台湾スイーツ食べ比べ

寒い季節にぴったりの温かいハーブデザート。【&Taipei 台湾スイーツ食べ比べ 】March 18, 2024

燒仙草
 肌寒い季節になると、スイーツ店の壁に「燒仙草上市」(燒仙草の販売を始めました)と書かれた紙が張り出される。台湾の冬の風物詩であり、これを見ると心が躍る。見た目は真っ黒なのでちょっぴり驚くが、とろりとした温かい液体状のスイーツが体に染み込んでいくと、身も心も温まる。原料はでんぷんやペクチンを含むシソ科の植物「仙草」で、乾燥させた茎や葉を煮出して作る。ほんのりと苦味を感じるが、芋団子や小豆などをトッピングし、これが程よい甘さとなる。さらに数粒のピーナッツを加えるのが定番。塩気とカリッとした食感がいいアクセントになっている。夏場は冷やしたゼリー状のもの「仙草凍」(第6回で紹介)が一般的で、季節によって異なる食べ方を楽しむ。
燒仙草 (サオシエンツァオ) <i>&Taipei 台湾スイーツ食べ比べ</i>

母と娘で切り盛りする昔ながらの甘味処。

「台北の台所」と称される濱江市場に近い一軒。赤い提灯と看板が目印で、地元の人たちがふらりと立ち寄っていく。店名にある「艋舺」とは台北の下町「萬華」の旧名。これは店主が昔ながらの仙草スイーツの作り方を萬華で学び、ここにある薬草店から仙草を仕入れていることに由来する。奥にある調理場では毎日6時間かけて仙草を煮込んでおり、これに黒糖を加え、濃厚な風味に仕上げている。トッピングは20種ほどあり、芋団子や金時豆、タロイモ、粉粿(サツマイモの粉をゼリー状に固めたもの)などが人気。なみなみと注がれた燒仙草は具材が加わるとかなりのボリューム。これだけでも十分な満腹感が得られる。なお、冷めると徐々に固まり始め、食感が変化していくのも面白い。

古早味艋舺仙草
グーザオウェイばんかシエンツァオ

台北市中山區復興北路514巷65號 ☎02−2501−4166 13:00~22:00 月休 黒糖燒仙草55元(トッピング3種類)。奥は仙草凍。

古早味艋舺仙草グーザオウェイばんかシエンツァオ
燒仙草 (サオシエンツァオ) <i>&Taipei 台湾スイーツ食べ比べ</i>

洗練された見た目と味わいが人気の専門店。

「豆花は可愛らしいお店がたくさんありますが、仙草はそうとは限りません。そこで、若い世代にもっと仙草を味わってもらうべく、内装にこだわりました」
と語るのは広報の林佑臻さん。台中で創業し、現在は台北市内に2店舗を構える。’22年には香港にも出店。伝統的な製法を守り、新竹県關西産の仙草を8時間、じっくり煮込んだ上で独自の味わいを作っていく。仙草凍や燒仙草のほか、珍しい仙草味のかき氷もあり、バリエーションは豊富。燒仙草のトッピングには弾力性のあるサツマイモ団子やタロイモ団子、白タピオカのほか、プチプチとした食感の紫米と小豆がセットになっている。さらに仙草凍には抹茶アイスやタロイモペーストを加えるなど、ひと捻りある仙草スイーツが楽しめる。

八時神仙草
パースーセンシエンツァオ

中山店/台北市中山區中山北路一段135巷5號 ☎0970−573−918 12:30〜21:00 無休 燒仙草盛盤69元(トッピング付き)。奥は仙草凍。

八時神仙草パースーセンシエンツァオ

文/片倉真理 
※この記事は、No. 124 2024年4月号「&Taipei」に掲載されたものです。


台北在住ライター・コーディネーター 片倉真理

1999年から台北に暮らす。台湾に関する書籍の執筆、製作のほか、雑誌のコーディネートなども手がける。台湾各地を隈なく歩き、料理やスイーツから文化、風俗、歴史まで幅広く取材。著書に『台湾探見』、共著に『台湾旅人地図帳』(共にウェッジ)、『食べる指差し会話帳』(情報センター出版局)など。

instagram.com/marikatakura

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