INTERIOR 部屋を整えて、心地よく住まうために。
昔の画家のアトリエをイメージ。イラストレーターのイニゴ・グチエレスさんが暮らす、築50年以上のアパート。August 16, 2026
豊かな暮らしを追求する人々を訪ねた&Premium147号(2026年3月号)「部屋を心地よく、整える」より、イラストレーターのイニゴ・グチエレスさんの住まいを紹介します。
昔の画家のアトリエをイメージ。
8年前に来日。現在、日本でイラストレーターとして活動する、スペイン人のイニゴ・グチエレスさん。来日以前から繰り返し見ていた、小津安二郎監督の映画の世界観に憧れて、日本への移住を決めたそうだ。
「京都や奈良などにも出かけましたが、住むなら東京しかないと思ったのは小津映画の影響かもしれません。中央線沿線に、僕が思う日本の懐かしい雰囲気が漂っている気がし、吉祥寺のシェアハウスを経由して、今は別の駅のこの家に住んでいます」
駅から少し離れた、入り組んだ路地を抜けた先にあるアパートで、築50年以上経過しているそうだ。1階に共用玄関がある、昔ながらのつくり。そこから靴のまま、かなり急な階段を上る。板張りのきしむ廊下を進むと、部屋のドアに行き当たる。
「二間に物干し場。必要なものだけが揃い、質素。床の間や木の天井、すりガラス……。古い設えが残り、静かな美しさがある。それらが稀有な魅力として映りました。窓からの光も温かく安らぎをくれるのです」
詳しい資料はもうないが、大家によれば、25㎡。小ささは「正直、家賃との兼ね合い。結果的に正解だった」とイニゴさん。「運び込んだ荷物を解いたら、“forgotten atelier”(忘れられたアトリエ)みたいになったんです。画材や作品に埋もれて暮らす昔の画家のアトリエってこんなふうだったろうって。自分だけの世界に浸るにもちょうどいい」
絵は得意だったものの、大学卒業後はPRとして働いていたという。ところが、来日してから筆を執り直し、この部屋に住み始めたら、様々な縁が繋がり、絵が仕事になった。
「だからここは僕にとって特別な場所。この先、どこに住んだとしても、深く心に刻まれ続けるでしょう」


Inigoイラストレーター
スペイン出身。本国でPR業務に就いた後、来日し、「INIGO STUDIO」として活動。国内外の主要メディア、有名ブランドとの共同プロジェクトも行う。
photo : MEGUMI edit & text : Marika Nakashima










































