台北在住ライター・コーディネーター 片倉真理
January 16, 2023 「お餅デザート2」 &Taipei 台湾スイーツ食べ比べ
客家式や福建式など、種類豊富な台湾のお餅。


客家の女性が手がける手作り餅。驚きの軟らかさ。
中山市場内の一角にブースを構える小さな店。もち米や在来米を用いた伝統食品がずらりと並ぶが、看板商品は客家スタイルのお餅。注文すると、店主の廖寶桂(リャオ・バオグェイ)さんが丁寧に一つ一つ餡を包んでくれる。餡はゴマとピーナッツ粉と小豆の3種類。小豆は屏東県萬丹のものにこだわる。ピーナッツ粉とゴマは香りのいいものを選び、外側にもたっぷりとまぶしている。廖さんはこの道45年の大ベテラン。台中郊外の客家集落、東勢の出身で、幼少の頃から母親たちが作るのを手伝っていたという。もち米を水に浸すところから始め、ふわっと真綿のような軟らかい食感に仕上げている。一度食べたら忘れられない味で、故郷を懐かしんで訪れる客家人の姿も少なくない。1 個10元という安さも魅力。
ツォンサンソウコンマーシューホントウタン
台北市中山區長安西路3 號(中山市場1F28號)☎02‒2551‒4451 7:00~17:00頃 月休 わらび餅に似た「黒糖粉粿」も人気。


ラー油味も! 挑戦を続ける老舗が作る絶品の餅。
1951年創業の甘味処。お汁粉からかき氷まで様々なデザートを楽しめるが、この店の顔となっているのは「燒麻」だ。1 代目が中国・福州出身の人から習ったという秘法を今も守っている。ヒマワリ油をたっぷりと入れた鍋の中で20分ほど煮込むお餅は照りがいい上に弾力性がある。もち米なので油は浸み込まず、さっぱりしている代わりに歯ごたえのある食感が生まれる。また、新米ではなく、1 年半ほど寝かせたもち米を使用し、火加減を上手に調整しているというのもポイント。ここではピーナッツ粉とゴマと砂糖をまぶしたものだけでなく、海苔と大豆のふりかけをのせたものや、自家製ラー油を絡めたものもある。ラー油とお餅は意外に思えるほど相性がいいので、ぜひお試しを。
スワンリエンユエンツァイタン
台北市大同區民生西路136號 ☎02‒2559‒7595 10:30~21:30 無休 1 個50元、2 個90元。2階には広々としたテーブル席がある。

文/片倉真理 写真/片倉佳史
※この記事は、No. 110 2023年2月号「&Taipei」に掲載されたものです。
December 12, 2022 「バナナスイーツ」&Taipei 台湾スイーツ食べ比べ
独特な食感と甘さが自慢の台湾バナナを楽しむ。


栄養満点のオリジナルドリンクが看板の店。
台北には無数のドリンクスタンドがあるが、バナナドリンクに特化した店は珍しい。ここでは砂糖を加えず、市場で仕入れたバナナをはじめ、各種フルーツや野菜をふんだんに用い、栄養や味、食感のバランスを考えながら、オリジナルドリンクを次々と開発している。看板メニューのバナナミルクには黒ゴマ入りやオレオクッキー入りがある。ミルクは数種類を試した結果、バナナとの相性がいい高雄の小規模農家のものを使用。そのほか、ヨーグルトドリンクではお通じが良くなるというドラゴンフルーツを加えたものが人気だ。さらにミックスジュースには2~3種類の野菜とレモン、カシューナッツなどを加えており、野菜が苦手という方にも好評。いろいろな味にトライしてみたい。
ホワイ・バナナ・シャンチアオニョウナイツワンマイディエン
台北市中山區松江路330巷37‒1號 ☎0905‒917‒053 11:00~20:00 無休 バナナミルクは50元、ミックスジュースは80元~。


バナナ農園の4代目が開いたバナナスイーツ店。
店主の葉杰恩(イエ・チエエン)さんは屏東県の出身。1924年に曾祖父がバナナ栽培を始め、父親が農園を継いだが、現在は栽培はせず、近隣の農園で収穫されたバナナの熟成作業を請け負っている。この熟成作業がバナナのおいしさの決め手となっており、高い技術を要する。葉さん自身はもともとコーヒーロースターだったが、故郷のフルーツの価値を高めたいと創業。バナナ形のケーキは外側をチョコでコーティングし、黄色は鉄観音茶味のガナッシュにバナナ餡、緑色はレモン味のガナッシュにパイナップル餡を使用。緑のほうはあえて完熟していないバナナも加え、酸味を出すというこだわりようだ。また、砂糖や水を加えないバナナドリンクも、バナナの旨味が凝縮されているので、必ずオーダーしたい。
グオユエンシエンセン・ピントンサンハン
台北市大安區安和路112巷16號(信義安和店)☎02‒2700‒0321 11:00~20:00 日休 バナナケーキは各150元。新北市中和にも店舗あり。

