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選・文 / H.A.Bookstore / July 11, 2019 本屋が届けるベターライフブックス。『抄訳 アフリカの印象』レーモン・ルーセル×坂口恭平、國分 俊宏 訳(伽鹿舎)

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「ひとり時間」を過ごすときには、目的を持ちたくない。具体的な計画や予定を考えるのは、なんだか仕事の延長みたいでげんなりする。だからせめてこの時間だけは、できるだけあやふやでいたい。一度もアフリカに行ったことがないフランスの作家が書いた小説『アフリカの印象』に、同じく一度もアフリカに行ったことがない作家、美術家の坂口恭平が好きなように絵をつけて、その該当部分だけを抜粋して新たに新訳したこの本。ここまでの説明だけでも既に荒唐無稽で、小説すら全訳でないとしたらもう、読んだところで何ひとつ現実とのつながりがない。ぐちゃぐちゃで意味のない、でも素敵な遊び。ひとり時間には、むしろもってこいではないか。


選・文 / H.A.Bookstore / July 04, 2019 本屋が届けるベターライフブックス。『のほほんと暮らす』西尾勝彦(七月堂)

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「ひとり時間」は習慣にしたい。貴重なものではなく、每日意識しないでもひとり時間が持てる生活を、少なくとも私は望んでいる。詩人である西尾勝彦が記す本書は「詩的な実用書」として「のほほん」と生きるエッセンスをノウハウ本のように直接的ではなくゆるやかに、教えるというよりは浸透させるように伝えてくれる。それはまるで詩集のようで、かばんに潜ませてふとした時に読んで一息つくことができる。そういう意味ではまさに「実用書」といえる。


選・文 / H.A.Bookstore / June 27, 2019 本屋が届けるベターライフブックス。『えーえんとくちから』笹井宏之(筑摩書房)

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「ひとり時間」は自分と向き合うことができる。外の喧騒から離れて、ただただ自分の内面を見つめる。26歳で早世した歌人のベスト歌集。「病名は、重度の身体表現性障害。自分以外のすべてのものが、ぼくの意識と関係なく、毒であるような状態です——」(本書P182)と、生前著書があとがきで記した状態というのは想像をするしかないけれど、それはもしかしたら純粋な「ひとり時間」だったのかもしれない。ただただ歌は美しい。「ふわふわを、つかんだことのかなしみの あれはおそらくあわせでした」(本書P25)


選・文 / H.A.Bookstore / June 20, 2019 本屋が届けるベターライフブックス。『百年の孤独』G・ガルシア=マルケス 著 鼓直訳(新潮社)

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「ひとり時間」は孤独だ。もちろん、孤独であることにその時間の価値がある。『百年の孤独』はしかし、一見するとぜんぜん孤独な小説ではない。ある村を開いた夫婦から始まる、村とその一族の百年の物語。それはむしろ賑やかすぎるほどで、行商人が不思議な道具を持ち込み、骨は動き出し、戦争が起こり、バナナ農園が発展し、そして……。次々と巻き起こる不思議な出来事に翻弄されながら、一族それぞれの中にある孤独を思う。賑やかさと孤独が同居するということは、一人で本を読んでいることにも近い気がする。いつでも本を開けば、その賑やかさにうきうきしながら、わたしたちは孤独になれる。


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