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手仕事が生きるコーカサスの民族衣装にときめく。ジョージア&アルメニア、民芸を巡る旅。写真と文:三宅和歌子(編集者、ライター)#1October 05, 2026

2026年7月、ぽっかりと日程が空いたことから急遽、旅に出ることに。
出かけたのはジョージアとアルメニア。ヨーロッパと西アジアの境界に位置する、南コーカサスと呼ばれる地域です。
ここを目的地に決めたのは、まったく具体的なイメージを持っていなかったから。
どんな国なのか、どんな人たちが住んでいるのか、自分で体感したかった、というのが理由です。
とはいえ、どこへ行っても私が気になるのは、民芸や工芸の世界。
コーカサス山脈に抱かれた圧倒的な自然や1000年以上前に建てられた教会など、見どころはたくさんあるけれど、気がつけば今回も手仕事ばかりを追いかけていました。
なかでも、最初に心をつかまれたのが民族衣装。
アルメニア・エレバンにあるルシク・アグレツィ・ハウス・ミュージアムは、民族衣装好きならば必訪の場所です。
画家であり、アルメニアの民俗文化の保全に尽力したルシク・アグレツィ。
その自邸を美術館にした館内には、彼女が集めたアンティークカーペットやシルバーアクセサリー、陶器、人形などの民芸品が所狭しと並んでいます。
けれど、やっぱり足がとまってしまうのはタラズ(民族衣装)の前。
特に私が好きなのは、菱形や階段状など幾何学文様の刺繍が施されたもの。
いったいどれだけ時間がかかったのだろうと、つい見入ってしまいます。
アグレツィは古い衣装を収集・研究する一方、自らも民族衣装を制作していました。
それもあり、展示されているものについて正確な地域や年代はわからないのだけど、情報なしというのも、なかなかときめきます。
そして、ガラスケース越しではなく、カーペットや家具、器と一緒に、かつての暮らしを思わせる空間のなかで眺められる。
その感じがとてもよく、タラズを見て、古い写真を見て、また戻って……。
たっぷり半日ほど滞在してしまいました。
1階のカフェも気持ちよく、自家製レモネードが抜群に美味でした。
もちろん、民族衣装に出合える場所はここだけではありません。
ジョージア・トビリシでは先史時代からのジョージアの工芸がてんこ盛りのジョージア国立博物館、宮殿を改装したジョージア芸術宮殿。
アルメニアのエレバンでは、金工や木工、陶芸、刺繍、レースなどの手仕事を集めたホヴハンネス・シャランベヤン民俗芸術博物館やアルメニア歴史博物館も工芸の宝庫。
面白いのは、同じ南コーカサスの民族衣装といっても、土地が変われば色も文様も、シルエットも装身具も変わること。
展示室で「あ、これ好き」と思った衣装の前で立ち止まり、細部までじっくりと見る。
その繰り返しでした。
衣装に施された緻密な刺繍や、アクセサリーになっている精巧な金銀細工。
ひとつ気になるものを見つけると、その先にまた別の手仕事へつながっていく。
今はもう、民族衣装を着ている人とすれ違うことは叶いませんが、南コーカサスは、テキスタイルや民芸好きにはたまらない旅先です。
Travel Information for Georgia & Armenia
ルシク・アグレツィ・ハウス・ミュージアム
エレバン市中心部から離れているのでタクシーで。配車アプリはggがおすすめ。
ジョージア国立博物館
ルスタヴェリ通り沿いにはほかにも国立美術館など複数の美術館が集中。
ジョージア芸術宮殿
宮殿の内装も楽しめる。地下鉄Marjanishvili駅から徒歩約10分。
ホヴハンネス・シャランベヤン民俗芸術博物館
エレバン市の中心、共和国広場から徒歩15分程度。
アルメニア歴史博物館
共和国広場に面している、美しい建物。
※トビリシ市の地下鉄やバスはクレジットカード(VISAやMC)のタッチ決済で乗れる。
英語アナウンスあり。
編集者、ライター 三宅和歌子











































