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移住先で好きなことを始めたら、暮らしがどんどん動き出した。森愛美さん・勇貴さん夫妻の話。写真と文:室田啓介 (内見家) #3May 18, 2026
「趣味は家づくり、空間づくり」と語る森愛美さん、勇貴さん夫婦が東京から栃木・那須へ移住したのは、数年前のことだ。コロナ禍でリモートワークに移行したのがきっかけだったけれど、最終的に二人をここへ引き寄せたのは、もっと感覚的なものだった。
熱海、軽井沢など、いくつかの候補地を巡るうちに、那須を移住目線で訪れてみると、同世代が新しく始めたおしゃれな店が点在し、自然の中で子を育てる移住者の姿があった。整備されすぎず、でも暮らしやすい。「まだ余白がある場所だと感じた」と愛美さんは言う。知り合いは一人もいなかったが、二人の感性の針はここを指していた。

移住するときに新築で建てた自宅は、二人の美意識がそのまま形になったような空間だ。天井高5メートルのリビングにカーテンはなく、天井照明もない。目の前には美しい針葉樹の森が広がり、朝は自然光で目が覚める。本当に好きなものだけを置いた、静かで潔い暮らし。そこに地元の作家や料理家を招いてギャラリーやイベントを開くこともある。地域の人たちを巻き込みながら、自分たちの暮らしを楽しくしていく。その輪が少しずつ広がっていくことも、この場所で生きる喜びになっている。
自宅が完成すると、今度は「友人が気軽に泊まれる場所を作りたい」という気持ちが芽生えた。敷地から歩いてすぐの土地に、セルフビルドで小さな宿を建てた。丸ノコを握ったこともなかった勇貴さんが、那須でできた仲間とともにパーツを組み上げていく。やってみたら、できた。その手応えが、また次の扉を開いた。
最近は、近所で見つけた古い空き家が気になり始めた。手を加えたら素敵になるはずという直感を頼りに大家さんへ声をかけ、自分たちでリノベーションをすることになった。改装した空間に、ここで店を開きながら暮らしたいという誰かを迎え入れる。突き詰めれば、「好きな家づくりを楽しみたい」「一緒に那須を楽しめる仲間を増やしたい」という気持ちの延長線上に、すべてがある。
好きなことに正直に動いていたら、いつの間にか暮らしの景色が変わっていた。森夫婦の話を聞いていると、そんな軽やかな必然を感じる。感性の針が振れた方向へ、まず一歩。その選択が、思いがけない景色へと続いていくのかもしれない。
『ホビー不動産』代表/内見家 室田啓介




















































