台湾スイーツ食べ比べ

小豆や花豆がたっぷりのった懐かしのかき氷。【&Taipei 台湾スイーツ食べ比べ 】October 17, 2022

「豆をのせたかき氷」
 台湾のかき氷はとにかくバリエーションが豊富だ。当連載でも様々なかき氷を紹介してきたが、今回紹介するのは、小豆や花豆、緑豆などといった煮込んだ豆をのせたかき氷。マンゴーかき氷のような華やかさはないものの、ふっくらと炊き上げられた豆は素朴で飽きのこないおいしさだ。一軒は1938年に台中で創業し、2022年春に台北へ移転してきた『幸發亭蜜豆冰本舖』。看板商品の「蜜豆冰(ミートウピン)」は、花豆や蜜漬けのフルーツなどをのせたかき氷で、日本の「みつまめ」をアレンジしたものとされている。もう一つは国立台湾大学の向かいで70年近い歴史を誇る『台一牛奶大王』の小豆ミルクかき氷。どちらも老若男女を問わずに愛され続ける定番中の定番。その根強い人気の秘密に迫りたい。
レトロな店で味わう昔ながらの小豆ミルクかき氷。

レトロな店で味わう昔ながらの小豆ミルクかき氷。

 台北っ子ならば誰もが知る名店。入り口の天井にはリニューアル前の看板が貼り付けられており、先代の味を守る意気込みが伝わってくる。ここは常連客が多く、かつて大学生だった人たちが子連れや旧友とやってくることが少なくない。夏はかき氷、冬はお団子入りのお汁粉で知られ、豊富なメニューを誇るが、なかでも人気が高いのは、小豆と団子をのせたかき氷に練乳をかけた「紅豆湯圓牛奶冰(ホントウタンユエンニョウナイピン)」。小豆は産地として知られる台湾南部の屏東県萬丹産のものを使用。煮崩れしないように蒸らしながら煮込んでいく。もちっとした食感の手作り団子も期待を裏切らないおいしさ。さらに濃厚なカラメル味の自家製プリンをトッピングするのがおすすめ。懐かしい味わいに心がホッと安らぐはずだ。

台一牛奶大王
タイイーニョウナイダーワン

台北市大安區新生南路三段82號 ☎02‒2363‒4341 11:00~23:00 無休 紅豆湯圓牛奶冰は80元、プリンをのせると30元追加。

台一牛奶大王(タイイーニョウナイダーワン)
「みつまめ」の愛称で親しまれる伝説のかき氷。

「みつまめ」の愛称で親しまれる伝説のかき氷。

 看板メニューの「蜜豆冰」は、花豆と緑豆、3種類の旬のフルーツ、蜜漬けのサツマイモとスモモとパイナップル、さらに手作り団子をのせた贅沢な一品。蜜漬けのサツマイモとスモモは台湾中部の山間部に暮らす職人が手がけたもの。また、他の具材もすべて店で仕込んでいる。3代目の陳微竹(ツェンウェイズー)さんによれば、かつて、多い日には1日1万杯の売り上げを誇り、陳さん自身、両腕に6つのかき氷をのせて運んでいたという。今でも年配客の間では「みつまめ」という日本語で親しまれ、人々の「思い出の味」となっている。氷はバナナ風味のザクザク食感の「刀削冰(ダオシャオピン)」か、ミルク風味のふわふわ食感の「雪綿冰(シュエミエンピン)」のどちらかを選ぶ。烏龍茶も付いてくるので口をさっぱりできるのも嬉しいところ。

幸發亭蜜豆冰本舖
シンファーティンミートウピンベンプー

台北市大同區迪化街一段196號 ☎02‒2553‒7787 11:00~18:30 土日10:30~19:00 無休 刀削冰の場合は150元、写真の雪綿冰の場合は180元。

幸發亭蜜豆冰本舖 シンファーティンミートウピンベンプー

文/片倉真理 写真/片倉佳史
※この記事は、No. 107 2022年11月号「&Taipei」に掲載されたものです。


台北在住ライター・コーディネーター 片倉真理

1999年から台北に暮らす。台湾に関する書籍の執筆、製作のほか、雑誌のコーディネートなども手がける。台湾各地を隈なく歩き、料理やスイーツから文化、風俗、歴史まで幅広く取材。著書に『台湾探見』、共著に『台湾旅人地図帳』(共にウェッジ)、『食べる指差し会話帳』(情報センター出版局)など。

instagram.com/marikatakura

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