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町家自体が鳴るような喫茶空間。京都・岡崎『しばし』。August 22, 2026

カルチャーのあるカフェや喫茶店は、音楽との思いがけない出合いをもたらしてくれるかけがえのない存在です。店のスタッフが選んだ15枚のアルバムリストとともに、京都・岡崎『しばし』を紹介します。

町家自体が鳴るような喫茶空間。京都・岡崎『しばし』。スピーカーは〈LOCKWOOD〉。庭から竹林の葉音など、自然音がレコードに混じる。 | スピーカーは〈LOCKWOOD〉。庭から竹林の葉音など、自然音がレコードに混じる。
スピーカーは〈LOCKWOOD〉。庭から竹林の葉音など、自然音がレコードに混じる。
町家自体が鳴るような喫茶空間。京都・岡崎『しばし』。ターンテーブルはイギリスBBC御用達としても知られる〈Garrard〉、真空管アンプは〈LEAK〉。 | ターンテーブルはイギリスBBC御用達としても知られる〈Garrard〉、真空管アンプは〈LEAK〉。
ターンテーブルはイギリスBBC御用達としても知られる〈Garrard〉、真空管アンプは〈LEAK〉。

町家自体が鳴るような喫茶空間。

平安神宮に程近い閑静な住宅街にある『しばし』は築100年以上の大きな京町家を改装した喫茶で、いわば和のリスニング・サロン。音楽レーベルを主宰しながら、このスペースを運営する中村周市さんは「音楽を通して、ここが日常と非日常の間にあるような場所になれば」と考えている。音響機器はもともと中村さんの私物で年代物の英国産。畳に鎮座する巨大スピーカー、床の間にセットされた真空管のオーディオシステムも和空間に同調する家具のようで違和感がない。「余計な演出はせずシンプルに。空間に余白を持しています」とのこと。つまりコーヒーとともに音楽の鳴りをピュアに体感するための場である。レコードは「スピーカーからだけでなく、町家全体から鳴っているような感覚が味わえると思います。そんな環境で非日常の世界に没頭できる音楽をセレクトしています」。

町家自体が鳴るような喫茶空間。京都・岡崎『しばし』。コーヒーは喫茶『woven』の『しばし』オリジナル中深煎りブレンド(¥700)。タルトタタン(¥800)はケーキ店『ラ・ヴァチュール』特製ヴィーガン仕様。他に季節の漢方茶や『御菓子丸』の琥珀糖などの和菓子も。 | コーヒーは喫茶『woven』の『しばし』オリジナル中深煎りブレンド(¥700)。タルトタタン(¥800)はケーキ店『ラ・ヴァチュール』特製ヴィーガン仕様。他に季節の漢方茶や『御菓子丸』の琥珀糖などの和菓子も。
コーヒーは喫茶『woven』の『しばし』オリジナル中深煎りブレンド(¥700)。タルトタタン(¥800)はケーキ店『ラ・ヴァチュール』特製ヴィーガン仕様。他に季節の漢方茶や『御菓子丸』の琥珀糖などの和菓子も。
町家自体が鳴るような喫茶空間。京都・岡崎『しばし』。 | 岡崎公園から徒歩5分ほどの位置。
岡崎公園から徒歩5分ほどの位置。

『しばし』運営者、中村周市が選ぶ、店を形づくるレコード15枚。

『Ambient 1(Music For Airports)』Brian Eno

アンビエントミュージックの記念碑的名作。「すべては移ろいゆき、何かが起こることに、しがみつくのではなく身を委ねるという気持ちに」

『あかるいくらい』浮

米山ミサのソロプロジェクト。「お馴染みのBGM。歌詞も素晴らしい。さらさらと楽器のように言葉が出てくる」。10月には『しばし』店内にて弾き語りライヴを開催した。

『Lust』Rei Harakami

今は亡き京都発の電子音楽家による、まるで時空を捻じ曲げるような奥行きのあるエレクトロミュージック。「『しばし』の空間すべてを覆うようなアルバム」。2005年作。

『12』坂本龍一

闘病生活中に日記のようにスケッチを録音したという2023年作。「『しばし』で聴いていると、庭の音などと混じり、この空間の全体の環境音として聴こえてくるようなアルバム」

『Whatever The Weather』What ever The Weather

UK発のエレクトロアーティストLoraine Jamesによるアンビエントプロジェクト作品。「BGMは比較的、イギリスものが多いかもしれません」

『オクノ修』オクノ修

1972年に100枚限定でリリースされた、喫茶店『六曜社地下店』のマスターの1stアルバム。「幻のアルバム。録音も素晴らしい」。先日『しばし』で試聴会を開催。

『Abbey Road』The Beatles

「『しばし』のスピーカーは、アビーロードスタジオにあったものと同年代、同機種のモニタースピーカーで」。一味違うビートルズが『しばし』で味わえるはず。

『Bach: The Goldberg Variations,BWV988(1981 Recording)』Glenn Gould

「日本のソニーがカッティングをやり直した日本産の名作。滑らかな音の仕上がり。雨の音に混じるとより趣がありますね」

『Ágætis Byrjun』Sigur Rós

アイスランドを代表するポスト・ロックバンドの2ndアルバム。「音質的に、もう異世界に連れていかれてしまうような、そんな一枚だと思います」。1999年作。

『Kid A』Radiohead

「録音が本当に特徴的な作品で。自慢じゃないけど『しばし』で聴くと違いがわかると思います。今まで聴いていたものはなんだったんだ?と」。2000年の金字塔的アルバム。

『Undercurrent』Bill Evans, Jim Hall

ジャズピアニスト、ビル・エヴァンスとギター、ジム・ホールの1962年作。「’60年代のモノラル録音で素晴らしい音が聴ける。ジャケットも幻想的で良いですね」

『Solo Concerts: Bremen & Lausanne』Keith Jarrett

1973年、ドイツとスイスでのコンサートを収録。「BGMに悩んだときはキース・ジャレット。どんな空間にも合うピアノだと思います」

『Syro』Aphex Twin

テクノ、エレクトロ界の鬼才による現時点での最新アルバム。2014年作。「とにかく音響がスゴくて、聴いていると体ごと持っていかれるようなアルバムですね」

『In C』Terry Riley

ミニマルミュージック界の先駆者にして巨匠による代表作。今年の春に本人が『しばし』に滞在した縁もあり、12月には清水寺でのライヴ盤がレーベル〈disk sibasi〉から発売。

『鏡の向こう側』高田みどり

町家自体が鳴るような喫茶空間。京都・岡崎『しばし』。『鏡の向こう側』高田みどり/2017年に海外で再評価され、リプレスが国内でも話題となった打楽器奏者の1983年作品。「まさに異世界。聴いていると自分がどこにいるのか、と迷わせてくれる」

2017年に海外で再評価され、リプレスが国内でも話題となった打楽器奏者の1983年作品。「まさに異世界。聴いていると自分がどこにいるのか、と迷わせてくれる」

『しばし』京都・岡崎

町家自体が鳴るような喫茶空間。京都・岡崎『しばし』。スピーカーは〈LOCKWOOD〉。庭から竹林の葉音など、自然音がレコードに混じる。 | スピーカーは〈LOCKWOOD〉。庭から竹林の葉音など、自然音がレコードに混じる。

京都市左京区岡崎天王町76‒16 ☎なし 13:00~20:00 月休(祝日の場合、翌日休)週末はバー営業も。『しばし』発のオリジナル音楽レーベル〈disk sibasi〉も始動。

photo : Yoshiki Okamoto edit & text : Yusuke Nakamura (Happenings)

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