台北在住ライター・コーディネーター 片倉真理


January 16, 2023 「お餅デザート2」 &Taipei 台湾スイーツ食べ比べ

客家式や福建式など、種類豊富な台湾のお餅。

「お餅デザート2」
 台湾語で「麻(蔴もぁちぃ)糬 」と呼ばれる「お餅」。発音は日本語に似ているが、そのバリエーションは日本よりも格段に豊富。当連載の4 回目で紹介した砂糖水や黒糖キャラメル水で茹でる以外に、大鍋に油を入れ、じっくり煮込んだものもある。これは中国・福建地方の伝統的な作り方であり、「燒麻」と呼ばれる。また、客家(ハッカ)の人々はお餅を「粢(ちーばー)」と呼び、蒸したもち米を竹の棒で混ぜたり、杵でついたりして粘り気を出す。これを皿にのせ、砂糖やゴマ、ピーナッツの粉をまぶし、切り分けて食べる。一方、大福のように餡を詰めてアレンジされたものもよく見かける。さらに台湾原住民族の食文化にはアワ(粟)を用いたものもある。今回は客家式と福建式のお餅を紹介したい。
 
お餅デザート2 <i>&Taipei 台湾スイーツ食べ比べ </i>

客家の女性が手がける手作り餅。驚きの軟らかさ。

  中山市場内の一角にブースを構える小さな店。もち米や在来米を用いた伝統食品がずらりと並ぶが、看板商品は客家スタイルのお餅。注文すると、店主の廖寶桂(リャオ・バオグェイ)さんが丁寧に一つ一つ餡を包んでくれる。餡はゴマとピーナッツ粉と小豆の3種類。小豆は屏東県萬丹のものにこだわる。ピーナッツ粉とゴマは香りのいいものを選び、外側にもたっぷりとまぶしている。廖さんはこの道45年の大ベテラン。台中郊外の客家集落、東勢の出身で、幼少の頃から母親たちが作るのを手伝っていたという。もち米を水に浸すところから始め、ふわっと真綿のような軟らかい食感に仕上げている。一度食べたら忘れられない味で、故郷を懐かしんで訪れる客家人の姿も少なくない。1 個10元という安さも魅力。

 
中山手工蔴糬紅豆湯
ツォンサンソウコンマーシューホントウタン

台北市中山區長安西路3 號(中山市場1F28號)☎02‒2551‒4451 7:00~17:00頃 月休 わらび餅に似た「黒糖粉粿」も人気。

中山手工麻糬紅豆湯(ツォンサンソウコンマーシューホントウタン)
 
お餅デザート2 <i>&Taipei 台湾スイーツ食べ比べ </i>

ラー油味も! 挑戦を続ける老舗が作る絶品の餅。

 1951年創業の甘味処。お汁粉からかき氷まで様々なデザートを楽しめるが、この店の顔となっているのは「燒麻」だ。1 代目が中国・福州出身の人から習ったという秘法を今も守っている。ヒマワリ油をたっぷりと入れた鍋の中で20分ほど煮込むお餅は照りがいい上に弾力性がある。もち米なので油は浸み込まず、さっぱりしている代わりに歯ごたえのある食感が生まれる。また、新米ではなく、1 年半ほど寝かせたもち米を使用し、火加減を上手に調整しているというのもポイント。ここではピーナッツ粉とゴマと砂糖をまぶしたものだけでなく、海苔と大豆のふりかけをのせたものや、自家製ラー油を絡めたものもある。ラー油とお餅は意外に思えるほど相性がいいので、ぜひお試しを。

 
雙連圓仔湯
スワンリエンユエンツァイタン

台北市大同區民生西路136號 ☎02‒2559‒7595 10:30~21:30 無休 1 個50元、2 個90元。2階には広々としたテーブル席がある。

果園先生 屏南商行 グオユエンシエンセン・ピントンサンハン

文/片倉真理 写真/片倉佳史
※この記事は、No. 110 2023年2月号「&Taipei」に掲載されたものです。


December 12, 2022 「バナナスイーツ」&Taipei 台湾スイーツ食べ比べ

独特な食感と甘さが自慢の台湾バナナを楽しむ。

「バナナスイーツ」
 かつては「バナナ王国」と呼ばれていた台湾。日本本土では栽培ができず、戦前は高級フルーツとして扱われていた。そのため、「病気のときにだけ食べられる高嶺の花」という記憶をもつ年配者も少なくない。1970年代半ば以降、台湾からの輸入量は激減したが、今でも国内外で根強い人気を誇る。生産地は台中や南投、屏東など台湾の中南部。ちなみに熱帯作物であるバナナの生産地としては、台湾は北限に位置している。熱帯地方に比べると、ゆっくりと時間をかけて育てていくため、香りが豊かで味にも深みが出てくる。また、ねっとりとした食感も特色だ。今回はバナナドリンク専門店の『Why Banana? 香蕉牛奶專賣店』と、バナナの形を模したケーキで話題の『果園先生 屏南商行』を紹介したい。
 
栄養満点のオリジナルドリンクが看板の店。

栄養満点のオリジナルドリンクが看板の店。

 台北には無数のドリンクスタンドがあるが、バナナドリンクに特化した店は珍しい。ここでは砂糖を加えず、市場で仕入れたバナナをはじめ、各種フルーツや野菜をふんだんに用い、栄養や味、食感のバランスを考えながら、オリジナルドリンクを次々と開発している。看板メニューのバナナミルクには黒ゴマ入りやオレオクッキー入りがある。ミルクは数種類を試した結果、バナナとの相性がいい高雄の小規模農家のものを使用。そのほか、ヨーグルトドリンクではお通じが良くなるというドラゴンフルーツを加えたものが人気だ。さらにミックスジュースには2~3種類の野菜とレモン、カシューナッツなどを加えており、野菜が苦手という方にも好評。いろいろな味にトライしてみたい。

 
Why Banana? 香蕉牛奶專賣店
ホワイ・バナナ・シャンチアオニョウナイツワンマイディエン

台北市中山區松江路330巷37‒1號 ☎0905‒917‒053 11:00~20:00 無休 バナナミルクは50元、ミックスジュースは80元~。

Why Banana? 香蕉牛奶專賣店(ホワイ・バナナ・シャンチアオニョウナイツワンマイディエン)
 
