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Book 27 / June 10, 2016 『こころ朗らなれ、誰もみな』収録「心臓の二つある大きな川 第一部・第二部」アーネスト・ヘミングウェイ(スイッチ・パブリッシング)

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青年が一人でキャンプして釣りをする短編。素晴らしい短編は読みやすく、奥行きがある。山に分け入り、テントを張り、川に浸かり、鱒を釣り、コーヒーを沸かすだけの話が何故これほどまでに世界中の人びとを惹きつけるのか。ヘミングウェイという作家、この作品の背景は調べれば幾らでもわかるけれど、この短編を読んでいる時間、僕はただ青年の視点になり、身体となり、一人圧倒的な自然とアメリカという広大な大地を前に、あらゆる過去が沈黙していくのをじっと待っているようだった。


Book 26 / June 03, 2016 『はしっこに、馬といる ウマと話そうⅡ』河田桟(kadi books)

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著者の河田さんはある日出会ったメスの仔馬「カディ」と暮らすため東京から日本最西端の島、与那国島へ移住する。最低限の世話をしながらただウマに寄り添うように暮らす著者。世界を見る角度、人生との向き合い方が根本から変わったと語る。何度か繰り返されるキーワードは「こころとからだの言葉の一致」、「受け入れ変化していく力」、そして著者が「応答性」、と名付けている「話しかけられたら耳を傾けてみよう」というウマの姿勢。情報と緊張で溢れ、コミュニケーションがますます困難になっていく社会から一歩外に出ることで本当の人間らしさが見えてくる。急な仕入れをお願いしたく与那国島へ電話した時、受話器の向こうから風の音が聞こえていて、風に耳をすませるのは久しぶりだな、と思ったのを覚えている。


Book 25 / May 27, 2016 『ハーブカタログ』服部あさ美(mille books)

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「世界でいちばんやさしいハーブの本」とある通り、わかりやすく簡潔にハーブの効能、調理法、育て方などが書かれている。パラパラめくるだけでも、あーこれもハーブか、と嬉しい発見がある。そして身近には驚くほどたくさんのハーブがあることに気付かされる。いま、自宅のキッチンにはローリエとローズマリーとバジルがあり、冷蔵庫にはミョウガとショウガがある。先日まで花瓶にはジャスミンが生けられていた。そしてベランダにはパセリがある。ちょっと散歩に出るだけでも幾つも見つかりそうだ。読んでいるだけで鼻がむずむずしてくるから不思議だ。


Book 24 / May 20, 2016 『この人の閾』収録「夏の終わりの林の中」保坂和志(新潮文庫)

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友人であり中年を迎えつつある男女二人が、白金台にある「自然教育園」を散歩するだけの話。保坂作品の多くと同じように風景と会話が延々と続く。風景は徹底的に描かれる。林に踏み入れた時の雰囲気、木々や草花の名前とその描写、水の流れ、鳥、光、影、音……。鎌倉で育った二人が、都会に突如現れる風景の中で立ち上がる疑問を投げかけ合いながら、時に立ち止まり、腰を下ろし、また歩き出す。それは僕らの原始の風景にも思え、そしてまたその時間の流れを手繰り寄せたいとさえ思えてくる。


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大阪府豊中市の緑地公園そばにあるマンションのなかの小さな部屋で、新刊書籍と古本の販売・買取を営む。小説、アートブック、写真集、絵本、リトルプレスを中心に取り扱い、雑貨と「植物課」セレクトのgreenも販売している。6月には店を移転し(住所は豊中市寺内2-12-1-1F)不定期でオープンする花屋を併設予定。▷大阪府豊中市寺内2-3-9 グリーンエクセル302
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