& Premium (アンド プレミアム)

Music土曜の朝と日曜の夜の音楽。

空間プロデューサー 山本宇一


December 29, 2017 今月の選曲家 山本宇一

December.29 – January.04, 2018

Saturday Morning

Title.
A Corner
Artist.
John Frusciante
先週の喧噪が静まり、一年でもっとも艶っぽい時間が流れる季節。みんなが散りぢりにどこかへ行ってしまうこんなときこそ、僕は日常の真ん中にいるのが好きです。レッド・ホット・チリ・ペッパーズの何百万枚も売ったヒットアルバム2つの真ん中でフルシアンテが吹き込んだもう一人の自分。栄光も地獄も目の当たりにして蘇ったジョン・フルシアンテ。シンプルに演奏が始まり静かに盛り上がっていく彼の歌、ギター。成功してもなお自分に向き合う彼の眼差しは優しく、姿勢はしなやかに強い。一年、起きたさまざまな記憶を振り返りながら、力をもらいます。
アルバム『DC EP』収録。

Sunday Night

Title.
Atom Heart Mother
Artist.
Pink Floyd
大晦日の夕方なら、窓から見える街がとっぷりと暮れる時間にフルシアンテの 「Before The Beginning」 が神々しく断然だけれど。こんな仕事を始めてから因果か、いつも僕は今宵、店から店へ移動しながらカーラジオから紅白。でも昔ずっと何年もこの大晦日にピンクフロイドの 「Atom Heart Mother」を聴いて過ごしました。レコード片面一曲23分。音が鳴り始めた瞬間いつもの場所に引き戻される。沢山のメロディが現れては消え、情感は移り変わり気付けば曲に没頭、日付も変わり一年分の浄化終了、除夜のロック。心が落ち着く。おやすみなさい良いお年を。
アルバム『Atom Heart Mother』収録。

『&Premium』特別編集
『&Music/土曜の朝と日曜の夜の音楽』 好評発売中。

andmusic-h1-img
ミュージシャンやクリエイター、写真家など、音楽好きの“選曲家”たちが月替わりで登場。 土曜の朝と日曜の夜に聴きたい曲を毎週それぞれ1曲ずつセレクトする連載が、初めて一冊にまとまりました。 23人の選曲家が選んだ、週末を心地よく過ごすための音楽、全204曲。 本書のためだけにまとめた、収録作品のディスクガイド付き。 詳しくはこちら

December 22, 2017 今月の選曲家 山本宇一

December.22 – December.28, 2017

Saturday Morning

Title.
You Don’t Know Me(featuring Regina Spektor)
Artist.
Ben Folds
これはベストシーズンだよね、木枯らしに襟立てて誰かと待ち合わせして、子どもだったら冬休みが始まって、有馬記念で胸が熱くなって、ベストシーズンだったよね。一年で一番心が温まったよね。もう大人だからかな。ベン・フォールズ とレジーナ・スペクター がかけ合いで歌う、あなたは私のことをまったく分ってない。かわいらしい。土曜の朝からどうなってんだ、ベストシーズンだよ。でも楽しいじゃないちょっと弾む感じでこんな曲が流れて、分ってくれないなら、分かり合うために今日も街に出ましょ。今年ももうじき終わります。
アルバム『Way To Normal』収録。

Sunday Night

Title.
O Caroline
Artist.
Matching Mole
街でたくさんクリスマスソングを聴いたかな。でも頭の中では違う曲が流れているよね。マジー・スターが聖夜だったりするときもあるし、ケイトブッシュはいつもHOLLYだし、ポールもワンダフルだし、陽水と清志郎が、帰れない二人を残して星は帰ろうとしている、と歌えば灯が消えた街が目に浮かぶ。僕は寒さを楽しみながらこの曲が頭の中に流れてきます。ロバート・ワイアットがメロトロンとオルガンに乗せて隅々に染み渡るまで歌うラブソング。こんな気持ちが喧噪の街と裏腹に頭をぐるぐるします。誰かといる人もいない人もメリークリスマス。おやすみなさい。
アルバム『Matching Mole』収録。

『&Premium』特別編集
『&Music/土曜の朝と日曜の夜の音楽』 好評発売中。

andmusic-h1-img
ミュージシャンやクリエイター、写真家など、音楽好きの“選曲家”たちが月替わりで登場。 土曜の朝と日曜の夜に聴きたい曲を毎週それぞれ1曲ずつセレクトする連載が、初めて一冊にまとまりました。 23人の選曲家が選んだ、週末を心地よく過ごすための音楽、全204曲。 本書のためだけにまとめた、収録作品のディスクガイド付き。 詳しくはこちら

December 15, 2017 今月の選曲家 山本宇一

December.15 – December.21, 2017

Saturday Morning

raw
Title.
Sowa
Artist.
Fatoumata Diawara
土曜の朝、目が覚めると知らない言葉が飛び交い、聴いたことのないメロディーと優しい歌声に包まれながら、異国の市場に紛れ込んだようなウィークエンドトリップ。見知らぬ世界へ想いを馳せる週末のデイドリーム。彼女の生まれは西アフリカのマリ共和国。全然知らない、完全エスニックの境地。ここから出発する週末は日常の風景も生き生きとして見えるロードムービー。亜熱帯気候で生まれた彼女の少ししゃがれた声が冬の朝の陽射しに溶け込んでいく。ニューヨークの小さなレコード屋で耳にして以来、僕の心から離れません。
アルバム『Fatou』収録。