バナナ農園の4代目が開いたバナナスイーツ店。

バナナ農園の4代目が開いたバナナスイーツ店。

 店主の葉杰恩(イエ・チエエン)さんは屏東県の出身。1924年に曾祖父がバナナ栽培を始め、父親が農園を継いだが、現在は栽培はせず、近隣の農園で収穫されたバナナの熟成作業を請け負っている。この熟成作業がバナナのおいしさの決め手となっており、高い技術を要する。葉さん自身はもともとコーヒーロースターだったが、故郷のフルーツの価値を高めたいと創業。バナナ形のケーキは外側をチョコでコーティングし、黄色は鉄観音茶味のガナッシュにバナナ餡、緑色はレモン味のガナッシュにパイナップル餡を使用。緑のほうはあえて完熟していないバナナも加え、酸味を出すというこだわりようだ。また、砂糖や水を加えないバナナドリンクも、バナナの旨味が凝縮されているので、必ずオーダーしたい。

 
果園先生 屏南商行
グオユエンシエンセン・ピントンサンハン

台北市大安區安和路112巷16號(信義安和店)☎02‒2700‒0321 11:00~20:00 日休 バナナケーキは各150元。新北市中和にも店舗あり。

果園先生 屏南商行 グオユエンシエンセン・ピントンサンハン

文/片倉真理 写真/片倉佳史
※この記事は、No. 109 2023年1月号「&Taipei」に掲載されたものです。


November 14, 2022 「漢方スイーツ」&Taipei 台湾スイーツ食べ比べ

ヘルシーで華やか。唯一無二の漢方スイーツ。

「漢方スイーツ」
 日々の暮らしにも東洋医学が根付いている台湾。随所で漢方薬局を目にするほか、薬膳料理や生薬を用いた伝統スイーツもしっかりと定着している。そんななか注目を集めているのが新感覚の漢方スイーツだ。一軒は2022年8月に正式オープンし、オリエンタルな内装が評判の漢方喫茶『仙島SENTO』。羅漢果や生薬を用いた斬新な味わいのドリンクやスイーツが楽しめる。もう一軒は漢方薬局に併設された『一滴滴。漢方甜點工作室』。ここでは生薬を用いたケーキを供している。漢方といえば「苦い」というイメージを禁じえないが、この2軒ではそういった印象が覆される。おいしい上に美しく、さらに体にも優しいといういいことずくめの漢方スイーツ。新たな甘味の世界を探索してみよう。
 
漢方薬局で味わう甘さ控えめな漢方ケーキ。

漢方薬局で味わう甘さ控えめな漢方ケーキ。

 漢方薬局『信源蔘藥行(シンユエンセンヤオハン)』に同居するデザート店。店主の王心盈(ワンシンイン)さんは「若い世代にも漢方に親しんでもらいたい」という願いを抱き、漢方薬剤師である父親のアドバイスを得ながら、ケーキやドリンクの開発に勤しんでいる。看板商品はポルトガルの「セラドゥーラ」をモチーフにした「木屑蛋糕(ムーシュエタンガオ)」。砕いたクッキーとムースを交互に重ね、季節に合わせ、五臓六腑に効く素材を組み合わせている。例えば、「春桂」は肝臓に良いとされるキンモクセイと包種茶、「夏洛」は新陳代謝を促すローゼルとバラの花、「秋合」は肺に優しい百合と決明子、「冬杞」は腎臓に効く枸杞の実とココアを使用。特に「夏洛」と「秋合」が人気だという。座席数は限られているため、テイクアウトする常連が多い。

 
一滴滴。漢方甜點工作室
イーディーディー・ハンファンティエンディエンコンツオスー

台北市松山區復興北路427巷20號 ☎02‒8712‒0058 10:30~18:30 日月休 木屑蛋糕は各140元。冬草ラテなどの漢方ドリンクもあり。

一滴滴。漢方甜點工作室(イーディーディー・ハンファンティエンディエンコンツオスー)
 
ドリンク業界に新風を吹き込む極上の漢方茶。

ドリンク業界に新風を吹き込む極上の漢方茶。

 ここの看板商品は何といっても漢方ドリンク。もはや芸術品のようにも見えてしまう美しさだ。左奥の「真山煙嵐/山茶」は阿里山青茶にグァバエキスと生薬の「野生木香」を加えたもので、爽やかな風味が自慢だ。これにクチナシの花や紅麹、人参といった天然色素を用いたタピオカが添えられる。これはお茶には入れず、飲みながら一口ずつ食べていくというスタイル。また、右奥の「老魂香/焔茶」は柑橘の葉を燻した煙とともにやってくる。陳皮(干したオレンジの皮)とレモングラス風味のスパイス「馬告」を加えた紅茶とともに、泡状のオレンジムースを味わう。甘味、苦味、酸味のバランスが絶妙だ。そのほか、亀ゼリーやプリンも人気。いずれもカロリーゼロの羅漢果糖を用いている。

 
仙島SENTO
シエンダオ・セント

台北市大同區承德路三段90巷2號 ☎02‒2595‒3757 12:30~19:30(土日11:30~) 月火休 「真山煙嵐/山茶」は240元。予約がベター。

仙島SENTO シエンダオ・セント

文/片倉真理 写真/片倉佳史
※この記事は、No. 108 2022年12月号「&Taipei」に掲載されたものです。


October 17, 2022 「豆をのせたかき氷」&Taipei 台湾スイーツ食べ比べ

小豆や花豆がたっぷりのった懐かしのかき氷。

「豆をのせたかき氷」
 台湾のかき氷はとにかくバリエーションが豊富だ。当連載でも様々なかき氷を紹介してきたが、今回紹介するのは、小豆や花豆、緑豆などといった煮込んだ豆をのせたかき氷。マンゴーかき氷のような華やかさはないものの、ふっくらと炊き上げられた豆は素朴で飽きのこないおいしさだ。一軒は1938年に台中で創業し、2022年春に台北へ移転してきた『幸發亭蜜豆冰本舖』。看板商品の「蜜豆冰(ミートウピン)」は、花豆や蜜漬けのフルーツなどをのせたかき氷で、日本の「みつまめ」をアレンジしたものとされている。もう一つは国立台湾大学の向かいで70年近い歴史を誇る『台一牛奶大王』の小豆ミルクかき氷。どちらも老若男女を問わずに愛され続ける定番中の定番。その根強い人気の秘密に迫りたい。
 
レトロな店で味わう昔ながらの小豆ミルクかき氷。

レトロな店で味わう昔ながらの小豆ミルクかき氷。

 台北っ子ならば誰もが知る名店。入り口の天井にはリニューアル前の看板が貼り付けられており、先代の味を守る意気込みが伝わってくる。ここは常連客が多く、かつて大学生だった人たちが子連れや旧友とやってくることが少なくない。夏はかき氷、冬はお団子入りのお汁粉で知られ、豊富なメニューを誇るが、なかでも人気が高いのは、小豆と団子をのせたかき氷に練乳をかけた「紅豆湯圓牛奶冰(ホントウタンユエンニョウナイピン)」。小豆は産地として知られる台湾南部の屏東県萬丹産のものを使用。煮崩れしないように蒸らしながら煮込んでいく。もちっとした食感の手作り団子も期待を裏切らないおいしさ。さらに濃厚なカラメル味の自家製プリンをトッピングするのがおすすめ。懐かしい味わいに心がホッと安らぐはずだ。

