音楽家 Meadowさんが選ぶ土曜の朝と日曜の夜の音楽。vol.4March 22, 2024

中世・ルネサンスの古楽。イギリスのフォーク。クリスマスに聴くナット・キング・コールのカセットテープ。アジアやアフリカ、中東や東欧のあらゆる国の民族音楽。幼き頃父親に聞かされて「？」だったスティーブ・ライヒやジョン・ケージの音楽。ウィリアム・ギロックのピアノ曲。三波春夫の「会津磐梯山」。ビートルズ。そこから出会っていくポップス、ロック、ヒップホップ、R&B。アシッドフォークやエレクトリックな音。違うジャンルの音楽に一種の共通性を見出すのも好きだった。父親が古楽器の研究復元製作家というマニアックな職種だったゆえに決して豊かな生活ではなかったけれど、幼い頃から様々な音に触れられたことは何にも変え難い贈り物。色々並べ立てたけれど、ふとナット・キング・コールの「Mona Lisa」を聴いてみたら、一気に記憶が原風景へと旅をした。幼い頃住んでいた米軍ハウスのリビング、旅の夜道の車の中。いろんなシーンで聴いた。そして父親のことも思い出している。生きていると色んなことがあるけれど、音のある景色は豊かな記憶となる。自分のルーツに思い巡らせながら世界中の愛ある素晴らしい音楽たちに感謝する夜。
アルバム『Unforgettable』収録。