Music

音楽家 Meadowさんが選ぶ土曜の朝と日曜の夜の音楽。vol.3March 15, 2024

March.15 – March.21, 2024

Saturday Morning

Title.
Time Of No Reply
Artist.
Nick Drake
「寒の戻り」の日もあるけれど、陽の光がだんだんに強くなってきました。
悩んだり、マイナスな思考になったりしがちなとき、忙しいときこそ太陽のエネルギーを感じ、身体を動かすことで瞬時に解決したり、捗ったりすることってあるよね。とってもシンプルなのよね(と思いつつ、部屋にこもって作業中の今。 畑仕事したい!)。
木々の枝に小さな芽をみつけた時の喜び。地べたの茶色の中から野花が可憐に細かく揺れている。春菊や大根の葉から黄色や薄紫の花が咲いて畑は花畑に。その間を虫や蝶が飛び交いはじめる。地続きではあるのだけど、次の物語や循環へと移行している。
いよいよ卒園を迎える娘。彼女も今まさに大きく変化する時に立っていて日々日々、彼女の表情が逞しくなって行くのを感じでいる。共に片道30分の道のりを通ったこの道も、四季折々毎日違う景色を見せてくれた。ここ最近は、園に通った五年間の日々を走馬灯のように想い出す日々。そして彼女が産まれた日のことも思い出す。
春、鳥の鳴き声が美しく響く日だった。この日から春の景色が私の中で特別なものになった。彼女のおかげで新しい景色がさまざまに広がったのは言うまでもない。田んぼにレンゲが咲く頃、彼女は7歳になる。変化してゆくとき、終わってはじまるとき、新しい朝に。様々な感情を包み込んでくれる一曲。ニック・ドレイクの歌とギターに絡むストリングスと管楽器のサウンドが、春の芽吹きの景色の中に吹く風のようだ。
アルバム『Made To Love Magic』収録。

Sunday Night

Title.
Dice
Artist.
Konradsen
演奏の旅や、レコーディングなどで遠出をするとき、移動の飛行機や電車の中は、集中して様々な考え事ができて、溜まった作業がとても捗る。ドタバタな日常で何時間、いや数日もかかる作業がこの凝縮された移動時間の中ですっとできてしまうのだから不思議なものだ。
そして、旅を終えて帰路の乗り物の中では、心地よい疲れと充実感とともにレコーディングした音源や、ライブ音源をさらさらと確認しながらその旅を振り返り、出会えた景色や人たちを思い浮かべる。そしてまた日常へ向かってチューニングして行く。イヤフォンから流れてくる「Dice」。空の上で雲に夕陽が映ってなんとも言えない表情を見せる。旅の余韻と、どこまでも繋がっていて隔たりのない空と、鍵盤を微細に連打する音から始まり水の波紋のように広がるサウンドが絶妙にマッチする。降り立つと辺りは暗くなっていた。週末の夜、また始まる一日に向けてリセットしたい夜に聴くのも素敵だと思います。
アルバム『Saints And Sebastian Stories』収録。
&Music / 土曜の朝と日曜の夜の音楽 Ⅱ

&Music / 土曜の朝と日曜の夜の音楽 Ⅱ

音楽好きの“選曲家”たちが月替わりで登場し、土曜の朝と日曜の夜に聴きたい曲を毎週それぞれ1曲ずつセレクトする人気連載をまとめた「&Music」シリーズの第2弾。 23人の選曲家が選んだ、週末を心地よく過ごすための音楽、全200曲。 本書のためだけにまとめた、収録作品のディスクガイド付き。

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音楽家 Meadow

baobab、「カテリーナ古楽器研究所」として活動するmaikaのソロプロジェクト。2021年始動。自身のヴォーカル、ピアノ、フィドルやヴィオラなどを軸に、抽象的かつ、風景の中を漂うような音世界が響く。水の漂いや光のプリズム、風にたなびく草原、自然に身を委ね包まれるような感覚、時にスモーキーさも含んだサウンドが流れる。2021.1st EP「eau」、2022.5 1stアルバム『オーソルフー』リリース。 2022.5.田辺玄、haruka nakamuraをはじめ、あだち麗三郎、松本未來など多様なアーティストをゲストに迎えた1stアルバム『オーソルフー』をリリース。2023.orbeとともに全国 19ヶ所、28公演のリリースツアーを開催。様々な作品、CM、劇判などにも携わる。 最新作、Meadow × Gen Tanabe名義でのコラボレーションアルバム『Two Lands』を 2024.2.17にCDとデジタルにてリリースした。Meadow(メドウ)とは、草原を意味し、またメドウガーデンとは、自然の生態系により近い庭づくりを意味する。家と外の世界を繋ぐような庭。

instagram.com/meadow__mw?igsh=m3b3b2psbww1dwsw&utm_source=qr

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