文/片倉真理 写真/片倉佳史
※この記事は、No. 109 2023年1月号「&Taipei」に掲載されたものです。
November 14, 2022 「漢方スイーツ」&Taipei 台湾スイーツ食べ比べ
ヘルシーで華やか。唯一無二の漢方スイーツ。


漢方薬局で味わう甘さ控えめな漢方ケーキ。
漢方薬局『信源蔘藥行(シンユエンセンヤオハン)』に同居するデザート店。店主の王心盈(ワンシンイン)さんは「若い世代にも漢方に親しんでもらいたい」という願いを抱き、漢方薬剤師である父親のアドバイスを得ながら、ケーキやドリンクの開発に勤しんでいる。看板商品はポルトガルの「セラドゥーラ」をモチーフにした「木屑蛋糕(ムーシュエタンガオ)」。砕いたクッキーとムースを交互に重ね、季節に合わせ、五臓六腑に効く素材を組み合わせている。例えば、「春桂」は肝臓に良いとされるキンモクセイと包種茶、「夏洛」は新陳代謝を促すローゼルとバラの花、「秋合」は肺に優しい百合と決明子、「冬杞」は腎臓に効く枸杞の実とココアを使用。特に「夏洛」と「秋合」が人気だという。座席数は限られているため、テイクアウトする常連が多い。
イーディーディー・ハンファンティエンディエンコンツオスー
台北市松山區復興北路427巷20號 ☎02‒8712‒0058 10:30~18:30 日月休 木屑蛋糕は各140元。冬草ラテなどの漢方ドリンクもあり。


ドリンク業界に新風を吹き込む極上の漢方茶。
ここの看板商品は何といっても漢方ドリンク。もはや芸術品のようにも見えてしまう美しさだ。左奥の「真山煙嵐/山茶」は阿里山青茶にグァバエキスと生薬の「野生木香」を加えたもので、爽やかな風味が自慢だ。これにクチナシの花や紅麹、人参といった天然色素を用いたタピオカが添えられる。これはお茶には入れず、飲みながら一口ずつ食べていくというスタイル。また、右奥の「老魂香/焔茶」は柑橘の葉を燻した煙とともにやってくる。陳皮(干したオレンジの皮)とレモングラス風味のスパイス「馬告」を加えた紅茶とともに、泡状のオレンジムースを味わう。甘味、苦味、酸味のバランスが絶妙だ。そのほか、亀ゼリーやプリンも人気。いずれもカロリーゼロの羅漢果糖を用いている。
シエンダオ・セント
台北市大同區承德路三段90巷2號 ☎02‒2595‒3757 12:30~19:30(土日11:30~) 月火休 「真山煙嵐/山茶」は240元。予約がベター。

文/片倉真理 写真/片倉佳史
※この記事は、No. 108 2022年12月号「&Taipei」に掲載されたものです。
October 17, 2022 「豆をのせたかき氷」&Taipei 台湾スイーツ食べ比べ
小豆や花豆がたっぷりのった懐かしのかき氷。


レトロな店で味わう昔ながらの小豆ミルクかき氷。
台北っ子ならば誰もが知る名店。入り口の天井にはリニューアル前の看板が貼り付けられており、先代の味を守る意気込みが伝わってくる。ここは常連客が多く、かつて大学生だった人たちが子連れや旧友とやってくることが少なくない。夏はかき氷、冬はお団子入りのお汁粉で知られ、豊富なメニューを誇るが、なかでも人気が高いのは、小豆と団子をのせたかき氷に練乳をかけた「紅豆湯圓牛奶冰(ホントウタンユエンニョウナイピン)」。小豆は産地として知られる台湾南部の屏東県萬丹産のものを使用。煮崩れしないように蒸らしながら煮込んでいく。もちっとした食感の手作り団子も期待を裏切らないおいしさ。さらに濃厚なカラメル味の自家製プリンをトッピングするのがおすすめ。懐かしい味わいに心がホッと安らぐはずだ。
タイイーニョウナイダーワン
台北市大安區新生南路三段82號 ☎02‒2363‒4341 11:00~23:00 無休 紅豆湯圓牛奶冰は80元、プリンをのせると30元追加。