 
台一牛奶大王
タイイーニョウナイダーワン

台北市大安區新生南路三段82號 ☎02‒2363‒4341 11:00~23:00 無休 紅豆湯圓牛奶冰は80元、プリンをのせると30元追加。

台一牛奶大王(タイイーニョウナイダーワン)
 
「みつまめ」の愛称で親しまれる伝説のかき氷。

「みつまめ」の愛称で親しまれる伝説のかき氷。

 看板メニューの「蜜豆冰」は、花豆と緑豆、3種類の旬のフルーツ、蜜漬けのサツマイモとスモモとパイナップル、さらに手作り団子をのせた贅沢な一品。蜜漬けのサツマイモとスモモは台湾中部の山間部に暮らす職人が手がけたもの。また、他の具材もすべて店で仕込んでいる。3代目の陳微竹(ツェンウェイズー)さんによれば、かつて、多い日には1日1万杯の売り上げを誇り、陳さん自身、両腕に6つのかき氷をのせて運んでいたという。今でも年配客の間では「みつまめ」という日本語で親しまれ、人々の「思い出の味」となっている。氷はバナナ風味のザクザク食感の「刀削冰(ダオシャオピン)」か、ミルク風味のふわふわ食感の「雪綿冰(シュエミエンピン)」のどちらかを選ぶ。烏龍茶も付いてくるので口をさっぱりできるのも嬉しいところ。

 
幸發亭蜜豆冰本舖
シンファーティンミートウピンベンプー

台北市大同區迪化街一段196號 ☎02‒2553‒7787 11:00~18:30 土日10:30~19:00 無休 刀削冰の場合は150元、写真の雪綿冰の場合は180元。

幸發亭蜜豆冰本舖 シンファーティンミートウピンベンプー

文/片倉真理 写真/片倉佳史
※この記事は、No. 107 2022年11月号「&Taipei」に掲載されたものです。


September 19, 2022 「フルーツアイスキャンディ」&Taipei 台湾スイーツ食べ比べ

アイスキャンディでも楽しめる台湾フルーツ。

「フルーツアイスキャンディ」
 濃厚な香りと味わいを誇る台湾のフルーツ。そのおいしさを手軽に味わえるのがアイスキャンディだ。今回紹介するのは2008年に創業し、台湾全土に200か所の販売拠点をもつ〈春一枝商行〉。様々な企業とのコラボにも熱心な人気ブランドだ。もう一軒は、若者たちの間で話題を集める〈冰公子〉。台南郊外にある老舗で修業した青年が手がけるブランドで、味の濃さが好評を博している。どちらも手作りにこだわり、防腐剤や香料、色素などの人工添加物は一切用いない。フルーツ自体の甘さを最大限に引き出し、後味をすっきりさせている。値段は一般的なアイスキャンディよりやや高めだが、フルーツの価格や製造工程の煩雑さを考えると、それだけの価値は十分にあると言える。
 
老舗の味を学んだ青年が創業したブランド。

老舗の味を学んだ青年が創業したブランド。

「日本のラーメンのような濃厚な味わいがウリです」と笑うのは創業者の林于農(リンユィノン)さん。商品は11種類で、マンゴーや桑の実、イチゴなどフルーツ味をメインとしている。聞けば、父親の故郷である台南郊外の山上(サンシャン)という街にある名店『阿燕姨冰枝店(アーイエンイーピンツーディエン)』で作り方を学んだという。「子どもの頃の味が懐かしく、それを再現したかったんです」という林さん。店主の下で修業を積み、素材の比率を綿密に記録し、データ化する作業も進めた。創業後は自ら車を運転し、台湾全土を営業して回っている。現在は各地の観光スポットを中心に販売している。「おいしさはもちろんですが、子どもたちが安心して食べられるものを作りたいですね」という林さん。誠実さも伝わってくるアイスキャンディだ。

 
冰公子
(ピンコンツ)

台北市大同區迪化街一段34‒1號(台灣物産) ☎02‒2552‒1853 10:00~18:30 無休 『好丘』(圓山店)や『天和鮮物』(華山旗艦店)などでも販売。

冰公子(ピンコンツ)
 
規格外の果物を利用したアイスキャンディ。

規格外の果物を利用したアイスキャンディ。

「本物のフルーツを食べているかのような感覚でアイスキャンディを楽しんでほしい」。そう語るのは2代目オーナーの李至菘(リーツーソン)さん。かつて初代が台東県鹿野(ルーイエ)に移り住んだ際、果物農家の苦労を目の当たりにしたという。そこで何かできないかと考え、規格外の果物を市場と同価格で仕入れ、農家の収入と暮らしを支えつつ、商品の開発に勤しんだ。現在は限定品も含めて全12種類が揃う。釈迦頭(しゃかとう/シュガーアップル)味にはあえて種を入れたままにし、スイカ味には甘味をアップさせるべく、台南産の海塩を加えたりしている。他店では見られない特別なフルーツを用いたものもあり、最近は台東県産の高級品種・夏雪マンゴーを用いたものが話題となっている。値段は1本40~80元。

 
春一枝商行
ツンイーツーサンハン

台北市信義區忠孝東路五段372巷28弄3號(本店) ☎02‒2345‒6617 9:00~18:00 土日休 写真は夏雪マンゴー味や海塩入りスイカ味など。

春一枝商行 ツンイーツーサンハン

文/片倉真理 写真/片倉佳史
※この記事は、No. 106 2022年10月号「&Taipei」に掲載されたものです。


August 15, 2022 「スイカかき氷」&Taipei 台湾スイーツ食べ比べ

甘さが凝縮したような台湾産スイカ。

「スイカかき氷」
 台湾では様々な種類のスイカが味わえる。もちろん、日本のスイカに似たものもあるが、圧倒的に多いのは冬瓜のような楕円形をしたもの。長さは50㎝くらいあり、ずっしりと重い。とにかく巨大なため、その名も「大西瓜(ダーシーグワ)」と呼ばれる。一年を通して栽培されているが、旬はやはり5月から9月頃。台湾東部の花蓮県が産地として知られており、糖度が高く、質が安定したスイカを味わえる。日本人観光客の間では台湾の夏と言えばマンゴーが断トツで人気となっているが、台湾の人たちの間では喉の渇きや暑さを解消できるスイカも愛されている。濃厚な味わいなので、ジュースにすることは多いものの、意外にもかき氷に用いられることは少ない。今回はそんな珍しいスイカのかき氷を紹介したい。
 
