TRAVEL あの町で。
建築やアートを巡る旅。石川・金沢を味わうための6冊の本。後編July 22, 2026
情緒ある城下町として人気の高い金沢は、ぶらりと街歩きするだけで伝統的な町家からモダン建築、そして現代アートにまで出合える稀有な街でもある。そこで〝本を片手に建築とアートを巡る〞旅を、小さな不動産会社『ことのは不動産』を営む松本有未さんが案内。歴史ある街特有の奥深さへと誘う。&Premium152号(2026年8月号)「旅と、本と」より、「建築やアートを巡る旅。石川・金沢」を紹介します。
この記事は後編です。前編はこちらから。23のスポットを紹介する中編はこちらから。
美しい建築とアートが息づく、金沢の街歩きが面白くなる6冊。
『金沢を歩く』 著 山出 保(岩波新書)

20年にわたり市長を務めた山出保が、金沢の歴史、文化、職人技、暮らしの魅力を描きながら、観光都市としての街づくりの思想を伝える。「山出さんは街の骨格を作った人という感じ。いろんな政策の裏話的な話も面白いです」
『室生犀星詩集』著 室生犀星 編 福永武彦(新潮文庫)

金沢の三大文豪の一人による詩集。「犀星は住人にとって割と身近な存在なんです。詩のなかにけっこう地名も出てきて、ここのことだ、というのがわかる。あと、金沢のちょっと暗さのある湿った情緒を感じることができます」
『消えつつ 生まれつつ あるところ』編 清水 冴 松本有未(NPO法人綴る)

人や建物、地域の〝喪失と再生〞をテーマとした、金沢・菊川に残る空き家を活用したアートプロジェクトの展覧会カタログ。空き家を植物の休眠になぞらえて、作品を通して土地の記憶や新たな生の兆しを浮かび上がらせている。
『夜明け前に会いたい』著 唯川 恵(文春文庫)

金沢で母と暮らす女性が、加賀友禅作家との恋を通して、家族や自身の生き方に向き合っていく恋愛小説。着物文化や雪景色の街並み、犀川周辺の風景、茶屋街など金沢ならではの風土や美意識が物語全体から立ち上ってくる。
『サカロジー 金沢の坂』著 国本昭二(時鐘舎新書)

坂の多い金沢の地形に着目し、名前の由来や周辺の歴史、寺社、武家地の痕跡、人々の暮らしとの関わりをたどるエッセイ集。「石伐坂や蛤坂など、坂にはそれぞれ個性的な名前が付いているのですが、その由来などもわかります」
『感光する私の金沢 ライカで撮った街 1990-2025』著 中村祐二郎(龜鳴屋)

写真家・中村祐二郎がライカを手に35年にわたり撮影した金沢の街並みや人々の営みをまとめた写真集。3種類の表紙がある。「街を歩きながら、昔の風景と今を見比べるのも楽しいです。切り取り方も中村さん独特で見応えがあります。

加賀百万石と謳われた北陸の城下町。街の中心を挟むように犀川と浅野川が流れる。街なかの移動は頑張れば徒歩で回れ、路地を入ったところに個人店があるなど意外な出合いがあるので、ぜひ街歩きするのをお勧め。他に路線バスや主要観光地を循環する「城下まち金沢周遊バス」、レンタサイクルもあるので移動手段には事欠かない。2009年にユネスコ創造都市(クラフト部門)に認定。東京から北陸新幹線で約2時間30分。

松本有未『ことのは不動産』代表
石川県生まれ。金沢大学卒業後、出版社や金沢R不動産を経て、2014年『ことのは不動産』を設立。中古住宅や古い物件の魅力を丁寧に掘り起こし、それぞれの人に合う不動産仲介を行う他、空き家を地域に開くNPOを運営。
photo : Masanori Kaneshita illustration : naohiga edit & text : Wakako Miyake







































