ドライブミュージック／MUSIC FOR BETTER LIFE #6 May 2025May 03, 2025

先日、由比ヶ浜で撮影をしていたら、まだ4月だというのに日差しはカンカン。観光で来ている様子の欧米人ファミリーはもう水着で海に入っていました。春すっ飛ばして夏？ な鎌倉です。住民としてここで迎える夏も5回目になります。年々暑くなる気候はシャレになりませんが、気持ちだけでもポジティブに。夏が長くなるなら、その分楽しむだけなのです。

人生の多くを海のそばで暮らしてきた僕としては、本格的な夏休みシーズン、具体的には海開きをしてしまったら、もうビーチには寄り付かない性分です（海のそばに暮らす人あるあるですよね？）。海の家でビールに焼きそばをつまむことくらいはありますが、人でごった返すビーチに長くは居られません。夏らしくも人がまばらな浜辺、そんな理想郷を存分に楽しめるのは今だけです。むしろそれは、海の近くに暮らす人の特権。すると早めの夏もウェルカムな気持ちになってきます。

とりあえず本とコーヒーを持って砂浜に行って、暑くなってきたら足だけでも水に浸して、調子が良ければそのまま泳ぐ。帰りの車ではシートカバーさえつければ、多少濡れていても砂がついていても、着替えなくたって平気です。とはいえ、鎌倉の海沿いを走る134号線は渋滞が常。どうせ時間がかかるならならば、遠回りでも藤沢方面へ行きましょう。進まない車がオーシャンビューのベストスポットに変わります。だんだんと近づく江の島を眺めつつ、のんびりドライブ。なんでもないですが、僕にとってはこの時間がとても幸せなのです。5月に入ったばかりですが、太陽の季節は待ってくれません。今回はテンポのいいドライブミュージックをセレクトしました。

1曲目はJUNGLEのメンバーとしても活躍するジョシュ・ロイドとリディア・キットーによるユニットLoaded Honey。6月にリリースを控える1stアルバムからの先行シングルで、イントロから浮かれ調子で最高です。

3曲目、Coleman Mellettは2009年、35歳で飛行機事故で亡くなってしまったアメリカ人SSW。未発表音源で制作された、先日リリースのアルバム『Sing You A Brand New Song』から選曲しました。

7曲目はフジロックでのヘッドライナーも決まっているVulfpeckの新譜より。個人的にはJoeyのボーカル作品が好きで、今回もグルーヴ感あふれる仕上がりです。

9曲目はフランス出身のSSW・Gabi Hartmannの新譜より。自身の名を冠した2023年の前作も素晴らしかったですが、今回もアルバム通して聴いてほしい内容でした。ぜひレコードで。

10曲目が収録されたNyron Higorの新作アルバムはイギリスの〈Far Out Recordings〉からのリリース。Bruno Berleらブラジルの新たな才能の発掘と、名作の再発を続けている近年注目のレーベルです。

12曲目のNewJeans「Bubble Gum」に負けない輝きを放つのが、13曲目にセレクトしたアルゼンチンの女性3人組ヴォーカル・グループ、TRÍADA。ジョアン・ジルベルトのサンバを軽やかにカヴァーしています。部屋に集まって一曲演ってみました、という力の抜け方もいいです。

そしてこの連載では何度も紹介しているSAULTが昨年末に続いてまたも新作をリリース。15曲目で疾走感のあるナンバーをセレクトしています。

メランコリックな20曲目、Mei Semonesの新作23曲目などなど、他にも新譜から選んだ作品はありますが、長くなったのでこのあたりで。

編集部員によるリレー連載「Good for Me. 編集部が出合ったベターライフ」。ファッションや日用品、おいしいおやつ、旅先で見つけたもの…など、時には極めて私的な視点でお届けする編集部員のオススメはこちらから。