甘味たっぷりのフォトジェニックなスイカ氷。

甘味たっぷりのフォトジェニックなスイカ氷。

 ナイトマーケットの「士林夜市(スーリンイエスー)」にある人気かき氷店。夏季限定の目玉商品は「西瓜小涼球(シーグワシャオリャンチョウ)」だ。これはスイカ風味のミルク氷にスイカボールを組み合わせたもの。早朝に青果市場で仕入れてきたスイカをスプーンでくりぬき、ボール状にしていく。その後、残った果肉に乳製品と砂糖を加え、液状にしたものを冷やして固める。これを削ってできたのがフワフワ食感のミルク氷だ。舌の上でスーッと溶けていく瞬間がたまらない。練乳も付いてくるが、スイカだけでも十分な甘さだ。なお、台湾でもスイカ風味のミルク氷は数が少ない。店主の劉雅淇さんによると、スイカは種が多いので濾す作業が面倒だからではないかとのこと。ここではそんな手間暇をいとわず、おいしさを追求している。

 
花藏雪
(ホワツァンシュエ)

台北市士林區大北路27號 ☎02‒2883‒3807 13:00~20:00(金土日は延長することも) 不定休(FB、IGで告知) 西瓜小涼球は150元。
Facebook: 花藏雪 手作雪氷 甘味处 
Instagram: @snowflowerice 

花藏雪(ホワツァンシュエ)
 
スイカと練乳、抹茶が織りなす3 色のかき氷。

スイカと練乳、抹茶が織りなす3 色のかき氷。

「東區(トンチュィ)」と呼ばれる繁華街の路地の中にあり、若者がひっきりなしに訪れる店。店内には昔の映画のポスターが飾られるほか、懐メロが流れ、昔懐かしいかき氷店の雰囲気が再現されている。ここのスイカは質の良いものが揃うと評判の「濱江市場(ピンチアンスーツァン)」で仕入れている。抹茶ミルクと練乳をたっぷりとかけた氷に、カットされたスイカをトッピング。赤、緑、白と3色に分かれており、イタリアの国旗のようであることから「西西里(シチリア)瓜冰(シーシーリーグワピン)」と名付けられている。氷の中には黒糖と冬瓜を用いた濃厚な自家製カラメルソースが入っており、これも風味を支えている。香ばしさが感じられ、飽きずに味わえる。昔ながらのかき氷機を使用しており、シャリシャリとした氷の食感もやみつきになる。

 
小時候冰菓室
シャオスーホウピングオスー

台北市大安區大安路一段51巷39號 ☎02‒2778ー2658 11:00~24:00 無休 西西里瓜冰は120元。かき氷のほか、手作り水餃子も人気。

小時候冰菓室 シャオスーホウピングオスー

文/片倉真理 写真/片倉佳史
※この記事は、No. 105 2022年9月号「&Taipei」に掲載されたものです。


July 18, 2022 「ジェラート」&Taipei 台湾スイーツ食べ比べ

豊富なメニューを誇る実力派ジェラート店。

「ジェラート」
 台湾で冷たいデザートといえば、誰もが「かき氷」を思い浮かべるが、最近は本格的なジェラートを楽しめる店が増えている。フレーバーはバラエティに富み、台湾産の食材を用いたものも多い。特にマンゴーやグァバ、パッションフルーツなど、旬のフルーツを用いたものは、素材そのもののおいしさをストレートに味わえる。今回紹介するのはフランスで洋菓子を学んだというウィルソン(陳謙璿)さんが開く『Double V』。世界大会で準優勝に輝いた実績を持ち、今春には台湾初のジェラートに関する書籍も出版したという若き実力者だ。もう一軒は3種類のマンゴーを用いたジェラートが話題の『駱師傅法式冰淇淋之家』。こちらも知る人ぞ知る名店だ。2軒それぞれのおいしさの秘密に迫ってみたい。
 
舌の上でじっくり味わいたいグラース。

舌の上でじっくり味わいたいグラース。

「グラース」と呼ばれるフランス式ジェラートに魅せられたオーナーの店。カスタードクリームをベースにしているのが特色で、乳化作用が2倍といわれる烏骨鶏の卵と、花蓮の牧場から直接取り寄せた生乳を用い、滑らかな食感に作り上げている。2009年の開店以来、日々研究を重ね、数多くのフレーバーがあり、そのなかで8~10種類を常備。夏場のおすすめは産地直送の3種類のマンゴーを使ったもの。濃厚な香りと甘さで知られる愛文マンゴーと、洗練された風味の夏雪マンゴー、そして繊維は多いが香りのよい土マンゴーだ。口に含んだ瞬間から味が変化し、喉を通った後の余韻も楽しめる。そのほか、お酒好きの店主が研究し続けているジンやラムといったアルコール入りもおすすめだ。

 
駱師傅法式冰淇淋之家
(フランスラクダ アイスクリームの家)

台北市信義區永吉路30巷101弄10號 ☎02‒2766‒0108 12:00~20:00 無休 シングル100元、ダブル150元、酒入りは+20元。ドリンクも提供。

駱師傅法式冰淇淋之家(フランスラクダ アイスクリームの家)
 
業界を牽引する存在の絶品ジェラートの店。

業界を牽引する存在の絶品ジェラートの店。

 大人から子どもまで幅広い人気を誇る名店。店主のウィルソンさんは業界全体のレベルを上げる努力を続けており、ジェラート講座を開くなど、自分の技術や知識を惜しみなく披露している人物だ。店では冷凍ケースの温度管理やヘラの扱い方も考え尽くされている。滑らかでクリーミーな食感のジェラートはフランス菓子の要素も取り入れており、重層的な味わい。さらにクッキーもトッピングされており、食感の変化も楽しめる。6年前の創業以来、すでに520種類を開発しており、そのなかから日替わりで9種類を提供。写真はバニラ味とサボテン味、コーヒー味と紅心グァバ味。サボテンは澎湖島産のもの、コーヒーは世界的な評価を得ている台北のカフェ『Simple Kaffa』の豆を使用。

 
Double V
ダブル・ヴィー

台北市大安區延吉街234號 ☎02‒2701‒0325 15:00~21:00(土13:30~) 日月火休 1 カップ135元(2種類まで味を選べる)、コーヒーも提供。

