MUSIC 心地よい音楽を。

ギタリスト 笹久保伸さんが選ぶ土曜の朝と日曜の夜の音楽。vol.2June 12, 2026

June.12– June.18

Saturday Morning

Title.
Gymnopédies No.3
Artist.
Erik Satie
 あまりにも有名で、そしてまた梅雨の季節に合いすぎているので逆に選曲するのを躊躇ってしまうのですが、しかしやっぱり選びました。
エリック・サティの「Gymnopédies No.3」。「Gymnopédies」も「Gnossiennes」も美しくて真冬にも真夏にも合うのですが、梅雨の雨の日に聴くのも好きです。こういった音楽をBGMとして聴く人もいていいですが、私はBGMとして聴いたことはなく、サティの音楽は聴き手の意識の中にもうひとつの風景の可能性を写し出していくように感じます。
 地球上に無数に存在する「Gymnopédies」の録音ですが、親愛なる高橋悠治さんの演奏を選びました。
 高橋悠治さんは現代音楽の作曲家として重要な作品を書かれていて、一切、妥協のない「Metatheses」のような作品や「ぼくは12歳」や「時計草」や「しばられた手の祈り」のような極めて美しい旋律までとても幅広いです。演奏家としてバッハを弾いてもモンポウを弾いてもとにかく素晴らしくて言葉にできません。
 高橋悠治さんとの出合いは自分の音楽人生でかけがえのないもので、精神的な指標です。
アルバム『Erik Satie piano works YUJI TAKAHASHI』収録。

Sunday Night

土曜の朝と日曜の夜の音楽。
Title.
Tempo Sem Tempo
Artist.
Joana Queiroz
 現代ブラジルを代表する音楽家の一人、ジョアナ・ケイロスの音楽を選びました。
 「時間のない時間」。少しミステリアスなタイトルです。このアルバムはすべてが美しく、どれを選ぶか本当に迷いましたがアルバムのタイトル曲にしました。ぜひ、このアルバムを全部聴いてほしいです。ジョアンナの音楽を愛していて、その人柄を含めて尊敬しています。彼女の音楽から山や森や川や植物や風や光、自然そのものが演奏しているかのような有機的なエナジーを感じます。
 時代や場所やジャンルを超越する音楽。彼女と演奏したりアルバムを制作したり、秩父の森を散歩したりしたことがありますが、ここに記録された音楽(音)そのもののような人で精霊のような魅力のある人です。彼女だから作れる音楽だなと思います。
アルバム『Tempo Sem Tempo』収録。

edit : Seika Yajima


ギタリスト 笹久保伸

笹久保伸
現代音楽とアンデス音楽を演奏するギタリストとして南米やヨーロッパで演奏。2004年〜2008年にペルーでアンデスの村々を周りながら現地の音楽を学び、帰国後は自身のルーツにフォーカスした活動を展開。2026年現在までに8ミリフィルム映画4作品と写真集3冊と45枚のアルバムをレコード、CD、カセットでリリースしている。

x.com/shinsasakubo

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