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海外へ行く時には必ず持って行く〈グランドセイコー〉。写真と文:安藤夏樹 (編集者) #3May 20, 2026
「腕時計を何本持っているんですか?」と聞かれることが多い。
なんとなく「200本くらいかな」と答えるけど、実際に何本持っているかは自分でもよくわからない。多い時には今の倍くらいの本数があったんじゃないかと思う。けれど、管理しきれないのでかなり手放した。そんな話をすると、「お金持ちですね!」と半笑いで言われる。もちろんそんなことはない。現在において、時計を趣味にしている人が買い集めるものは1本数百万円以上のものが一般的かもしれないけれど、僕がずっと集めてきたのは数千円〜数万円程度のものが中心。なかには数百円単位のものも少なからず含まれている。
腕時計をする楽しさは必ずしも価格と比例しない。高価な時計をする楽しみを否定するつもりもないけれど、安くたって楽しいものはたくさん存在する。例えば、自慢のコレクションの一つ「イビキ防止時計」はマニア垂涎のレアウォッチ。文字盤の下に配置されたマイクによってイビキ音をキャッチすると、裏蓋から電流が流れるという拷問のような時計だ。販売当時は新聞通販で売られたもののようで、4箇所に小さなダイヤモンドがセッティングされているのもいい。もちろん、本当のダイヤかどうかはわからないけれど、これだけ小さな石だから、たぶん本物のような気がする。僕はこの時計を、今はなき明治公園フリーマーケットで手に入れた。価格は200円。
海外に行く時は、できる限り日本製の時計をして行くようにしている。手土産を買う際に訪ねる相手の近くで買うのがしっくりこないように、スイスの取材にスイス製の時計だけではなんとなく心許ない。だから少なくとも何本かは日本の時計を持って行く。最近のお気に入りは、〈グランドセイコー〉。現行品からヴィンテージまで数本所有しているけれど、ヴィンテージではこの「45GS V.F.A.」をよくしていく。シンプルな手巻き。文字盤にはブロック体で「GRAND SEIKO」と書かれているのがなんとなく誇らしい。ステンレススチールなので悪目立ちせず、怖い人たちに狙われるリスクも低い(たぶん)。不思議なことに、日本国内でするよりも、海外にいる時にする方が気分が上がる1本なのである。
編集者 安藤夏樹





