Double V ダブル・ヴィー

文/片倉真理 写真/片倉佳史
※この記事は、No. 104 2022年8月号「&Taipei」に掲載されたものです。


June 20, 2022 「涼糕 (リャンガオ) 」&Taipei 台湾スイーツ食べ比べ

ふるふる食感のレトロな台湾菓子。

「涼糕」
「涼糕」はどこか懐かしさを覚える台湾の郷土菓子。葛餅やゼリーのように見えるが、葛餅よりも弾力性があり、ゼリーよりは柔らかい。原料となるサツマイモ粉や樹薯粉(キャッサバ粉)に水や砂糖を加えて煮込み、粘り気が出たら火を止める。そして、冷ました後に切り分ける。最後に煎った片栗粉をまぶすと出来上がりだ。涼糕は2種類あり、一つはピンクや黄色、オレンジ色をしたフルーツ味のキャンディサイズのもの。もう一つは半透明な生地に小豆餡や緑豆餡などを挟んだもの。どちらも甘さは控えめだ。ちなみに涼糕を扱う店は少なく、今回紹介する2軒は希少な存在だ。賞味期限は短く、常温で1日、冷蔵庫でも2、3日程度。夏場はひんやりとした状態で食べるのがおすすめ。
 
生地も餡もバリエーション豊かな創作系涼糕。

生地も餡もバリエーション豊かな創作系涼糕。

『京站時尚廣場』や『統一時代百貨』といった有名デパートの地下街にブースをもつ『涼食帖』。オーナーの陳健銘さんは、元々は銀行員だった。父親が40年にわたり市場へ涼糕を卸していたが、健康を害してしまい、陳さんが家業を継いだ。若い世代にも親しんでもらうべく、日々、これまでにないユニークなものを開発し、ブランド化を図っている。生地には仙草(ハーブの一種)や杏仁、ゴマ、キンモクセイを用いたものがあり、餡にはタロイモや蓮の実入りのほか、サツマイモペーストなどがある。おすすめは抹茶生地に屏東県萬丹産の小豆餡を挟んだものと、黒糖生地にねっとりと甘いサツマイモ餡を挟んだもの。食感や甘さ、生地と餡のバランスが考え抜かれており、幅広い層に人気だ。

 
涼食帖
リャンスーティエ

台北市大同區承德路一段1號(京站時尚廣場)B3 ☎02‒2559‒5854 11:00~21:30(金土~22:00) 無休 1個45元。タロイモ餡も人気だ。

涼食帖 リャンスーティエ
 
フルーツ味も餡入りも! ファン多数の人気涼糕。

フルーツ味も餡入りも! ファン多数の人気涼糕。

 建國南路の高架下にある店。簡素な作りだが、22年もの間、地元の人たちに愛され続けている。店主の施桂華さんは早朝4時から仕込みを始め、独自に編み出した手法に従い、複数の粉を使用しながら適度な歯ごたえの涼糕を作り出している。餡なしの涼糕には黒糖味のほか、パッションフルーツ味やレモン味もある。人工色素は用いず、天然果汁だけを使用。なかでもレモン味はレモン水を混ぜると生地が分離してしまうため、試行錯誤を繰り返し、完成までに1年以上を要したという。餡入りには小豆や緑豆、タロイモペースト、蓮の実入りなどがある。おすすめは濃厚な風味がたまらない黒糖生地に花豆の餡を挟んだもの。全種類が入ったパックもあるので、様々な味を楽しもう。

 
阿華涼糕
アーホワリャンガオ

台北市中山區八德路二段108號(八徳市場外側30番ブース) ☎02‒2711‒9287 9:00~19:00 月火水日休 1パック100元。

阿華涼糕 アーホワリャンガオ

文/片倉真理 写真/片倉佳史
※この記事は、No. 102 2022年7月号「&Taipei」に掲載されたものです。


May 16, 2022 「草餅」&Taipei 台湾スイーツ食べ比べ

台湾の草餅は餡や形のバリエーションが豊富。

「草餅」
「草仔粿(つぁうあくえ)」とは昔ながらの草餅のこと。台湾では先祖の墓参りをする4月5日の「清明節」に食べる習慣がある。原料となるヨモギやハハコグサ(鼠麴草)はこの時季に葉が柔らかくなり、食材として使いやすくなる。これらの草は冷凍保存され、草餅そのものは一年を通して食べられている。草餅は市場で売られていることが多く、店によって形や食感は様々だ。全体的に日本の草餅よりもボリュームがあり、甘さは控えめなのが特色。さらに面白いのは小豆餡やゴマ餡といった「甘い系」だけでなく、「おかず系」の餡もあること。特に「菜脯米(つぁいぽぉびぃ)」と呼ばれる千切りした大根を乾燥させ、干しエビやシイタケなどと炒めた餡は広く愛されている。腹持ちが良いので、遠出の際のおやつとしても親しまれている。
 
タロイモ餡やピーナッツ餡の変わり種もあり。

タロイモ餡やピーナッツ餡の変わり種もあり。

 東門市場にある『富富の正』。30年以上の経験を持つ職人が手がけており、元々は卸専門だったが、4年前から小売りも始めた。ハハコグサを使用した生地には自家製の餡がたっぷりと詰まっている。餡はその日の天気や気温に合わせてレシピを微調整しており、例えば、夏場は食欲が落ちるため、大根餡は胡椒を多めにするなど、工夫を重ねている。餡の種類は全部で8種類。大根餡や小豆餡のほか、濃厚な風味のゴマ餡や、粒々感のあるピーナッツ餡、さらに細かくカットしたタロイモを干しエビと炒めた珍しい餡もある。以前はチョコレート餡を作ったこともあったが、奇抜すぎて失敗。一方でゴマ餡やピーナッツ餡は万人受けする味わいで、すっかり定着している。散策のお供にいかが。

 
富富の正
フーフーダーツェン

台北市中正區金山南路一段110巷4弄2號(東門市場内) ☎0986‒638‒586 8:00~13:00(売り切れ次第終了) 月休 1個25元。

富富の正 フーフーダーツェン
 
東三水街市場で老夫婦が守り抜く昔ながらの味。

東三水街市場で老夫婦が守り抜く昔ながらの味。

 名刹・龍山寺近くの市場の中にあり、お供え物になる餅菓子のほか、チマキや大根餅などを販売している。切り盛りするのは80代の老夫婦。妻は小学校卒業後に職人である父親の下で働き始め、その味を受け継ぐため、六十数年前に夫と店を開いた。現在は週4日の営業だが、朝4時から仕込みをするのは変わらない。ヨモギの香りが濃厚で、弾力性もある草餅は一口食べるだけで、いかに丁寧に作られているかがわかる。餡には小豆餡やゴマ餡のほか、大根餡や緑豆餡などもある。大根は日本産を使用し、きめ細かな食感が評判だ。さらに緑豆餡は緑豆を生姜や塩と一緒に炒めたもので、塩気と甘さのバランスが絶妙。「草餅は甘いもの」という固定観念を取り払い、試してみたい。1個20元。

