日本の美しい町を旅する。

新鮮で豊かな、京都の”海”を望む京丹後へ。: &Kyoto Special 古都から北へ、京丹後を巡る小さな旅。vol.1August 11, 2023

&Kyoto Special

数多くの神話が受け継がれ、豊かな自然に育まれてきた丹後半島は「海の京都」として知られる地。
京都府最北端に位置する京丹後を車で巡る、さんぽ部スペシャル版。絶景と地の恵みを満喫したい。

京都さんぽ部 古都から北へ、京丹後を巡る小さな旅。&Kyoto Special 大和まこ
立岩 ユネスコ世界ジオパークに認定された山陰海岸ジオパークを有する京丹後。なかでも20mもの高さを誇る一枚岩の立岩はシンボル的存在。マグマが冷えて固まった岩肌と砂州のコントラストが美しい。photo : Yoshiki Okamoto
京都さんぽ部 古都から北へ、京丹後を巡る小さな旅。&Kyoto Special 大和まこ
霧降りの滝 網野の山あいに迫力ある姿で現れる霧降りの滝は、流れ落ちる水が岩肌にあたり、水しぶきが霧となって降り注ぐことから名付けられた。落差約21m、幅約4 m。滝の斜面には不動明王の姿が彫られる。photo : Yoshiki Okamoto

日本海に面した景色が新鮮な、 もうひとつの京都の豊かさ。

kyoto map 古都から北へ、京丹後を巡る小さな旅。vol.01 : &Kyoto Special
sinpukan-map

area data
6つの町が2004年に合併して誕生した京丹後市。京都市内からは京都縦貫自動車道~山陰近畿自動車道を利用し、沓掛ICから京丹後大宮ICまでの所要時間は約1時間30分。立岩や久美浜エリアまでは、それぞれ約30分ほど。峰山や網野、久美浜へは京都丹後鉄道宮豊線を利用することも可能。本数は少ないので注意を。

sinpukan-prof

文・写真/大和まこ
「京都さんぽ部」部長。京都に暮らして25年、現在は下京区在住。雑誌を中心にライター、コーディネーターとして活動。

 

 京都市内から、ひと足延ばして北へ。日本海に面した京丹後は、新たな京都を知るための小さな旅にちょうどいい。今回はさんぽ部スペシャル版としてドライブで巡りたい。

素材も作り手も豊かな、 京丹後の味を目指して。

 同じ京都でも遠い印象の強かった丹後半島。高速道路が少しずつ整備されて日本海まで出るのに2時間ほどになった現在は、思い立って日帰りで出かけられるようになった。となれば目的にしたい場所はいくつもある。真っ先に思い浮かぶのは、山あいの弥栄町にある『農家パン 弥栄窯』だ。店主の太田光軌さんが石臼で小麦を碾(ひ)き、大きな木桶で手ごねし、薪窯を使って焼き上げるパンは他に代え難い存在感。とりわけ外側がガリッと香ばしく、噛むごとにバターと粉の味が口に広がる焼きたてのブリオッシュは、思い出すとどうしても食べたくなる。とはいえ直接買えるのは土曜日のみの完全予約制。そこは心に留めて向かいたい。

農家パン 弥栄窯
Farmer’s Bakery Yasakagama

京丹後市弥栄町野間来見谷 ☎09029381019 販売は土曜のみ。工房ほか市内4 か所で受け取り可。完全予約制。工房への道順や予約の詳細はHPで確認を。

農家パン 弥栄窯
農家パン 弥栄窯 京都さんぽ部 古都から北へ、京丹後を巡る小さな旅。&Kyoto Special 大和まこ
窯から出されたパンは一つ一つ叩いて焼き具合を確かめ棚に並べられる。
農家パン 弥栄窯 京都さんぽ部 古都から北へ、京丹後を巡る小さな旅。&Kyoto Special 大和まこ
有機農業をきっかけに、パンを焼くようになった太田さん。フランスの農家パンを知って、たまらず渡仏。現地での修業を重ねた。
農家パン 弥栄窯 京都さんぽ部 古都から北へ、京丹後を巡る小さな旅。&Kyoto Special 大和まこ
現在も改装中の古民家。
農家パン 弥栄窯 京都さんぽ部 古都から北へ、京丹後を巡る小さな旅。&Kyoto Special 大和まこ
手前からブリオッシュ¥1,400、セーグル・エ・リ¥1,300、カンパーニュ¥1,500。工房受け取り100円引き。