Sunday Night

0
Title.
For You
Artist.
Heron
ウィークエンドトリップはアフロディテス・チャイルド、カン、インクレディブル・ストリング・バンドの曲を聴き、さらにイギリス、バークシャーの屋外でレコーディングされた鳥の鳴き声、風の音も入り込んだ木漏れ日フォークのアルバムの中からこの曲を。1970年のデビューから45年以上経た彼らのライブをとても小さな会場で観た。ギターと変わりない美しいコーラスを携えて彼らの旅は今も続いている。遠くを走り去る電車の音は旅の終わりか旅の続きか。屋外の風に吹かれながら歌うこの曲を聴きながら、ストレンジな終わらぬ週末旅行も途中でベッドに入る。おやすみなさい。
アルバム『Heron』収録。

『&Premium』特別編集
『&Music/土曜の朝と日曜の夜の音楽』 好評発売中。

andmusic-h1-img
ミュージシャンやクリエイター、写真家など、音楽好きの“選曲家”たちが月替わりで登場。 土曜の朝と日曜の夜に聴きたい曲を毎週それぞれ1曲ずつセレクトする連載が、初めて一冊にまとまりました。 23人の選曲家が選んだ、週末を心地よく過ごすための音楽、全204曲。 本書のためだけにまとめた、収録作品のディスクガイド付き。 詳しくはこちら

December 08, 2017 今月の選曲家 山本宇一

December.08 – December.14, 2017

Saturday Morning

Title.
First Light
Artist.
Harold Budd Brian Eno
師走の週末にはどっと疲れとかきて朝これ聴きます。淹れたてのコーヒー飲むのもめんどうくさくて、冷めちゃってもむしろ合います。いわゆるイーノのアンビエントシリーズの始めの方です。ロキシー・ミュージックもトーキング・ヘッズも大好きでこれ買いましたけど、ロンゲで変な音ばかり出していた人が、ピロピロとりとめもないレコードを何枚も出して、20代のロック少年の僕には高尚すぎて全然わからなかった。今はこれが身体の隅々まで気持ち良すぎます。身体の中でこの音楽が鳴ってるみたいです。イーノみたいに人生大転換した人大好きです。
アルバム『Ambient 2 Plateaux of Mirror』収録。

Sunday Night

Title.
Older Now and Younger Then
Artist.
Hunt & Turner
ブリティッシュフォーク。このジャンルの音楽もよくわからなかったけど、ある時から急に良くなった音楽です。この曲のイメージだけで一軒お店を作ったこともあります。この曲が一番良く聴こえるようにアコースティックギターが艶やかに鳴って、静かな部屋でボーカルが響き渡るような音響のセッティングをしました。ほかにはベースとボンゴの音が鳴ってるだけです。冬の夜に暖炉のチロチロ燃える火を眺めながら聴きたいくらい僕は大人になったのです。大人の日曜だったなあ、と。ああ遠くまで来たなあ、と。
アルバム『Magic Landscape』収録。

『&Premium』特別編集
『&Music/土曜の朝と日曜の夜の音楽』 好評発売中。

andmusic-h1-img
ミュージシャンやクリエイター、写真家など、音楽好きの“選曲家”たちが月替わりで登場。 土曜の朝と日曜の夜に聴きたい曲を毎週それぞれ1曲ずつセレクトする連載が、初めて一冊にまとまりました。 23人の選曲家が選んだ、週末を心地よく過ごすための音楽、全204曲。 本書のためだけにまとめた、収録作品のディスクガイド付き。 詳しくはこちら

December 01, 2017 今月の選曲家 山本宇一

December.01 – December.07, 2017

Saturday Morning

andpremium
Title.
風をあつめて
Artist.
はっぴいえんど
先日、中野サンプラザで細野晴臣さんのライブを観ました。今年の10月に亡くなった遠藤賢司さんの「寝図美」という猫を海に連れ出す1971年の曲「寝図美よこれが太平洋だ」を演奏していました。スモッグの雨が降る東京に住んでいればみんなそのうち真黒けになるから、海の見える丘の上で遊んで笑って暮らしたいね、と猫に歌います。この曲で細野さんはウッドベースを弾いています。駒沢の珈琲屋さんは土曜、午後からたくさんの人が訪れます。朝、人の訪れる前の静けさにこの歌を思ひ出す。同じ1971年のこの曲はそんな朝の原風景です。何も変わっていないと。僕は当時8才。
アルバム『風街ろまん』収録。

Sunday Night

andpremium
Title.
Snow (Hey Oh)
Artist.
Red Hot Chill Peppers
結局のところ土曜の朝と日曜の夜とは一山超えた麓と麓だな。したがってメロウで始まって途中どんなに盛り上がってもメロウで終わる。間抜けにもモタモタ熱を引きずって、あれれ待ってよなんて、諦めきれない山の中腹で歌い出すような日曜日午後10時。月曜の朝なんて眩しすぎるからこのまま彷徨っていようかしら。家のソファまで辿り着けない行き場のない美しいラブソング。チロチロチロチロギター弾くフルシアンテはそんな夜の案内人。こっからだよって言われても。メロウに終われない期待に応えられない54才。Tell me baby.みなさんおやすみなさい。
アルバム『Stadium Arcadium』に収録。

『&Premium』特別編集
『&Music/土曜の朝と日曜の夜の音楽』 好評発売中。

andmusic-h1-img
ミュージシャンやクリエイター、写真家など、音楽好きの“選曲家”たちが月替わりで登場。 土曜の朝と日曜の夜に聴きたい曲を毎週それぞれ1曲ずつセレクトする連載が、初めて一冊にまとまりました。 23人の選曲家が選んだ、週末を心地よく過ごすための音楽、全204曲。 本書のためだけにまとめた、収録作品のディスクガイド付き。 詳しくはこちら

空間プロデューサー 山本宇一

1964年東京生まれ。
http://www.heads-west.com