 
紅龜伯
あんくぅぺっ

台北市萬華區三水街70號(東三水街市場内の東56番ブース) ☎02‒2308‒3503 8:00~13:00(売り切れ次第終了) 月水木休ほか火不定休

紅龜伯 あんくぅぺっ

文/片倉真理 写真/片倉佳史
※この記事は、No. 101 2022年6月号「&Taipei」に掲載されたものです。


April 18, 2022 「甘い小籠包 (シャオロンパオ) 」&Taipei 台湾スイーツ食べ比べ

チョコやタロイモ餡入りのスイーツ小籠包。

「甘い小籠包 (シャオロンパオ) 」
 台湾グルメを代表する存在とも言うべき小籠包。本来は上海点心のジャンルに含まれており、皮もやや厚めのものだったが、台湾では薄い生地のものへと改良されて現在に至る。これを最初に手がけたのは世界的な知名度を誇る『鼎泰豐』と言われており、今では薄皮のものが主流となっている。タロイモペーストやあんこ、チョコレート、抹茶ペーストなどの餡をたっぷり包み込んだスイーツ系も開発され、人気を博している。小さくてぷっくりとした見た目はなんとも可愛らしく、一口頬張ると、中から餡が溢れ出てきて、幸せな気分になれるはず。今回は多くのファンに愛される『京鼎樓』のタロイモペースト入りと、『鼎泰豐』のチョコレート餡入りを紹介したい。新鮮な味覚を体験してみよう。
 
濃厚なチョコレートが口に広がる個性派小籠包。

濃厚なチョコレートが口に広がる個性派小籠包。

 タロイモペーストやゴマ餡、あんこ入りなどがある『鼎泰豐』のスイーツ小籠包。そのなかでもとりわけ評判となっているのがチョコレート餡入りだ。原料探しから始め、完成までは約2年半の歳月を費やしている。餡と皮の重量や皮の折り目の数まで細かく決められているほか、歯ごたえの良さも考え尽くされている。餡にはフランス産のカカオ成分64%のチョコレートを使用しており、甘味、酸味、苦味などが絡み合った風味を堪能できる。また、餡が皮を破らないようにするため、皮と餡の間には求肥を挟んでいるのがポイント。これによりもちっとした食感となり、おいしさがさらに増す。熱々のとろりとしたチョコレートが溢れ出てくるので、レンゲに置きながら味わうのがおすすめだ。

 
鼎泰豐
ディンタイフォン

台北市大安區信義路二段277號 ☎02‒2395‒2395 11:00~20:30(土日10:00~) 無休 チョコレート小籠包は5個175元、10個350元。

鼎泰豐 ディンタイフォン
 
甘さは控えめ。タロイモ風味が際立つ芋泥小籠包。

甘さは控えめ。タロイモ風味が際立つ芋泥小籠包。

『鼎泰豐』で修業した兄弟が開いた店。タロイモペースト入りの「芋泥小籠包(ユィニーシャオロンパオ)」は独自に開発したもので、創業者の陳任貴さんによれば、義理の弟が経営するベーカリーでタロイモペースト入りのパンを作っていたことにヒントを得たという。タロイモの種類や蒸し方を独自に研究し、1か月かけて完成。台湾のタロイモスイーツは台中郊外・大甲産の「檳榔芋頭(ビンランシンユィ)」を用いることが多いが、ここも同じ。水分含有量が適度なので、ねっとりとした食感が生み出されるという。皮むきから蒸して出来上がるまで、約8時間を費やす。砂糖の量は少なめで、タロイモの味と香りがはっきりと感じられる。棗あん入りやあんこ入りの小籠包もあり、一つのせいろで半分を別種にするというオーダーも可能。

 
京鼎樓
チンディンロウ

台北市中山區長春路47號 ☎02‒2523‒6639 11:00~14:30 17:00~21:30 火休 芋泥小籠包6個入り135元、10個入り220元。

京鼎樓 チンディンロウ

文/片倉真理 写真/片倉佳史
※この記事は、No. 100 2022年5月号「&Taipei」に掲載されたものです。


March 21, 2022 「紫米粥 (ズーミーツォウ) 」&Taipei 台湾スイーツ食べ比べ

美肌効果が期待できる紫米を用いたお粥。

「紫米粥(ズーミーツォウ)」
 台湾には「医食同源」という言葉がある。健康を考慮したスイーツが数多く存在し、どれも親しまれている。そんなヘルシースイーツのなかでも、肌寒い時季に楽しみたいのが紫米を用いたお粥だ。紫米とは表皮にアントシアニンを多く含んだ紫色のもち米のことで、雑穀米の一種。アンチエイジング効果があるとされ、白米よりも豊富な食物繊維を含む。さらに、栄養価が高いことから「穀類の王様」と称せられることもある。この「紫米粥」は氷砂糖を加え、長時間煮込んで作られる。ほんのりと甘く、ねっとりとした中にプチプチとした食感もある。ナツメやリュウガンを加えたり、アズキと一緒に煮たりとバリエーションは豊富。今回はミルクプリンを混ぜたものと、生薬を加えたものを紹介してみたい。
 
愛情と栄養がたっぷりと詰まった紫米粥。

愛情と栄養がたっぷりと詰まった紫米粥。

「婆婆」とは義理の母を意味する言葉。ここはその楊おばさんと義理の娘が切り盛りする養生系デザートの専門店だ。1988年の創業以来、高い評価を誇り、現在は通化街夜市に2店舗を構える。楊婆婆は「子どもたちに栄養のあるおやつを食べてもらいたい」という思いから漢方に関する書籍を読み漁り、生薬をふんだんに用いた甘いお粥「八寶粥」を開発。なかでも「八寶紫米粥」(70元)は紫米粥の上に棗(なつめ)や銀杏、雪蓮(シュエリエン)、白木耳(しろきくらげ)、蓮の実、桂圓(グェイユエン/ドライリュウガン)などをのせている。具材の選別から煮込み方まで、相当な手間暇をかけており、仕込みは早朝から始めるという。82歳の現在も、毎日店に立ち続けている楊おばさん。その元気と活力、そして美肌の源が八寶粥にあるのは間違いない。

 
楊婆婆八寶粥
ヤンポーポーパーパオツォウ

台北市大安區臨江街102-5號(通化街夜市内) ☎02‒8732‒4378 17:00~24:00 無休 店の奥に座席がある。通化街57巷の入り口にも屋台がある。