「みつまめ」の愛称で親しまれる伝説のかき氷。
看板メニューの「蜜豆冰」は、花豆と緑豆、3種類の旬のフルーツ、蜜漬けのサツマイモとスモモとパイナップル、さらに手作り団子をのせた贅沢な一品。蜜漬けのサツマイモとスモモは台湾中部の山間部に暮らす職人が手がけたもの。また、他の具材もすべて店で仕込んでいる。3代目の陳微竹(ツェンウェイズー)さんによれば、かつて、多い日には1日1万杯の売り上げを誇り、陳さん自身、両腕に6つのかき氷をのせて運んでいたという。今でも年配客の間では「みつまめ」という日本語で親しまれ、人々の「思い出の味」となっている。氷はバナナ風味のザクザク食感の「刀削冰(ダオシャオピン)」か、ミルク風味のふわふわ食感の「雪綿冰(シュエミエンピン)」のどちらかを選ぶ。烏龍茶も付いてくるので口をさっぱりできるのも嬉しいところ。
シンファーティンミートウピンベンプー
台北市大同區迪化街一段196號 ☎02‒2553‒7787 11:00~18:30 土日10:30~19:00 無休 刀削冰の場合は150元、写真の雪綿冰の場合は180元。

文/片倉真理 写真/片倉佳史
※この記事は、No. 107 2022年11月号「&Taipei」に掲載されたものです。
September 19, 2022 「フルーツアイスキャンディ」&Taipei 台湾スイーツ食べ比べ
アイスキャンディでも楽しめる台湾フルーツ。


老舗の味を学んだ青年が創業したブランド。
「日本のラーメンのような濃厚な味わいがウリです」と笑うのは創業者の林于農(リンユィノン)さん。商品は11種類で、マンゴーや桑の実、イチゴなどフルーツ味をメインとしている。聞けば、父親の故郷である台南郊外の山上(サンシャン)という街にある名店『阿燕姨冰枝店(アーイエンイーピンツーディエン)』で作り方を学んだという。「子どもの頃の味が懐かしく、それを再現したかったんです」という林さん。店主の下で修業を積み、素材の比率を綿密に記録し、データ化する作業も進めた。創業後は自ら車を運転し、台湾全土を営業して回っている。現在は各地の観光スポットを中心に販売している。「おいしさはもちろんですが、子どもたちが安心して食べられるものを作りたいですね」という林さん。誠実さも伝わってくるアイスキャンディだ。
(ピンコンツ)
台北市大同區迪化街一段34‒1號(台灣物産) ☎02‒2552‒1853 10:00~18:30 無休 『好丘』(圓山店)や『天和鮮物』(華山旗艦店)などでも販売。


規格外の果物を利用したアイスキャンディ。
「本物のフルーツを食べているかのような感覚でアイスキャンディを楽しんでほしい」。そう語るのは2代目オーナーの李至菘(リーツーソン)さん。かつて初代が台東県鹿野(ルーイエ)に移り住んだ際、果物農家の苦労を目の当たりにしたという。そこで何かできないかと考え、規格外の果物を市場と同価格で仕入れ、農家の収入と暮らしを支えつつ、商品の開発に勤しんだ。現在は限定品も含めて全12種類が揃う。釈迦頭(しゃかとう/シュガーアップル)味にはあえて種を入れたままにし、スイカ味には甘味をアップさせるべく、台南産の海塩を加えたりしている。他店では見られない特別なフルーツを用いたものもあり、最近は台東県産の高級品種・夏雪マンゴーを用いたものが話題となっている。値段は1本40~80元。
ツンイーツーサンハン
台北市信義區忠孝東路五段372巷28弄3號(本店) ☎02‒2345‒6617 9:00~18:00 土日休 写真は夏雪マンゴー味や海塩入りスイカ味など。

文/片倉真理 写真/片倉佳史
※この記事は、No. 106 2022年10月号「&Taipei」に掲載されたものです。
August 15, 2022 「スイカかき氷」&Taipei 台湾スイーツ食べ比べ
甘さが凝縮したような台湾産スイカ。