『魚菜料理 縄屋』は2006年の開業以来、多くの食通を丹後へと足を運ばせる日本料理店。店主の吉岡幸宣さんが作るのは、自家菜園の無農薬野菜と魚介やジビエなどの地の恵み、地元で作られる調味料を使い、この地を味わうべく仕立てた料理だ。’20年には薪窯を取り入れ、ほぼすべての料理を薪火で仕上げるスタイルへと進化。京丹後産コシヒカリの煮えばなのご飯から始まるコースで、丹後の恵みを満喫させてくれる。

魚菜料理 縄屋
Sakanaryori Nawaya

京丹後市弥栄町黒部2517 ☎0772652127 12:00(11:45入店)~と18:30(18:15入店)~ 各一斉スタート 火水休ほか不定休 完全予約制。ネット予約がベター。詳細はHPで確認を。

魚菜料理 縄屋
魚菜料理 縄屋 京都さんぽ部 古都から北へ、京丹後を巡る小さな旅。&Kyoto Special 大和まこ
昼夜ともに季節のおまかせコース¥16,500のみ。料理はすべて一例。甘鯛には玄米と甘酢漬けの玉ねぎを添えて。
魚菜料理 縄屋 京都さんぽ部 古都から北へ、京丹後を巡る小さな旅。&Kyoto Special 大和まこ
ふっくらとした身と、バリッと焼き上げた皮のコントラストが印象的なイサキの炙り。
魚菜料理 縄屋 京都さんぽ部 古都から北へ、京丹後を巡る小さな旅。&Kyoto Special 大和まこ
どの席からも薪窯の様子が楽しめる。
魚菜料理 縄屋 京都さんぽ部 古都から北へ、京丹後を巡る小さな旅。&Kyoto Special 大和まこ
玄関には藤織りの暖簾。
魚菜料理 縄屋 京都さんぽ部 古都から北へ、京丹後を巡る小さな旅。&Kyoto Special 大和まこ
スズキの造り。食材はもちろん、器なども京都を意識したセレクトに。

 そしてもう一軒、『キコリ谷テラス』も弥栄で欠かすことのできない存在。店主の稲鍵佐代子さんが夫の大場亮太さんと営むのが「有機栽培であることはもちろん、何より食べておいしい野菜」を育てる『SORA農園』。その野菜を食べてもらえる場として、’17年に開いた直売所カフェが『キコリ谷テラス』という流れ。「地元の人は丹後には何にもないと言うけれど、宝物が見えてないだけじゃないかな。ワクワクさせてくれる人も、おいしい食べものも、いっぱいあるんです」と稲鍵さん。庭や山に作られた席に座り、鳥の声を聞きながら、野菜やハーブを味わう時間が贅沢だと実感するひとときだ。

キコリ谷テラス
Kikoridani Terrace

京丹後市弥栄町船木407 ☎0772663210 11:00~16:00 土日10:00~17:00 月~木休

キコリ谷テラス
キコリ谷テラス 京都さんぽ部 古都から北へ、京丹後を巡る小さな旅。&Kyoto Special 大和まこ
まるで秘密基地のような、山の中に作られた席もある。
キコリ谷テラス 京都さんぽ部 古都から北へ、京丹後を巡る小さな旅。&Kyoto Special 大和まこ
京丹波高原豚のピーナッツバター¥550など、オーガニックサラダサンドはその時々の具材で。パンも収穫した小麦を使った自家製。クランベリージュース¥450。
キコリ谷テラス 京都さんぽ部 古都から北へ、京丹後を巡る小さな旅。&Kyoto Special 大和まこ
『 SORA農園』の野菜も販売。『農家パン 弥栄窯』の予約引き取りや近隣の作り手の菓子販売なども。
キコリ谷テラス 京都さんぽ部 古都から北へ、京丹後を巡る小さな旅。&Kyoto Special 大和まこ
キコリ谷チーズケーキ いちごのソース付き¥580。摘みたてのフレッシュハーブで作るハーブティー¥450。

この記事は京丹後の旅を紹介するvol.1です。 
Vol.2はこちらから。
Vol.3はこちらから。

illustration : Junichi Koka edit & text : Mako Yamato cooperation : 公益社団法人京都府観光連盟

Pick Up 注目の記事

Latest Issue 最新号

Latest Issuepremium No. 131使い続けたくなる、愛しいもの。2024.09.20 — 930円