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選・文 / 本のお店スタントン / November 14, 2019 本屋が届けるベターライフブックス。『火の鳥 ⑤復活編』手塚治虫 著(朝日新聞出版)

『火の鳥』の物語は手塚治虫の死によって「太陽編」を最後に未完となってしまったが、古代と未来とを交互に描きながら最終章は「現代編」でその円環を閉じる予定だったことを知ったときの驚き!まさに時代と空間を股にかける火の鳥のことを考えるといまも気の遠くなる感覚に襲われる。なかでも超未来の地球が描かれる「復活編」ではiPS細胞やAI技術などの実用化、空飛ぶ車やロボット(愛すべきロビタ!)の反乱もすでに予言? されていることに驚く。この名作漫画で読み継がれるべきは、やはり人類は愚かでちっぽけな存在であり、とてつもなく長い宇宙の歴史の中でほんの脇役に過ぎないということを自覚せよとのメッセージではないだろうか。


選・文 / 本のお店スタントン / November 07, 2019 本屋が届けるベターライフブックス。『ふたりは ともだち』アーノルド・ローベル 作 三木卓 訳(文化出版局)

シリーズを通してがまくんとかえるくんの生活に憧れてしまう!
本やおはなしを読み聞かせたり、手紙を書いたり、お茶を入れてサンドウィッチやクッキーを食べたり、凧をあげたり水泳したり……。
がまくんは少しおっとりやさんでたまに癇癪を起こしたり、考え込んでしまうタイプ。かえるくんはいつも穏やかでがまくんの悩みや心配事を一緒になって考えて助言やアイデアを与えてくれるタイプ。冬眠してるとき以外は毎日のように顔を合わせているふたりだからちょっとした事件やいざこざは付きもの。友達同士であれ夫婦であれ、月日は経っても支え合う間柄でありたいもの。小説家で詩人の三木卓さんとローベルとの出会いにも感謝したくなる生涯の名作。


選・文 / 本のお店スタントン / October 31, 2019 本屋が届けるベターライフブックス。『愛について語るときに我々の語ること』 レイモンド・カーヴァー 著 村上春樹 訳(中央公論新社)

チェーホフがクラシックならカーヴァーもクラシックになりうる?
ロバート・アルトマン監督による『ショート・カッツ』での映画化や、第87回アカデミー賞作品『バードマン』ではブロードウェイの芝居としても登場するほど、アメリカでは作家としての認知度も高いのだろう。日本ではどうか? なんといっても「村上春樹」という紹介者を得たことは日本人読者にとって幸運だったのではないだろうか。ロバート・フランクの写真集同様にカーヴァーが描いたアメリカ地方都市の姿を村上訳で、より自然な表現で味わえる喜びを後世に残してほしい。ここでは和田誠装丁による全集の造本が今の気分にもしっくりと来る。現在は村上春樹翻訳ライブラリーの一冊として入手可能。


選・文 / 本のお店スタントン / October 24, 2019 本屋が届けるベターライフブックス。『THE AMERICANS』 ROBERT FRANK 著(Steidl)

先頃94歳で亡くなったスイス人写真家ロバート・フランクによって58年に初版が刊行された写真集の金字塔『アメリカ人』。美しい一枚の写真で完結する「決定的瞬間」やグラフ誌『LIFE』のように組写真で説明的に見せるわけでもない。アメリカ各州で撮られた人やモノの写真がただ坦々と本の見開きごとに左には撮影地、右には写真が83枚配置されているのみ。その全体から浮かび上がる印象は決して明るいだけではないフィフティーズのアメリカと日々をやり過ごし生き抜く人々の姿。折りにふれて眺めたくなるのは自分のありふれた日常を「特別な一場面」に変えてくれる写真の力と、小説や映画以上の物語を与えてくれるからかもしれない。


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絵本や児童書、アート書、文芸書の新刊書籍を中心に古書売買、雑貨・文具を販売する街の本屋。毎月第2・第4土曜日は「おはなし会」を開催。その他イベントも随時企画している。
大阪府大阪市東住吉区駒川5–14–13
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