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吉野、よく見よ! 編集後記「旅と、本と」June 21, 2026

みなさんは、『万葉集』を読んだことがありますか?
奈良時代末期に編纂された、現存する日本最古の歌集。知識はあれど学校の授業で触れた程度だった私にとって、今回の特集『旅と、本と』は、じっくりと万葉集と向き合う初めての機会となりました。
きっかけをくれたのは、企画「47都道府県のいい本屋がガイド。この街を歩くのが楽しくなる本」で取材をした、奈良・大和郡山にある書店『本屋とほん』さん。日本各地で詠まれた約4500首が収められている万葉集ですが、実はそのおよそ5分の1が奈良に関する歌なのだそう。「奈良を旅する前に読むにはぴったりの一冊ですよ」と紹介していただいた『万葉集 新装版』(パイ インターナショナル)のページをめくりながら、万葉集の世界に浸りました。

なかでも印象に残ったのが、天武天皇の歌とされるこちらの一首。
よき人の よしとよく見て よしと言ひし 吉野よく見よ よき人よく見つ
独特のリズムがなんとも心地よくて、つい何度も口ずさみたくなります。
意味は、「昔の立派な人たちが“よい場所だ”と認め、『よし(の)』と名付けたこの吉野。あなたたちもよく見てごらんなさい。立派な人もよく見たことだ」。天武天皇が、自分の子や縁者である皇子たちを吉野に集めたときに詠んだ歌だといわれています。
当時この場所は、特別な力が宿る神聖な地と考えられていたそう。雄大な自然を前にしたときの感動や畏敬の気持ちは、1300年以上前の人たちも同じだったのかもしれません。
実は私も、奈良県生まれ、奈良県育ち。吉野には何度も足を運んできました。桜の季節もそれ以外の季節もそれぞれに美しい場所ですが、山々に囲まれた景色の中に立つと、今でもどこか特別な場所に来たような感覚になります。
奈良を訪れる機会があれば、ぜひこの一冊を片手に吉野へ。当時の人々も眺めたであろう風景を前にしたとき、「よく見よ」という天武天皇の言葉がすとんと胸に落ちるはずです。
(本誌編集部/MH)














































