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『エクソフォニー 母語の外へ出る旅』多和田葉子(岩波現代文庫) 選・文/LVDB BOOKSBook 108 / March 23, 2018

This Month Themeスタイルのある女性の本。

多和田葉子は22歳の時にドイツに渡った。彼女は文字通り日本語とドイツ語の境界を行き来するようなスタイルを築き上げた。1991年に群像新人文学賞を受賞するが、驚くべきはそれに先立ちドイツですでにドイツ語の小説を発表していたということ。日本語の小説家である以前にドイツ語の小説家であった。彼女の言語観を如実に反映する2003年に発表された『エクソフォニー』というエッセイ集には「母語の外へ出る旅」という副題が添えられている。言葉の海を泳ぎ回る著者が鱗で感じとった世界のさまざまな都市さまざまな土地の言語状況。第一部の章は多和田葉子が実際に訪れた都市の名前に由来する。「町は彼の言語、小路は彼だけが知りつくした文法」。


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