楊婆婆八寶粥 ヤンポーポーパーパオツォウ
 
香港発祥のミルクプリンと紫米粥が合体。

香港発祥のミルクプリンと紫米粥が合体。

 香港人店主が23年前に開いた「燉奶(トゥンナイ)」の専門店。「燉奶」とはミルクに卵白と氷砂糖を混ぜて弱火で約8時間煮込んだミルクプリン。プルプルとした食感と控えめな甘さが魅力なだけでなく、低カロリーで、防腐剤や人工添加物は一切使用していない。ミルクプリンの上に紫米粥をかけた「紫米燉奶」は、花蓮県産の紫米にミルクや氷砂糖を加えて約3時間煮込んでいる。ココナツミルクが加えられることで、より食べやすくなっている。冬場にはこれに苗栗県大湖産のイチゴをトッピングしたメニューも登場する。香りが良くてジューシーな「楓香」という品種のイチゴを使用している。素材を厳選し、肌に良いものを組み合わせたスイーツは、男女問わず高い人気を誇る。

 
双妹嘜
スワンメイマイ

台北市中山區農安街2巷20號之33 ☎02‒2599‒6282 11:00~21:30 日12:00~21:00 無休 紫米燉奶は85元。夏にはマンゴーをのせた燉奶もある。

双妹 スワンメイマイ

文/片倉真理 写真/片倉佳史
※この記事は、No. 100 2022年4月号「&Taipei」に掲載されたものです。


February 21, 2022 「杏仁茶(シンレンツァー)」&Taipei 台湾スイーツ食べ比べ

台湾の人々に愛され続ける伝統ドリンク。

「杏仁茶(シンレンツァー)」
「杏仁豆腐(あんにんどうふ)」は日本でも広く愛されているスイーツだが、「杏仁茶」の名を聞いたことがある方は多くないはず。これは「杏仁/きょうにん(あんずの種子の中身)」をすり潰し、氷砂糖や水を加えて煮込んだドリンク。米を加えることも多く、とろりとしているのが特色だ。原料となる杏仁は、生薬である「北杏」と食品に用いられる「南杏」の2種類がある。杏仁茶に用いられるのも甘味の強い「南杏」。ビタミンEが豊富に含まれており、美容や安眠に良いほか、咳や喉の痛みにも効果があるという。中華パイや揚げパンを浸けて飲むスタイルも定番で、おやつとしてだけでなく、朝食や夜食にも好まれる。残念ながら、最近は杏仁茶を扱う店は少なくなっており、今回の手作り杏仁茶を味わえる2軒は貴重な存在だ。
 
中華菓子の老舗が供する中華パイ付き杏仁茶。

中華菓子の老舗が供する中華パイ付き杏仁茶。

 古い家並みが魅力的な迪化街。その北側に位置する『李亭香』は5代目の李佳陽さんが切り盛りし、「若い人たちにも伝統菓子を味わってもらいたい」と日々奮闘している。パッケージや商品のデザインを磨くのはもちろん、2020年には店舗をリニューアルし、洒落たカフェを併設。様々な伝統菓子と台湾茶が楽しめ、杏仁茶と泡餅のセットも人気。泡餅とは内側に麦芽糖が塗られた中華パイのことで、これに熱々の杏仁茶を注ぐ。さっぱりとした風味の杏仁茶とやさしい甘さの泡餅はベストマッチで、一口食べるごとに舌も心も躍るはず。もちろん、泡餅自体も評判が良く、業務用に購入していく店が少なくないという。なお、杏仁茶の粉と泡餅はお土産用もあるので、自宅で作る楽しさもある。

 
李亭香
リーティンシャン

台北市大同區迪化街一段309號 ☎02‒2557‒8716 10:00~19:00 旧正月休 杏仁茶と泡餅のセット「手沖泡餅」は150元。ピーナッツ菓子も人気。

李亭香 リーティンシャン
 
杏仁茶が苦手だったという店主が開いた専門店。

杏仁茶が苦手だったという店主が開いた専門店。

 繁華街「東區」にある小さな屋台。店主の郭維榮さんは、以前、杏仁茶が苦手だったというから驚きだ。街で見かける杏仁茶は香料を用いていることが多く、刺激の強いケミカルな匂いが受け入れられなかったのだという。しかし故郷の高雄で伝統的な杏仁茶に出合い、そのおいしさに目覚める。現在は杏仁を水に浸すところから始め、オーブンで焼いて水分を取り除き、鍋で煎ってからすり潰して煮るまで、十数時間をかけて作り上げている。米を含んでいるので満腹感を得やすく、自然な甘さと適度なとろみが好評だ。地元の常連客はもちろん、母乳の出を良くすることから、産後ケアセンターからも注文が入るという。「苦手な人にこそ飲んでほしい」という自信の杏仁茶を楽しみたい。

 
原杏
ユエンシン

台北市大安區忠孝東路四段248巷1 號 ☎0932‒857‒504 14:00~21:00 隔週で月か日休、旧正月休 杏仁茶65元~。油條(揚げパン)は+15元。

原杏 ユエンシン

文/片倉真理 写真/片倉佳史
※この記事は、No. 99 2022年3月号「&Taipei」に掲載されたものです。


January 17, 2022 昔ながらの台湾ケーキ「古早味蛋糕(グーザオウェイタンガオ)」&Taipei 台湾スイーツ食べ比べ

卵をたっぷり使ったフワフワ食感のケーキ。

「古早味蛋糕(グーザオウェイタンガオ)」
 台湾では飲食店のメニューや看板に「古早味(グーザオウェイ)」という3文字を目にする機会が少なくない。これは「昔ながらの味」という意味で、伝統の味にこだわっていることを強調する場合に用いられる。今回紹介するのは「古早味蛋糕(グーザオウェイタンガオ)」と呼ばれる「昔ながらのケーキ」。一つは日本でも注目を集めている「台湾カステラ」の原型といわれる「古早味現烤蛋糕(グーザオウェイシエンカオタンガオ)」。これはプリンのように軟らかいと言われるスポンジケーキ「布丁蛋糕/プーディンタンガオ(戚風蛋糕/チーフォンタンガオ)」を改良したもの。10年ほど前に台北郊外の淡水に店ができ、行列ができるほどのブームとなった。もう一つは「古早味蛋糕捲(グーザオウェイタンガオチュエン)」と呼ばれる砂糖をまぶした餡なしのロールケーキ。どちらも素朴な味わいで、甘さは控えめ。渋味のない台湾産紅茶と一緒に味わってみたい。
 
