MUSIC 心地よい音楽を。

コーヒーのように体に馴染む音楽を。大阪・西田辺『コーヒー ロング シーズン』。August 23, 2026

カルチャーのあるカフェや喫茶店は、音楽との思いがけない出合いをもたらしてくれるかけがえのない存在です。店のスタッフが選んだ15枚のアルバムリストとともに、大阪・西田辺『コーヒー ロング シーズン』を紹介します。

コーヒーのように体に馴染む音楽を。大阪・西田辺『LONG SEASON』。 | 府道30号線に向けた大きな窓から陽射しが入る店内には店主、沖田卓也さんのお気に入りが所狭しと。レコードプレーヤーは〈Technics〉。
府道30号線に向けた大きな窓から陽射しが入る店内には店主、沖田卓也さんのお気に入りが所狭しと。レコードプレーヤーは〈Technics〉。
コーヒーのように体に馴染む音楽を。大阪・西田辺『LONG SEASON』。 | ドイツ製〈PROBAT〉の古い焙煎機も。
ドイツ製〈PROBAT〉の古い焙煎機も。

コーヒーのように体に馴染む音楽を。

難波から地下鉄で南へ15分ほどの西田辺。下町風情溢れる住宅街にある『コーヒー ロング シーズン』は、かつて喫茶店だった店舗をほぼ居抜きで受け継ぐ小さな喫茶店だ。店主の沖田卓也さんはこれまで「純粋にコーヒーを研究したくて」福岡や大阪などのカフェで修業し独立。一見、昔ながらの喫茶店だが、メニューはシングルオリジンのみ、というストロングスタイルで、次世代型喫茶と呼べるかもしれない。その心はローカルな場所で、まだまだ浸透していない「スペシャルティコーヒーの魅力を伝えていきたい」から。「関西人なので出汁文化を意識して(笑)、クリアだけど甘味を感じる」抽出を心がけている。BGMは「柔らかい音楽を。コーヒーのように体に馴染む、液体のような音楽」が選盤基準。「コーヒーも音楽も、日常とは別の世界を見せてくれる。そこが同じだと考えています」

コーヒーのように体に馴染む音楽を。大阪・西田辺『LONG SEASON』。店内は6席ほど。スピーカーはデンマーク〈DALI〉製で椅子などはヴィンテージの北欧家具。 | 店内は6席ほど。スピーカーはデンマーク〈DALI〉製で椅子などはヴィンテージの北欧家具。
店内は6席ほど。スピーカーはデンマーク〈DALI〉製で椅子などはヴィンテージの北欧家具。
コーヒーのように体に馴染む音楽を。大阪・西田辺『LONG SEASON』。店舗は40年以上続いた元喫茶店を改装。 | 店舗は40年以上続いた元喫茶店を改装。
店舗は40年以上続いた元喫茶店を改装。
コーヒーのように体に馴染む音楽を。大阪・西田辺『LONG SEASON』。果実の甘味が感じられるエルサルバドルのコーヒー(¥800)。手作りのチーズケーキ(¥500)。焙煎された豆も販売。
果実の甘味が感じられるエルサルバドルのコーヒー(¥800)。手作りのチーズケーキ(¥500)。焙煎された豆も販売。

『コーヒー ロング シーズン』店主、沖田卓也が選ぶ、店を形づくるレコード15枚。

『Sweet Dreamin’』Tex Crick

オーストラリア出身のシンガー・ソングライターによる2023年作。「どこか気持ちを解いてくれるような清々しいアルバム。開店時にかけることが多いですね」

『Hochono House』細野晴臣

1973年のソロデビュー作である名盤『Hosono House』を曲順を逆にして自身でリメイクした一枚。「優しくて、かっこよいアルバム。飽きずに聴き続けられる一枚」

『This Old Dog』Mac Demarco

2017年の本作で日本でも人気となったカナダ出身のシンガー・ソングライター。「細野さんへの憧れも感じる。洗練されているけれど全体に温かい雰囲気も」

『Pink』曽我部恵一

ソロ活動10周年となった2011年の作品。「自分の中で曽我部さんの音楽は外せないですね。コーヒーと恋愛と(笑)。いろんな生活の幸せを包み込んでくれるような音楽」

『Riot On An Empty Street』Kings Of Convenience

ノルウェーのポップデュオによる名作。「お洒落なアルバムだけど、切なさと静けさも。時代性を問わない内容で店のBGMとしても合う」

『Bound To Rise』Chris Brain

イギリス・ヨークシャー出身の青年によるフォーク作品。「森の中で聴きたいような柔らかい音楽。アナログならではの優しい音」。店で最も尋ねられる一枚だそう。

『Journey To Addis』Third World

「コーヒーで有名なエチオピア(Addisは首都アディス・アベバ)への道ということで。レゲエだけどジャズのテイストも。昼時にかけることが多いですね」

『Life』小沢健二

「リリースされた1994年当時のゴキゲンは今でも輝き続けてますね(笑)。この店のBGMでは、最もポップな音楽ですが、アナログでじっくりと聴きたいサウンドでもあります」

『The Room』Fabiano Do Nascimento & Sam Gendel

ブラジル出身のギタリストとLAのサックス奏者による、鬼才と奇才によるコラボ作品で、南米の民俗音楽をリアレンジ。2024年作。

『Notes With Attachments』Pino Palladino, Blake Mills/

「店にあるレコードの中で一番かっこいい音楽かもしれません。一音、一音に耳を傾けるという感じで」。サム・ゲンデルも参加。

『Atlanta Millionaires Club』Faye Webster

アトランタ出身のシンガー・ソングライターの3作目。「気怠いヴォーカルが特徴的で永遠に聴けてしまいそうですね。特に夕方にかけたい一枚」

『Mother』Cleo Sol

「基本的に店のBGMでは、R&Bなどのブラックミュージックをかけることは少ないのですが、この柔らかい歌声は店の雰囲気にも違和感なく溶け込むので時々かけてます」

『Bright Future』Adrianne Lenker

ブルックリン発のロックバンド、ビッグ・シーフのフロントウーマンとしても知られる音楽家の2024年作。アナログ機材で録音された温かいサウンドが特徴。

『Sleepless Night』Yo La Tengo

USインディーシーンを代表するロックバンドの2020年作。アートワークは奈良美智。「閉店間際にかけることが多い一枚ですね。どこか子守唄のような」

『Carlos Aguirre Grupo』Carlos Aguirre Grupo

コーヒーのように体に馴染む音楽を。大阪・西田辺『LONG SEASON』。

今年アナログ化されたアルゼンチンを代表する音楽家による2000年発表の通称“Crema”。最近は「現代的な解釈のフォルクローレも好み」。

『コーヒー ロング シーズン』大阪・西田辺

大阪市阿倍野区播磨町1‒8‒19 ☎06‒6606‒8366 10:00~19:00 火休 2022年開業。店名はフィッシュマンズの曲名と「コーヒーを年中味わってほしい」思いから。

photo : Yoshiki Okamoto edit & text : Yusuke Nakamura (Happennings)

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