のあいだにある距離感を問いつづけてきた。
日本の近代美術史の中で歩んできた歴史と、浅間山の自然の中で太古から培われてきたものを、より身体で感じられるようになったセゾン現代美術館。ふと肩の力を抜き、軽井沢の大地の鼓動に身を委ねてみる。その中で反応した自身の記憶や感情と重ねあわせることで、未来に手渡されていく作品と呼応できる場所に、ぜひ足を運んでみてほしい。
Event Informationセゾン現代美術館コレクション展「ソコからみたキセキ」
会期:2026 年 6⽉ 26⽇(⾦)〜 8⽉ 23⽇(⽇)
会場:セゾン現代美術館(⻑野県北佐久郡軽井沢町⻑倉芹ケ沢2140)
開館時間:10:00〜18:00(入館は17:00まで、カフェL.O.は17:30まで)*事前予約制・⽇時指定
休館日:展示期間中は無休
⼊館料 : ⼀般 前売り券 ¥3,000、当⽇券 ¥3,300 学⽣ 前売り券 ¥2,000、当⽇券¥2,200 ⼩学⽣以下・障がい者 + 付添 1名 前売り券、当⽇券ともに無料(QR コード予約は必要)
*一般・学生チケットは、館内カフェでのドリンク ( 有機茶と⼲菓⼦ ) 付き。
*館内は完全キャッシュレス
写真提供 : セゾン現代美術館












































