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なんでも春巻きにしてみる。写真と文:谷口菜津子 (漫画家) #1May 08, 2026

なんでも春巻きにしてみる。写真と文:谷口菜津子 (漫画家) #1

春巻きと言えば、筍やピーマンや春雨が含まれた具材の種類も多く、切ったり春雨を戻したり炒めたりと工程も多い複雑で手間のかかった料理という印象だった。
サクッと皮を齧るとドロりと熱々の餡がとろけ出し、具材の様々な食感も楽しければ筍の香りや肉の旨みもあり、茶色い地味な見た目の中に色彩豊かな美味しさが詰まっている。
手間をかけた分、そういった確かな美味しさがあるわけだが、手作りするとなるとハードルが高かった。
しかも当時は揚げ物も下手くそで、一度コロッケを作ろうとしたら油の中で全てがバラバラになり、油まみれの芋そぼろが出来上がってしまったことがある。

なのでチャレンジもしたことのなかった春巻き。
実は簡単で、おおらかさも持った料理だと知ったきっかけは、料理研究家の堤人美先生の「大根とハムの春巻き」がきっかけだ。
まず、具材の準備がとんでもなく簡単。
大根を塩もみして、刻んだハムをあえるだけ。
揚げるのも低めの温度でじっくり揚げれば失敗することもほぼない。
そして食べてびっくり!大根が春巻きの皮の中でほくほくに蒸し上がり、ハムの優しい塩気と旨みを吸って、とても上品な味わいになっているのだ。

そこから私はいろんなものを包んで春巻きを作ることが増え、今では好物を聞かれたら「春巻き」とよく答えている。

ここまで読んでまだ春巻きが面倒に感じる人や、作ってみたいけどもうちょっと簡単なレシピで入門したい人におすすめのレシピがある。
まずは、スーパーへ行ってほしい。
そこで春巻きの皮をカゴに入れて、お惣菜コーナーに行きポテトサラダもカゴに入れる。
あと好きな酎ハイやお酒もあったら入れる。
これだけで材料は十分。
本当だったら春巻きの皮をとめる”のり”として、水溶き小麦粉があった方がいいんだけど、この際なくていい。
水をちょっとつけて、とめた場所を下に揚げていけば結構なんとかなる。
作り方も簡単。
ポテトサラダを春巻きの皮の袋に書いてある通りに包む。
そして低い温度から春巻きを揚げて、好みの揚げ加減になったら油を切って食べる。
油も春巻きが半分くらいつかるくらいの量で大丈夫。
小さいフライパンで作れば油の量も少なく済むので、私は卵焼き用のフライパンでよく揚げている。
(火が油に引火しないようにだけ注意)

カリカリの皮の中にほくほくのポテサラ。
まるでコロッケみたいな春巻きだ。
包まれているからバラバラになる恐れもない。
ソースをつけながら食べても美味しそう。

余った皮は元に入っていた袋に入れ、元の袋に戻したものを、さらに、それがすっぽり入るくらいの保存袋に入れて、乾いたりカビたりする前に使い切る。
スーパーのお惣菜だったら、肉じゃがや青椒肉絲(チンジャオロース)でも美味しそう!
焼売を包んだら揚げ焼売みたいになりそうだ!


漫画家・イラストレーター 谷口菜津子

谷口菜津子プロフィール
1988年、神奈川県生まれ。『教室の片隅で青春がはじまる』(KADOKAWA)、『今夜すきやきだよ』(新潮社)などを過去に連載。現在は『じゃあ、あんたが作ってみろよ』(ぶんか社)、『まめとむぎ』(双葉社)、『谷口菜津子のおつまみエトセトラ』(集英社)を連載している。

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