〈御菓子丸〉が一皿で表す、京都、寺社仏閣の風景
狸谷山不動院に寄せた「のこり火」。【〈御菓子丸〉が一皿で表す、京都、寺社仏閣の風景 vol.28】August 08, 2026


京都で和菓子を制作する〈御菓子丸〉が、四季折々の寺社仏閣の風景を、独創的な菓子と文とで表現。京都の風景に思いを馳せたくなる、美しい一皿を紹介します。

京都・一乗寺にある狸谷山不動院。山へこもって厳しい修行をすることで悟りを得ることを目指す修験道の霊場として知られる。昭和初期、多くの人が参拝できるよう山を開き、250段もの階段を整備して現在の寺の基礎が築かれた。
長い階段を一段一段登ってお寺に着いたときには、街の騒音が遠のき、山のしっとりとした空気に包まれる。日常から少し切リ離されたような感覚を得ると、階段を登る行為そのものが、修行の入りロだったのだろうかと感じられた。
7月に行われる火渡り祭では、修験僧が焚き上げた護摩の残り火の上を素足で歩くことで、無病息災や願いの成就を祈る。火渡りと聞くと熱さを我慢する行事を想像してしまうが、実際は温かく心地よい印象で、足裏からじんわりと熱が伝わる。その煙の香りや護摩が大きく燃える様は、祭りが終わった後も余韻が残る。
この世から少し浮いたような半透明な琥珀糖の道の上に、黒い火床に見立てた黒胡麻とブルーベリーを散らした。ブルーベリーは燻製し、口に入れると火渡りの煙の香りが蘇る。
火渡り祭は毎年7月第4土曜19時から開催。▽『狸谷山不動院』京都市左京区一乗寺松原町6 ☎︎075-722-0025 拝観10時〜15時 無休 入山料500円
photo : Yoshiko Watanabe
*『アンドプレミアム』2026年9月号より
和菓子作家 杉山早陽子
1983年三重県生まれ。老舗和菓子店での修業を経て、2006年から和菓子ユニット〈日菓〉として活躍。2014年から〈御菓子丸〉を主宰している。








