甘味たっぷりのフォトジェニックなスイカ氷。
ナイトマーケットの「士林夜市(スーリンイエスー)」にある人気かき氷店。夏季限定の目玉商品は「西瓜小涼球(シーグワシャオリャンチョウ)」だ。これはスイカ風味のミルク氷にスイカボールを組み合わせたもの。早朝に青果市場で仕入れてきたスイカをスプーンでくりぬき、ボール状にしていく。その後、残った果肉に乳製品と砂糖を加え、液状にしたものを冷やして固める。これを削ってできたのがフワフワ食感のミルク氷だ。舌の上でスーッと溶けていく瞬間がたまらない。練乳も付いてくるが、スイカだけでも十分な甘さだ。なお、台湾でもスイカ風味のミルク氷は数が少ない。店主の劉雅淇さんによると、スイカは種が多いので濾す作業が面倒だからではないかとのこと。ここではそんな手間暇をいとわず、おいしさを追求している。
(ホワツァンシュエ)
台北市士林區大北路27號 ☎02‒2883‒3807 13:00~20:00(金土日は延長することも) 不定休(FB、IGで告知) 西瓜小涼球は150元。
Facebook: 花藏雪 手作雪氷 甘味处
Instagram: @snowflowerice


スイカと練乳、抹茶が織りなす3 色のかき氷。
「東區(トンチュィ)」と呼ばれる繁華街の路地の中にあり、若者がひっきりなしに訪れる店。店内には昔の映画のポスターが飾られるほか、懐メロが流れ、昔懐かしいかき氷店の雰囲気が再現されている。ここのスイカは質の良いものが揃うと評判の「濱江市場(ピンチアンスーツァン)」で仕入れている。抹茶ミルクと練乳をたっぷりとかけた氷に、カットされたスイカをトッピング。赤、緑、白と3色に分かれており、イタリアの国旗のようであることから「西西里(シチリア)瓜冰(シーシーリーグワピン)」と名付けられている。氷の中には黒糖と冬瓜を用いた濃厚な自家製カラメルソースが入っており、これも風味を支えている。香ばしさが感じられ、飽きずに味わえる。昔ながらのかき氷機を使用しており、シャリシャリとした氷の食感もやみつきになる。
シャオスーホウピングオスー
台北市大安區大安路一段51巷39號 ☎02‒2778ー2658 11:00~24:00 無休 西西里瓜冰は120元。かき氷のほか、手作り水餃子も人気。

文/片倉真理 写真/片倉佳史
※この記事は、No. 105 2022年9月号「&Taipei」に掲載されたものです。
July 18, 2022 「ジェラート」&Taipei 台湾スイーツ食べ比べ
豊富なメニューを誇る実力派ジェラート店。


舌の上でじっくり味わいたいグラース。
「グラース」と呼ばれるフランス式ジェラートに魅せられたオーナーの店。カスタードクリームをベースにしているのが特色で、乳化作用が2倍といわれる烏骨鶏の卵と、花蓮の牧場から直接取り寄せた生乳を用い、滑らかな食感に作り上げている。2009年の開店以来、日々研究を重ね、数多くのフレーバーがあり、そのなかで8~10種類を常備。夏場のおすすめは産地直送の3種類のマンゴーを使ったもの。濃厚な香りと甘さで知られる愛文マンゴーと、洗練された風味の夏雪マンゴー、そして繊維は多いが香りのよい土マンゴーだ。口に含んだ瞬間から味が変化し、喉を通った後の余韻も楽しめる。そのほか、お酒好きの店主が研究し続けているジンやラムといったアルコール入りもおすすめだ。
(フランスラクダ アイスクリームの家)
台北市信義區永吉路30巷101弄10號 ☎02‒2766‒0108 12:00~20:00 無休 シングル100元、ダブル150元、酒入りは+20元。ドリンクも提供。


業界を牽引する存在の絶品ジェラートの店。
大人から子どもまで幅広い人気を誇る名店。店主のウィルソンさんは業界全体のレベルを上げる努力を続けており、ジェラート講座を開くなど、自分の技術や知識を惜しみなく披露している人物だ。店では冷凍ケースの温度管理やヘラの扱い方も考え尽くされている。滑らかでクリーミーな食感のジェラートはフランス菓子の要素も取り入れており、重層的な味わい。さらにクッキーもトッピングされており、食感の変化も楽しめる。6年前の創業以来、すでに520種類を開発しており、そのなかから日替わりで9種類を提供。写真はバニラ味とサボテン味、コーヒー味と紅心グァバ味。サボテンは澎湖島産のもの、コーヒーは世界的な評価を得ている台北のカフェ『Simple Kaffa』の豆を使用。
ダブル・ヴィー
台北市大安區延吉街234號 ☎02‒2701‒0325 15:00~21:00(土13:30~) 日月火休 1 カップ135元(2種類まで味を選べる)、コーヒーも提供。

