INTERIOR 部屋を整えて、心地よく住まうために。
これからの家の最適解を考える。建築士・坂野由美子さんが新築した17坪の平屋。October 05, 2026
黄金螺旋をヒントにした、無駄のないサステナブルな住居。
木材や資材、工事費などの高騰で、かつてほど簡単には家が建てられない時代だ。光熱費やガソリン代も上がり続けている。住まいを考えるとき、そんな現実に直面する。
「心地よく、現実的なのは、小さくて、サステナブルな家暮らしでは」と話す、建築士の坂野由美子さん。自身も、地元・山梨県内で、17坪の平屋に住む。太陽熱集熱器で電気を供給する仕組みを導入し、冷暖房や、電気自動車に利用している。
「今後の建築を考えたいとも思って、新築しました。おおよそ2000万円強の予算で、長く暮らしを回していけようにと考えたデザインです」
外壁は木張りで、巻き貝のような形。だんだんと縮こまっていくようなカーブを描いているせいか、外からは床面積の数値より小さく見える。
「せっかく建てるのであれば、私の思う、これからの住まいを象徴するような形を表現してみようと思い立って。黄金螺旋から着想を得ました」
植物のツルの伸び方やヒマワリの種子の配列、アンモナイトの殻の形状など、生物の世界には様々な螺旋構造が存在する。
「自然界の神秘にして効率的な生存戦略。つまり、命の仕組みの一部。私も、自然と共存できるようにという願いも込めたつもりです」
葡萄畑を向いた南面の開口部からやわらかな光が注ぐ、ワンルーム。壁に沿ってキッチンと収納が、あとはテーブルとひとりがけのソファ、ベッドがあるだけ。シンプルな暮らしぶりがうかがえる。
「寝て起きて食べて働く。音楽を聴き、星空を見上げる。そのための必要最低限しかありません。皿なら1~2枚、鍋は1つといった具合。だから17坪だと余るくらい」
家のつくりも同様。例えば内外とも、壁の木材を様々な仕上げ材で覆うのをやめた。余計な間仕切りはなし。「価格が抑えられることはもちろん、過剰であることをやめた先の、ありのままなものは清々しい」
よりサステナブルな暮らしを求め、いずれ山の上に移築したいそうだ。
「基礎と躯体の材は残して、外壁の木は張り替え。古くなった外壁材は、ストーブの薪にします」


坂野由美子建築士
関東学院大学工学部建築学科卒。一級建築士事務所〈S PLUS ONE〉主宰。住宅のほか店舗の内装やプロダクトデザイン、コンサルティングなどに従事。
photo : Hinano Kimoto illustration : Shinji Abe text : Marika Nakashima













































