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罪悪感への誘惑、うなぎバター春巻き。絵と文:谷口菜津子 (漫画家) #4May 29, 2026

パートナーも私と同じ漫画家なので、外出頻度が本当に少ない。
出かけたうえに夕食がいらない日なんて、月に一回あるかないかだったりする。
家事分担はパートナーが掃除担当で、私が料理を担当している。
料理はかなり好きなので、毎日作ること自体は全く苦ではないのだけど、自分の好物が相手の苦手なものだったりもするのであまり自己中な献立作りはできない。
あと、自分の好物を相手が苦手でなくてもあまりに連続で作り続けてしまうと、その料理を相手に飽きられてしまう恐れがある。
春巻きはそんなメニューの一つだ。
さて、この日も久々のパートナー不在の夕食だった。
今日は地元の友達との飲み会らしく、なかなか美味しいものを食べるらしいので私も対抗して何か特別なものが食べたい。
スーパーで何を春巻きにしようかと、野菜コーナー、お肉コーナー、お魚コーナーを順に巡っていたところあるものに目が止まる。
夕方なので割引価格になった鰻だ!
今まで魚の春巻きは何度か作ったけど鰻の春巻きは作ったことがないし、聞いたこともない。
組み合わせる食材はなんだろう。
脂っこい魚だしさっぱりと......と考え始めは冷静だったのに、ある店のあるメニューを思い出してしまった。
寿司屋『じねん』の「うなぎバター」だ。
大阪の繁華街にあるお寿司屋さん『じねん』にあるお寿司メニューで、鰻の握り寿司になんと短冊状にカットされたバターが海苔で巻き付けられているのだ。
甘くとろける鰻に香ばしくとろけるバター、とんでもなく罪深い味に思わず眉毛が下がり反省顔になってしまう美味しさだ。
さっぱりと......という志はどこへやら、私は気づけば鰻とバターと春巻きの皮を台所に並べていた。
あと海苔と山椒も忘れずに。
春巻きの皮の端に食べやすく細く切った鰻を並べる。(鰻のタレで春巻きの皮が破れる可能性があるので、かるくペーパーで拭う)
山椒をしっかり目に振り、海苔をちぎってのせて包む。
小麦粉と水1:1で溶いたノリでしっかりとめて、低温からカリカリになるまで揚げる。
そしてバターはと言うと、厚めに切って食べる直前に乗せてほしい!
なぜなら春巻きの熱でバターが溶けてしまうから。
冷たいバターに歯を入れる感触と、カリカリの皮、そして鰻の柔らかさを感じてほしい。
そして染み込んだバターの香りでなく、口の中でバターをとろかして鰻との融合を楽しんでほしい。
一か月前にダイエット宣言した私、ダイエットアプリのキャラクターががっかりしている顔、私より鰻好きのパートナーの存在。
食べながらいろいろ浮かんだが、どうでも良くなるくらい本当に美味しかった。
だが、さすがに怖くなり鰻の残り半分は残して、翌日お茶漬けにした。
悪いことはちょっと楽しいことがある。
不倫もそういう罪悪感を楽しんだりしている人もいるらしい。
私は不倫じゃなくて、鰻バター春巻きで罪悪感を感じていく。
漫画家・イラストレーター 谷口菜津子


