文/片倉真理 写真/片倉佳史
※この記事は、No. 104 2022年8月号「&Taipei」に掲載されたものです。
June 20, 2022 「涼糕 (リャンガオ) 」&Taipei 台湾スイーツ食べ比べ
ふるふる食感のレトロな台湾菓子。


生地も餡もバリエーション豊かな創作系涼糕。
『京站時尚廣場』や『統一時代百貨』といった有名デパートの地下街にブースをもつ『涼食帖』。オーナーの陳健銘さんは、元々は銀行員だった。父親が40年にわたり市場へ涼糕を卸していたが、健康を害してしまい、陳さんが家業を継いだ。若い世代にも親しんでもらうべく、日々、これまでにないユニークなものを開発し、ブランド化を図っている。生地には仙草(ハーブの一種)や杏仁、ゴマ、キンモクセイを用いたものがあり、餡にはタロイモや蓮の実入りのほか、サツマイモペーストなどがある。おすすめは抹茶生地に屏東県萬丹産の小豆餡を挟んだものと、黒糖生地にねっとりと甘いサツマイモ餡を挟んだもの。食感や甘さ、生地と餡のバランスが考え抜かれており、幅広い層に人気だ。
リャンスーティエ
台北市大同區承德路一段1號(京站時尚廣場)B3 ☎02‒2559‒5854 11:00~21:30(金土~22:00) 無休 1個45元。タロイモ餡も人気だ。


フルーツ味も餡入りも! ファン多数の人気涼糕。
建國南路の高架下にある店。簡素な作りだが、22年もの間、地元の人たちに愛され続けている。店主の施桂華さんは早朝4時から仕込みを始め、独自に編み出した手法に従い、複数の粉を使用しながら適度な歯ごたえの涼糕を作り出している。餡なしの涼糕には黒糖味のほか、パッションフルーツ味やレモン味もある。人工色素は用いず、天然果汁だけを使用。なかでもレモン味はレモン水を混ぜると生地が分離してしまうため、試行錯誤を繰り返し、完成までに1年以上を要したという。餡入りには小豆や緑豆、タロイモペースト、蓮の実入りなどがある。おすすめは濃厚な風味がたまらない黒糖生地に花豆の餡を挟んだもの。全種類が入ったパックもあるので、様々な味を楽しもう。
アーホワリャンガオ
台北市中山區八德路二段108號(八徳市場外側30番ブース) ☎02‒2711‒9287 9:00~19:00 月火水日休 1パック100元。

文/片倉真理 写真/片倉佳史
※この記事は、No. 102 2022年7月号「&Taipei」に掲載されたものです。
May 16, 2022 「草餅」&Taipei 台湾スイーツ食べ比べ
台湾の草餅は餡や形のバリエーションが豊富。


タロイモ餡やピーナッツ餡の変わり種もあり。
東門市場にある『富富の正』。30年以上の経験を持つ職人が手がけており、元々は卸専門だったが、4年前から小売りも始めた。ハハコグサを使用した生地には自家製の餡がたっぷりと詰まっている。餡はその日の天気や気温に合わせてレシピを微調整しており、例えば、夏場は食欲が落ちるため、大根餡は胡椒を多めにするなど、工夫を重ねている。餡の種類は全部で8種類。大根餡や小豆餡のほか、濃厚な風味のゴマ餡や、粒々感のあるピーナッツ餡、さらに細かくカットしたタロイモを干しエビと炒めた珍しい餡もある。以前はチョコレート餡を作ったこともあったが、奇抜すぎて失敗。一方でゴマ餡やピーナッツ餡は万人受けする味わいで、すっかり定着している。散策のお供にいかが。
フーフーダーツェン
台北市中正區金山南路一段110巷4弄2號(東門市場内) ☎0986‒638‒586 8:00~13:00(売り切れ次第終了) 月休 1個25元。


東三水街市場で老夫婦が守り抜く昔ながらの味。
名刹・龍山寺近くの市場の中にあり、お供え物になる餅菓子のほか、チマキや大根餅などを販売している。切り盛りするのは80代の老夫婦。妻は小学校卒業後に職人である父親の下で働き始め、その味を受け継ぐため、六十数年前に夫と店を開いた。現在は週4日の営業だが、朝4時から仕込みをするのは変わらない。ヨモギの香りが濃厚で、弾力性もある草餅は一口食べるだけで、いかに丁寧に作られているかがわかる。餡には小豆餡やゴマ餡のほか、大根餡や緑豆餡などもある。大根は日本産を使用し、きめ細かな食感が評判だ。さらに緑豆餡は緑豆を生姜や塩と一緒に炒めたもので、塩気と甘さのバランスが絶妙。「草餅は甘いもの」という固定観念を取り払い、試してみたい。1個20元。
あんくぅぺっ
台北市萬華區三水街70號(東三水街市場内の東56番ブース) ☎02‒2308‒3503 8:00~13:00(売り切れ次第終了) 月水木休ほか火不定休

