台湾スイーツ食べ比べ

季節の変わり目におすすめの緑豆スイーツ。【&Taipei 台湾スイーツ食べ比べ 】September 18, 2023

緑豆蒜
 緑豆蒜とは緑豆の皮を取り除いた中身の「仁」が入ったスープ。キャッサバの澱粉やサツマイモ粉を加えているのでとろみがあり、温かくて甘いのが定番。体の熱やむくみを取る効果があるといわれ、暑い時季によく食べられる。夏場はこれに氷を加えるものも人気。かつては宴会料理のデザートとなっていたり、農作業の休憩時に体力維持のために食べられたりしていたという。本来は屏東県車城郷の郷土スイーツであり、台湾北部ではほとんど目にする機会がなかったが、最近は台北市内でもいくつか店が登場している。今回は車城出身の店主が切り盛りする『人算不如綠豆蒜』と、母方の実家が車城にあるという店主が開いた『綠豆蒜製研所』を取り上げたい。体にいいスイーツで夏の疲れを取り除こう。
緑豆スイーツ<i>&Taipei 台湾スイーツ食べ比べ</i>

昔ながらの味にこだわり、具材にも凝った店。

 「幼少の頃、故郷で食べていた味を再現しています」と語るのは店主の許斯豪さん。緑豆の仁は煮る際の火加減の調整が非常に難しく、失敗すると仁が開き、ニンニクスープのような見た目になってしまうとか。ここでは火加減に細心の注意を払い、程よい食感を作り出している。また、スープは台北の人たちの好みに合わせ、車城のものよりも甘さは控えめ。手づくりのトッピングも種類豊富で、芋本来の味がしっかりと感じられる団子はタロイモ、サツマイモ、紫芋の3種。そのほか、黒糖味の粉粿(わらび餅に似たもの)やコーヒー味のタピオカ、キンモクセイ風味の烏龍茶で作ったコンニャクなども。「当初は子どものために作っていた」というだけあり、厳選した良質の素材を用いている。

人算不如綠豆蒜
レンスワンプールーリュィトウスワン

台北市大安區金華街128−1號 ☎02−2848−2818 12:30~20:00(土日~20:30) 水休 写真は3種類のトッピングで85元。

人算不如綠豆蒜レンスワンプールーリュィトウスワン
緑豆スイーツ<i>&Taipei 台湾スイーツ食べ比べ</i>

アイデア豊富! 多様な緑豆蒜を楽しめる店。

 繁華街にありながら、公園の緑が目の前に広がる居心地の良い店。店主の惠韻如さんは子どもの頃、夏休みになると車城を訪れ、おやつに緑豆蒜を食べていたという。学生時代には台北に店がないので、自作していたほど緑豆蒜好きだ。ここの特色はスープにキャッサバの澱粉のほか、黒糖や冬瓜茶を加えていること。燻したドライリュウガンも入っており、深みのある味わいに仕上がっている。トッピングの種類はいろいろあるが、人気はタロイモペーストと、桃の樹液である「桃膠」。後者は食物繊維と植物性タンパク質が豊富な上にカロリーゼロなので美容に良いといわれる。このほか、緑豆蒜を用いたかき氷やスムージー、さらに酒醸(糯米を発酵させたもの)が入った変わり種もある。

綠豆蒜製研所
リュィトウスワンツーイエンスオ

台北市中正區南陽街38巷2號 ☎0958−553−868 11:30~20:00 土日12:30~19:00 無休 写真は2種類のトッピングで110元。

綠豆蒜製研所リュィトウスワンツーイエンスオ

文/片倉真理 
※この記事は、No. 118 2023年10月号「&Taipei」に掲載されたものです。


台北在住ライター・コーディネーター 片倉真理

1999年から台北に暮らす。台湾に関する書籍の執筆、製作のほか、雑誌のコーディネートなども手がける。台湾各地を隈なく歩き、料理やスイーツから文化、風俗、歴史まで幅広く取材。著書に『台湾探見』、共著に『台湾旅人地図帳』(共にウェッジ)、『食べる指差し会話帳』(情報センター出版局)など。

instagram.com/marikatakura

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