長田佳子の季節のハーブを愉しむお菓子。
甘く、とろける「バナナのメープルバニラソテー」 長田佳子の季節のハーブを愉しむお菓子 vol.25 April 16, 2022
自然からのいただきものであるハーブの力を取り入れて、心と体に優しく寄り添う「レメディ」のようなお菓子を作る〈foodremedies〉として活動する菓子研究家の長田佳子さん。砂糖にはない甘さやほのかに感じる苦味、鼻をくすぐるいい香り——。ハーブはそのときの心と体の状態によって、五感で感じ取るものが繊細に変化する奥深さを秘めた暮らしに役立つ植物です。そんな季節のハーブを使った長田さんオリジナルのお菓子のレシピを紹介するこの連載。第25回は「バナナのメープルバニラソテー」をお届けします。
This Month's Herbal Sweets
「バナナのメープルバニラソテー」

バニラとメープルシロップの甘い香りと、バナナの食感に心癒やされる。
小腹がすいたときにちょっとしたおやつとして食べたくなるバナナ。実はバナナの糖質は、体内への吸収がゆるやか。ビタミン、食物繊維が豊富で美容によく、さらにカリウムやマグネシウムが特に多く含まれていて高血圧対策にもよいとされているパワーフードです。それゆえに、常備しているという人も多いのではないでしょうか?
手を加えず、そのまま食べるだけでもおいしいけれど、慣れ親しんだその味に飽きてくる、ということもあると思います。そんなときには、ソテーにして味に変化をつけて楽しんでみましょう。
実際、バナナの生産量が多いインドではバナナを使ったお菓子が多く、メープルシロップやバターを使ってバナナをソテーするおやつが定番になっている家庭もあります。
バニラのさやの中にある黒い粒々のバニラビーンズをバナナに塗りつけて、独特の甘い香りを移しましょう。バニラはオーガニックで作られた良質なものを。バニラビーンズそのものがしっとりとしていて、少量使いでも香り豊かになります。
フライパンを熱したらメープルシロップを入れて、ソテーをしましょう(シロップがない場合は、きび砂糖でも)。味にコクをもたせるためにバターを加えて、最後に塩をふったら出来上がり。
5分もあれば作れるおやつなので、お菓子作りに慣れていない人でも、忙しい人でも、気軽に作れるはず。天然由来の甘味料であるメープルシロップの香りとコクは、ソテーしてとろりとした食感のバナナとよく合います。
ペアリングドリンクはミルクティーやチャイを。甘く、とろけるバナナのメープルバニラソテーの味わいをより一層、引き立ててくれると思います。

ラン科バニラ属の蔓性植物。原産地はメキシコ、中央アメリカといわれている。 バニラの名前の由来は、いんげん豆のさやのような15〜30㎝の細長い「小さなさや」の形にちなんで。未熟な果実を収穫し、発酵と乾燥を繰り返し行い、手間ひまをかけて熟成させることで独特の甘い香りが生まれる。調理にはさやの中の小さな黒色の種をかき出して使用を。種をかき出したあとのさや部分は、乾燥させて砂糖の保存容器の中に入れて香りづけに使ってみても。
レシピ 1人分
・バナナ1本
・バニラ1/8本
・メープルシロップ15ml
・無塩バター5g
・塩ひとつまみ
・カシューナッツ10g
How to cook

photo:Hiroko Matsubara edit & text:Seika Yajima
キッチンクロス提供:FLUFFY AND TENDERLY 器:田中直純
菓子研究家 長田 佳子