文/片倉真理 写真/片倉佳史
※この記事は、No. 101 2022年6月号「&Taipei」に掲載されたものです。
April 18, 2022 「甘い小籠包 (シャオロンパオ) 」&Taipei 台湾スイーツ食べ比べ
チョコやタロイモ餡入りのスイーツ小籠包。


濃厚なチョコレートが口に広がる個性派小籠包。
タロイモペーストやゴマ餡、あんこ入りなどがある『鼎泰豐』のスイーツ小籠包。そのなかでもとりわけ評判となっているのがチョコレート餡入りだ。原料探しから始め、完成までは約2年半の歳月を費やしている。餡と皮の重量や皮の折り目の数まで細かく決められているほか、歯ごたえの良さも考え尽くされている。餡にはフランス産のカカオ成分64%のチョコレートを使用しており、甘味、酸味、苦味などが絡み合った風味を堪能できる。また、餡が皮を破らないようにするため、皮と餡の間には求肥を挟んでいるのがポイント。これによりもちっとした食感となり、おいしさがさらに増す。熱々のとろりとしたチョコレートが溢れ出てくるので、レンゲに置きながら味わうのがおすすめだ。
ディンタイフォン
台北市大安區信義路二段277號 ☎02‒2395‒2395 11:00~20:30(土日10:00~) 無休 チョコレート小籠包は5個175元、10個350元。


甘さは控えめ。タロイモ風味が際立つ芋泥小籠包。
『鼎泰豐』で修業した兄弟が開いた店。タロイモペースト入りの「芋泥小籠包(ユィニーシャオロンパオ)」は独自に開発したもので、創業者の陳任貴さんによれば、義理の弟が経営するベーカリーでタロイモペースト入りのパンを作っていたことにヒントを得たという。タロイモの種類や蒸し方を独自に研究し、1か月かけて完成。台湾のタロイモスイーツは台中郊外・大甲産の「檳榔芋頭(ビンランシンユィ)」を用いることが多いが、ここも同じ。水分含有量が適度なので、ねっとりとした食感が生み出されるという。皮むきから蒸して出来上がるまで、約8時間を費やす。砂糖の量は少なめで、タロイモの味と香りがはっきりと感じられる。棗あん入りやあんこ入りの小籠包もあり、一つのせいろで半分を別種にするというオーダーも可能。
チンディンロウ
台北市中山區長春路47號 ☎02‒2523‒6639 11:00~14:30 17:00~21:30 火休 芋泥小籠包6個入り135元、10個入り220元。

文/片倉真理 写真/片倉佳史
※この記事は、No. 100 2022年5月号「&Taipei」に掲載されたものです。
March 21, 2022 「紫米粥 (ズーミーツォウ) 」&Taipei 台湾スイーツ食べ比べ
美肌効果が期待できる紫米を用いたお粥。


愛情と栄養がたっぷりと詰まった紫米粥。
「婆婆」とは義理の母を意味する言葉。ここはその楊おばさんと義理の娘が切り盛りする養生系デザートの専門店だ。1988年の創業以来、高い評価を誇り、現在は通化街夜市に2店舗を構える。楊婆婆は「子どもたちに栄養のあるおやつを食べてもらいたい」という思いから漢方に関する書籍を読み漁り、生薬をふんだんに用いた甘いお粥「八寶粥」を開発。なかでも「八寶紫米粥」(70元)は紫米粥の上に棗(なつめ)や銀杏、雪蓮(シュエリエン)、白木耳(しろきくらげ)、蓮の実、桂圓(グェイユエン/ドライリュウガン)などをのせている。具材の選別から煮込み方まで、相当な手間暇をかけており、仕込みは早朝から始めるという。82歳の現在も、毎日店に立ち続けている楊おばさん。その元気と活力、そして美肌の源が八寶粥にあるのは間違いない。
ヤンポーポーパーパオツォウ
台北市大安區臨江街102-5號(通化街夜市内) ☎02‒8732‒4378 17:00~24:00 無休 店の奥に座席がある。通化街57巷の入り口にも屋台がある。


