台湾スイーツ食べ比べ

今も昔も愛される台湾の国民的おやつ、さつまいもボール「地瓜球 (ディーグワチョウ) 」【&Taipei 台湾スイーツ食べ比べ 】December 20, 2021

「地瓜球(ディーグワチョウ)」
 台湾のナイトマーケット(夜市)で定番おやつとされる「地瓜球(ディーグワチョウ)」。蒸したサツマイモをペースト状にし、タピオカ粉(キャッサバの澱粉)や砂糖などを加えてお団子にし、これを高温の油で揚げる。揚げている途中で3回から4回、穴あきお玉で生地をつぶす。これによって中の空気が押し出され、ふっくらときれいな球状となる。店によって味や形、食感は異なり、サクサクしたものもあれば、モチッとした食感のものもある。観光客に人気の『寧夏路夜市(ニンシアルーイエスー)』や『饒河街夜市(ラオフージエイエスー)』には3、4軒あるので、食べ比べを楽しむのもおすすめ。今回は台北駅前にある『金點地瓜球』と孔子廟近くにある『大龍街夜市(ダーロンジエイエスー)』内の『賴 黃金地瓜QQ球』を紹介したい。なお、冷めると味が落ちるので、熱々のうちに味わおう。
ピンポン球サイズでサクッとした食感が自慢。

ピンポン球サイズでサクッとした食感が自慢。

 台北駅近くの予備校街に位置する『金點地瓜球』。店主の王思穎さんによれば、この界隈は弁当店は多いものの、手頃なおやつの店が少ない。そこで、1年間の準備期間を経て、2020年7月に開業。1坪ほどの小さな店だが、サツマイモの皮剥きからすべて自分で行っている。原料は台湾中部の彰化県にある農家から仕入れた「台農66號」という品種。香りが良くて甘いので、砂糖の使用量は少なめにしている。穴あきの大きな鍋で芋団子を押し潰す作業は見るからに重労働。さらに締めの段階では温度を高め、火加減を巧みに調整している。これによって中がきれいな空洞になり、サクサクとした食感の地瓜球が出来上がる。プレーン味以外に梅の粉や塩コショウをふりかけたものも人気だ。

金點地瓜球
チンディエンディーグワチョウ

台北市中正區開封街一段2−23號 ☎0972−439−151 11:30~19:30 日休 小20元、中30元、大50元。写真は中。王さんは日本語も流暢。

金點地瓜球 チンディエンディーグワチョウ
小さな夜市で味わう昔ながらの地瓜球。

小さな夜市で味わう昔ながらの地瓜球。

 下町風情溢れる『大龍街夜市』は、小さいながらも住民たちに愛されているナイトマーケット。なかでも『賴 黃金地瓜QQ球』は人気の高い名物屋台。ここ数年は大きなサイズの地瓜球が流行しているが、ここは昔ながらの小さなサイズ。通常の中華鍋と穴あきの鍋を重ねた自家製器具を使用し、絶妙な火加減で加熱。サクッとしながらもモチッとした食感が保たれた逸品が次々に作り出されていく。ナイトマーケットにある地瓜球の屋台は市販の材料を用いている場合が多いが、ここは自家製にこだわっている。ちなみに店主の両親も近くで地瓜球の屋台を営んでおり、そちらは年配客が多いため、軟らかい食感にしているとのこと。地瓜球はどの店も同じように見えてしまうが、実は奥が深い。

賴 黃金地瓜QQ球
ライ ホワンチンディーグワキューキューチョウ

台北市大同區大龍街271號 ☎0981−339−738 15:00~22:00 水休 大50元、小30元。近くには古刹の孔子廟や保安宮がある。

賴 黃金地瓜QQ球 ライ ホワンチンディーグワキューキューチョウ

文/片倉真理 写真/片倉佳史
※この記事は、No. 97 2022年1月号「&Taipei」に掲載されたものです。


台北在住ライター・コーディネーター 片倉真理

1999年から台北に暮らす。台湾に関する書籍の執筆、製作のほか、雑誌のコーディネートなども手がける。台湾各地を隈なく歩き、料理やスイーツから文化、風俗、歴史まで幅広く取材。著書に『台湾探見』、共著に『台湾旅人地図帳』(共にウェッジ)、『食べる指差し会話帳』(情報センター出版局)など。

instagram.com/marikatakura

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