どこか懐かしさを覚える卵ロールケーキ。

どこか懐かしさを覚える卵ロールケーキ。

 台中郊外の豊原に本店があり、1900年創業という長い歴史を誇る老舗の中華菓子店。しっとりとした生地の月餅で知られ、戦前から数多くの賞を受賞してきた名店だ。そして、中華菓子のほか、「蛋糕捲」という卵ロールケーキも人気。「蛋糕捲」はかつて雑貨屋や売店で売られ、おやつの定番だったという。ここでは出来たてを販売しており、生地がふわっとしているのが特色。しかもアヒルの卵を用いているので香りが良く、上品な味わいとなっている。表面にまぶした砂糖のざらっとした食感も加わり、やみつきになるおいしさだ。本店では、多いときにはなんと1日2000個もの売り上げを記録するという。台北店では午前11時に焼き上がるので、この時間帯を狙って訪れるのがおすすめだ。

 
雪花齋
シュエホワツァイ

台北市松山區八德路四段187號(台北店) ☎02‒2579‒0439 10:00~20:00 日休 1個40元、6個入り1箱240元。常温で1日、冷蔵で3日保存可。

雪花齋 シュエホワツァイ
 
プリンのような軟らかさの巨大スポンジケーキ。

プリンのような軟らかさの巨大スポンジケーキ。

 かつては宴会の最後にデザートとして供されていたという円形のスポンジケーキ「布丁蛋糕」。これを焼きたての状態で売るべく改良されたのが、「古早味現烤蛋糕」だ。オーブンから取り出したら、シートと板を重ね、高く持ち上げてからひっくり返す。その後、シートを剥がし、定規を用いて10等分にカットしていく。店先で披露される一連の作業は目を引くもので、熟練の技が必要。ちなみに、ケーキ1個あたりには5個の卵が使用されている。泡立て具合が決め手となり、濃厚な卵の風味と驚きの弾力性はここから生まれる。高さ10㎝×長さ20㎝の大きさでもペロリと完食してしまうはず。チーズ入りのほか、チョコ味やナッツ入りも人気。本店は淡水にあり、『士林夜市』内に分店がある。

 
源味本鋪
ユエンウェイベンプー

台北市士林區文林路101巷14號(文林店) ☎02‒2881‒8985 8:00~21:00 月休 写真はチーズ入り130元。常温で1日、冷蔵で3日保存可。

源味本鋪 ユエンウェイベンプー

文/片倉真理 写真/片倉佳史
※この記事は、No. 98 2022年2月号「&Taipei」に掲載されたものです。


December 20, 2021 さつまいもボール「地瓜球(ディーグワチョウ)」&Taipei 台湾スイーツ食べ比べ

今も昔も愛される台湾の国民的おやつ。

「地瓜球(ディーグワチョウ)」
 台湾のナイトマーケット(夜市)で定番おやつとされる「地瓜球(ディーグワチョウ)」。蒸したサツマイモをペースト状にし、タピオカ粉(キャッサバの澱粉)や砂糖などを加えてお団子にし、これを高温の油で揚げる。揚げている途中で3回から4回、穴あきお玉で生地をつぶす。これによって中の空気が押し出され、ふっくらときれいな球状となる。店によって味や形、食感は異なり、サクサクしたものもあれば、モチッとした食感のものもある。観光客に人気の『寧夏路夜市(ニンシアルーイエスー)』や『饒河街夜市(ラオフージエイエスー)』には3、4軒あるので、食べ比べを楽しむのもおすすめ。今回は台北駅前にある『金點地瓜球』と孔子廟近くにある『大龍街夜市(ダーロンジエイエスー)』内の『賴 黃金地瓜QQ球』を紹介したい。なお、冷めると味が落ちるので、熱々のうちに味わおう。
 
ピンポン球サイズでサクッとした食感が自慢。

ピンポン球サイズでサクッとした食感が自慢。

 台北駅近くの予備校街に位置する『金點地瓜球』。店主の王思穎さんによれば、この界隈は弁当店は多いものの、手頃なおやつの店が少ない。そこで、1年間の準備期間を経て、2020年7月に開業。1坪ほどの小さな店だが、サツマイモの皮剥きからすべて自分で行っている。原料は台湾中部の彰化県にある農家から仕入れた「台農66號」という品種。香りが良くて甘いので、砂糖の使用量は少なめにしている。穴あきの大きな鍋で芋団子を押し潰す作業は見るからに重労働。さらに締めの段階では温度を高め、火加減を巧みに調整している。これによって中がきれいな空洞になり、サクサクとした食感の地瓜球が出来上がる。プレーン味以外に梅の粉や塩コショウをふりかけたものも人気だ。

 
金點地瓜球
チンディエンディーグワチョウ

台北市中正區開封街一段2−23號 ☎0972−439−151 11:30~19:30 日休 小20元、中30元、大50元。写真は中。王さんは日本語も流暢。

金點地瓜球 チンディエンディーグワチョウ
 
小さな夜市で味わう昔ながらの地瓜球。

小さな夜市で味わう昔ながらの地瓜球。

 下町風情溢れる『大龍街夜市』は、小さいながらも住民たちに愛されているナイトマーケット。なかでも『賴 黃金地瓜QQ球』は人気の高い名物屋台。ここ数年は大きなサイズの地瓜球が流行しているが、ここは昔ながらの小さなサイズ。通常の中華鍋と穴あきの鍋を重ねた自家製器具を使用し、絶妙な火加減で加熱。サクッとしながらもモチッとした食感が保たれた逸品が次々に作り出されていく。ナイトマーケットにある地瓜球の屋台は市販の材料を用いている場合が多いが、ここは自家製にこだわっている。ちなみに店主の両親も近くで地瓜球の屋台を営んでおり、そちらは年配客が多いため、軟らかい食感にしているとのこと。地瓜球はどの店も同じように見えてしまうが、実は奥が深い。

 
賴 黃金地瓜QQ球
ライ ホワンチンディーグワキューキューチョウ

台北市大同區大龍街271號 ☎0981−339−738 15:00~22:00 水休 大50元、小30元。近くには古刹の孔子廟や保安宮がある。

賴 黃金地瓜QQ球 ライ ホワンチンディーグワキューキューチョウ

文/片倉真理 写真/片倉佳史
※この記事は、No. 97 2022年1月号「&Taipei」に掲載されたものです。


台北在住ライター・コーディネーター 片倉真理

1999年から台北に暮らす。台湾に関する書籍の執筆、製作のほか、雑誌のコーディネートなども手がける。台湾各地を隈なく歩き、料理やスイーツから文化、風俗、歴史まで幅広く取材。著書に『台湾探見』、共著に『台湾旅人地図帳』(共にウェッジ)、『食べる指差し会話帳』(情報センター出版局)など。

instagram.com/marikatakura

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