香港発祥のミルクプリンと紫米粥が合体。
香港人店主が23年前に開いた「燉奶(トゥンナイ)」の専門店。「燉奶」とはミルクに卵白と氷砂糖を混ぜて弱火で約8時間煮込んだミルクプリン。プルプルとした食感と控えめな甘さが魅力なだけでなく、低カロリーで、防腐剤や人工添加物は一切使用していない。ミルクプリンの上に紫米粥をかけた「紫米燉奶」は、花蓮県産の紫米にミルクや氷砂糖を加えて約3時間煮込んでいる。ココナツミルクが加えられることで、より食べやすくなっている。冬場にはこれに苗栗県大湖産のイチゴをトッピングしたメニューも登場する。香りが良くてジューシーな「楓香」という品種のイチゴを使用している。素材を厳選し、肌に良いものを組み合わせたスイーツは、男女問わず高い人気を誇る。
スワンメイマイ
台北市中山區農安街2巷20號之33 ☎02‒2599‒6282 11:00~21:30 日12:00~21:00 無休 紫米燉奶は85元。夏にはマンゴーをのせた燉奶もある。

文/片倉真理 写真/片倉佳史
※この記事は、No. 100 2022年4月号「&Taipei」に掲載されたものです。
February 21, 2022 「杏仁茶(シンレンツァー)」&Taipei 台湾スイーツ食べ比べ
台湾の人々に愛され続ける伝統ドリンク。


中華菓子の老舗が供する中華パイ付き杏仁茶。
古い家並みが魅力的な迪化街。その北側に位置する『李亭香』は5代目の李佳陽さんが切り盛りし、「若い人たちにも伝統菓子を味わってもらいたい」と日々奮闘している。パッケージや商品のデザインを磨くのはもちろん、2020年には店舗をリニューアルし、洒落たカフェを併設。様々な伝統菓子と台湾茶が楽しめ、杏仁茶と泡餅のセットも人気。泡餅とは内側に麦芽糖が塗られた中華パイのことで、これに熱々の杏仁茶を注ぐ。さっぱりとした風味の杏仁茶とやさしい甘さの泡餅はベストマッチで、一口食べるごとに舌も心も躍るはず。もちろん、泡餅自体も評判が良く、業務用に購入していく店が少なくないという。なお、杏仁茶の粉と泡餅はお土産用もあるので、自宅で作る楽しさもある。
リーティンシャン
台北市大同區迪化街一段309號 ☎02‒2557‒8716 10:00~19:00 旧正月休 杏仁茶と泡餅のセット「手沖泡餅」は150元。ピーナッツ菓子も人気。


杏仁茶が苦手だったという店主が開いた専門店。
繁華街「東區」にある小さな屋台。店主の郭維榮さんは、以前、杏仁茶が苦手だったというから驚きだ。街で見かける杏仁茶は香料を用いていることが多く、刺激の強いケミカルな匂いが受け入れられなかったのだという。しかし故郷の高雄で伝統的な杏仁茶に出合い、そのおいしさに目覚める。現在は杏仁を水に浸すところから始め、オーブンで焼いて水分を取り除き、鍋で煎ってからすり潰して煮るまで、十数時間をかけて作り上げている。米を含んでいるので満腹感を得やすく、自然な甘さと適度なとろみが好評だ。地元の常連客はもちろん、母乳の出を良くすることから、産後ケアセンターからも注文が入るという。「苦手な人にこそ飲んでほしい」という自信の杏仁茶を楽しみたい。
ユエンシン
台北市大安區忠孝東路四段248巷1 號 ☎0932‒857‒504 14:00~21:00 隔週で月か日休、旧正月休 杏仁茶65元~。油條(揚げパン)は+15元。

文/片倉真理 写真/片倉佳史
※この記事は、No. 99 2022年3月号「&Taipei」に掲載されたものです。
January 17, 2022 昔ながらの台湾ケーキ「古早味蛋糕(グーザオウェイタンガオ)」&Taipei 台湾スイーツ食べ比べ
卵をたっぷり使ったフワフワ食感のケーキ。


どこか懐かしさを覚える卵ロールケーキ。
台中郊外の豊原に本店があり、1900年創業という長い歴史を誇る老舗の中華菓子店。しっとりとした生地の月餅で知られ、戦前から数多くの賞を受賞してきた名店だ。そして、中華菓子のほか、「蛋糕捲」という卵ロールケーキも人気。「蛋糕捲」はかつて雑貨屋や売店で売られ、おやつの定番だったという。ここでは出来たてを販売しており、生地がふわっとしているのが特色。しかもアヒルの卵を用いているので香りが良く、上品な味わいとなっている。表面にまぶした砂糖のざらっとした食感も加わり、やみつきになるおいしさだ。本店では、多いときにはなんと1日2000個もの売り上げを記録するという。台北店では午前11時に焼き上がるので、この時間帯を狙って訪れるのがおすすめだ。
シュエホワツァイ
台北市松山區八德路四段187號(台北店) ☎02‒2579‒0439 10:00~20:00 日休 1個40元、6個入り1箱240元。常温で1日、冷蔵で3日保存可。


