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Eyesあの人が見つけたモノ、コト、ヒト

アートディレクター・グラフィックデザイナー 小熊千佳子


March 08, 2018 手のひらの月  小熊千佳子

2018.03.08

手のひらの月

「月」が届いた。手のひらサイズの月。SNSで流れてきた画像にひとめぼれ。速攻ポチったのは言うまでもありません。最近物欲がめっぽう減ったにも関わらず、この魅力にはちょっとあらがえなかったです。思えば年初に月蝕を見たのも関係するかもしれません。地球の影でハッとするほど赤く染まった月が目視できる奇跡。このところ旧暦のリズムが身体にあっていると感じるのだけど、これも月のリズム。気づくと身のまわりで「月」がキーワードだなーと思っていたところに、我がリビングにも小さな月がやってきました。「白く清廉な月」「黄色くて温かい月」色温度も変えられて調光もできる、充電すればワイヤレス。ギミックもなかなかな優秀なお月さまだったのでした。

 
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夜長にあたたかいお茶を入れ、本を読みながら部屋の片隅の月を見る。なかなかいいものです。


November 30, 2017 CASICA 混在する価値の可視化。  小熊千佳子

2017.11.30

CASICA
混在する価値の可視化。

久しぶりに胸踊る空間に出会いました。新木場にオープンしたCASICA。一歩入ると元材木問屋の広大な空間が広がり、まずは高い天井まで覆う古家具と、存在感ある植物に圧倒されます。国、時代、有名無名、スタイルも様々なのに、すべてにまとう空気に通底したものを感じるのは、物件探しから、内装設計、施設内コンテンツ、古家具の買い付けまでトータルにプロデュースされた鈴木善雄さん引田舞さんの目の感度がそこにあるから。足を止めたくなるものが所狭しと並び、ここには何度か通うことになるだろうなと。「園芸と再生」による植物。ブックディレクター山口博之さんによる選書、南風食堂さんが監修するカフェ。焚き火工芸集団による古家具の調査研究からリメイクまで行うアトリエ。CASICAを運営するタノシナルの撮影スタジオとオフィス等。様々な「生み出す場所」がぎゅっと凝縮して、これからどんな新しいコトやモノが立ち上っていくのか、次に何を可視化してくれるのかとても楽しみです。

 
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夜の雰囲気も素敵だけれど、昼間の光に溢れた時間も素敵!

CASICA
https://casica.tokyo


August 28, 2017 「ダレオド」 誰も見ていないみたいに、踊って 小熊千佳子

2017.08.28

「ダレオド」
誰も見ていないみたいに、踊って

中川正子さんの写真に初めて触れたのは、ふと入った書店で彼女が初めて出版した写真集に出逢った時でした。本棚から何か光るものを感じる。そんな鮮烈な印象を受け、じっと見つめた記憶があります。今年4月に出版された新しい写真集「ダレオド」。写真集冒頭の言葉にまたもはっとさせられました。「わたしはひかりを集めたい。戦い争い傷つけあうこと。不安や恐怖や絶望。それらに抗う代わりに、わたしはひかりを粛々と集めたい」と。他の誰でもなく自分が光あると思う方へ歩いて行く。ということの決意を感じて、自分の中にも小さな光が灯ったような気持ちになったのでした。闇の中で光る光源のような写真と言葉。タイトルの「ダレオド」の意味は「誰も見ていないみたいに、踊って」。

 
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「ダレオド」は、高松の書店BOOK MARÜTEさんが立ち上げたレーベルPilgrimから出版されました。
http://book-marute.com/2017/03/02/dareodo/

中川正子
http://masakonakagawa.com

ダレオド
http://book-marute.com/2017/03/02/dareodo/

BOOK MARÜTE
http://book-marute.com


June 12, 2017 柳本浩市さんのこと。 圧倒的なコレクションから見える未来。 小熊千佳子

2017.06.12

柳本浩市さんのこと。
圧倒的なコレクションから見える未来。

先日惜しまれながら会期を閉じた展覧会があります。「柳本浩市展」“アーキヴィスト ー 柳本さんが残してくれたもの”。膨大な途方もない数のデザインにまつわるコレクション。会場に足を踏み入れ圧倒されました。デザインから世界をとらえようという柳本さんの好奇心のままに、日常の捨てられてしまうであろうものでも(そのモノにもそれをつくった作り手がいてデザインがある)収集してらっしゃることに感銘を。それは時を経て、大量に集まった時に文脈が生まれ、その背景にある時代を映し出していく。生前お話してみたいなぁと憧れていた柳本さんの言葉には、これからもずっと学ぶことが多いのだろうと思います。「アーカイヴという意味は日本では所蔵などのニュアンスで使われていますが、本来は蓄積した情報を未来に役立てるという意味なんですよねぇ。つまり過去ではなく未来。(柳本浩市 Facebook 2015.10.16)」

 
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「柳本浩市展“アーキビストー柳本さんが残してくれたもの”」柳本さんの仲間がボランティアで運営された展覧会。この展覧会を企画実現していただいた実行委員会の方に感謝を。

「柳本浩市展“アーキビストー柳本さんが残してくれたもの”」
www.facebook.com/Yanagimoto.Koichi.Exhibition/


April 03, 2017 手の軌跡。描きながら考える。 小熊千佳子

2017.04.03

手の軌跡。描きながら考える。

インド出身の画家N.S.ハルシャさんの展覧会「チャーミングな旅」を見てきました。とにかく物量としての強度がどーんと迫る。一人の人がこれだけのものを描けるものかと。「描きながら思考する。何か考えてから絵を描くのではなく、絵を描くこと自体が考えること。絵画を描きながら自分自身がつくられる」とインタヴューに答えていたのが印象的でした。あぁそうだよなぁ。手を動かしながら反射のように試行錯誤が重なって、それが「思考」となってくんだよなぁ。まずは拙くても動くこと。新しい生活に入る春の季節に背中を押された気持ちになりました。

 
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息子とともに。N.S.ハルシャ
「ふたたび生まれ、ふたたび死ぬ」

森美術館 N.S.ハルシャ展
http://www.mori.art.museum/contents/n_s_harsha/


アートディレクター・グラフィックデザイナー 小熊千佳子

おぐま・ちかこ/印刷・紙・加工ギーク。紙媒体を中心にデザインを行う。Little Book Label YOU ARE HEAR主宰。
http://youarehere.jp
http://www.chikako-oguma.com/