ねこと暮らす

うれしかったことしか覚えていない。校正者・牟田都子のねことの暮らし #4August 23, 2026

うれしかったことしか、覚えていない。校正者・牟田都子のねことの暮らし #4 | 左から、みたらし、ユキチ、文(ぶん)。
左から、みたらし、ユキチ、文(ぶん)。
うれしかったことしか、覚えていない。校正者・牟田都子のねことの暮らし #4 | ユキチ。
ユキチ。
うれしかったことしか、覚えていない。校正者・牟田都子のねことの暮らし #4 | みたらし。
みたらし。
うれしかったことしか、覚えていない。校正者・牟田都子のねことの暮らし #4 | 文。
文。

『猫は、うれしかったことしか覚えていない』(石黒由紀子・文、ミロコマチコ・絵、幻冬舎文庫)の書名は、著者が動物病院で言われた言葉に由来する。飼い猫がちょっとしたいたずらから病院沙汰になり、退院に際して医師に念を押される。ねこに痛い思いをした記憶は残らないから、くり返さないように人間がくれぐれも気をつけて、と。

みたらしは前の飼い主に動物愛護センターに持ち込まれ、ユキチは野外で弱って動けなくなっていたところを保護された。おとな猫ときょうだい猫合わせて9匹の大家族から1匹だけ引き離された文は、何を思っているだろう。わが家で過ごす日々で過去を上書きできたらと願うのも、人間のエゴにすぎない。

ねこと人間、違う生き物同士がひとつ屋根の下に暮らしていると、困ったことだって起きる。買ったばかりのカシミアの手袋を噛みちぎられたり、寝る時間も惜しいくらい忙しいときに仕事をじゃまされたりすると、「もう!」と声を上げそうになる。だけど私はねこよりも忘れやすい。いつかこの日々に終わりが来たときにはきっと、うれしかったことしか覚えていない、とつぶやくのだろう。

牟田都子校正者

1977年、東京都生まれ。みたらし(茶白♂・推定13歳)、ユキチ(白♂・推定11歳)、文(キジトラ♀・0歳)と暮らす。著書に『文にあたる』『校正・校閲11の現場』、編著書に『贈り物の本』など。

instagram.com/satokomogura

photo : Hikita Chisato


校正者 牟田都子

牟田写真_疋田さん撮影
1977年、東京都生まれ。みたらし(茶白♂・推定13歳)、ユキチ(白♂・推定11歳)、文(キジトラ♀・0歳)と暮らす。著書に『文にあたる』『校正・校閲11の現場』、編著書に『贈り物の本』など。

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