プリンのような軟らかさの巨大スポンジケーキ。
かつては宴会の最後にデザートとして供されていたという円形のスポンジケーキ「布丁蛋糕」。これを焼きたての状態で売るべく改良されたのが、「古早味現烤蛋糕」だ。オーブンから取り出したら、シートと板を重ね、高く持ち上げてからひっくり返す。その後、シートを剥がし、定規を用いて10等分にカットしていく。店先で披露される一連の作業は目を引くもので、熟練の技が必要。ちなみに、ケーキ1個あたりには5個の卵が使用されている。泡立て具合が決め手となり、濃厚な卵の風味と驚きの弾力性はここから生まれる。高さ10㎝×長さ20㎝の大きさでもペロリと完食してしまうはず。チーズ入りのほか、チョコ味やナッツ入りも人気。本店は淡水にあり、『士林夜市』内に分店がある。
ユエンウェイベンプー
台北市士林區文林路101巷14號(文林店) ☎02‒2881‒8985 8:00~21:00 月休 写真はチーズ入り130元。常温で1日、冷蔵で3日保存可。

文/片倉真理 写真/片倉佳史
※この記事は、No. 98 2022年2月号「&Taipei」に掲載されたものです。
December 20, 2021 さつまいもボール「地瓜球(ディーグワチョウ)」&Taipei 台湾スイーツ食べ比べ
今も昔も愛される台湾の国民的おやつ。


ピンポン球サイズでサクッとした食感が自慢。
台北駅近くの予備校街に位置する『金點地瓜球』。店主の王思穎さんによれば、この界隈は弁当店は多いものの、手頃なおやつの店が少ない。そこで、1年間の準備期間を経て、2020年7月に開業。1坪ほどの小さな店だが、サツマイモの皮剥きからすべて自分で行っている。原料は台湾中部の彰化県にある農家から仕入れた「台農66號」という品種。香りが良くて甘いので、砂糖の使用量は少なめにしている。穴あきの大きな鍋で芋団子を押し潰す作業は見るからに重労働。さらに締めの段階では温度を高め、火加減を巧みに調整している。これによって中がきれいな空洞になり、サクサクとした食感の地瓜球が出来上がる。プレーン味以外に梅の粉や塩コショウをふりかけたものも人気だ。
チンディエンディーグワチョウ
台北市中正區開封街一段2−23號 ☎0972−439−151 11:30~19:30 日休 小20元、中30元、大50元。写真は中。王さんは日本語も流暢。


小さな夜市で味わう昔ながらの地瓜球。
下町風情溢れる『大龍街夜市』は、小さいながらも住民たちに愛されているナイトマーケット。なかでも『賴 黃金地瓜QQ球』は人気の高い名物屋台。ここ数年は大きなサイズの地瓜球が流行しているが、ここは昔ながらの小さなサイズ。通常の中華鍋と穴あきの鍋を重ねた自家製器具を使用し、絶妙な火加減で加熱。サクッとしながらもモチッとした食感が保たれた逸品が次々に作り出されていく。ナイトマーケットにある地瓜球の屋台は市販の材料を用いている場合が多いが、ここは自家製にこだわっている。ちなみに店主の両親も近くで地瓜球の屋台を営んでおり、そちらは年配客が多いため、軟らかい食感にしているとのこと。地瓜球はどの店も同じように見えてしまうが、実は奥が深い。
ライ ホワンチンディーグワキューキューチョウ
台北市大同區大龍街271號 ☎0981−339−738 15:00~22:00 水休 大50元、小30元。近くには古刹の孔子廟や保安宮がある。

文/片倉真理 写真/片倉佳史
※この記事は、No. 97 2022年1月号「&Taipei」に掲載されたものです。
台北在住ライター・コーディネーター 片倉真理

1999年から台北に暮らす。台湾に関する書籍の執筆、製作のほか、雑誌のコーディネートなども手がける。台湾各地を隈なく歩き、料理やスイーツから文化、風俗、歴史まで幅広く取材。著書に『台湾探見』、共著に『台湾旅人地図帳』(共にウェッジ)、『食べる指差し会話帳』(情報センター出版局)など。