長田佳子の季節のハーブを愉しむお菓子。

朝食やおやつに食べたい「セントジョーンズワートのドーナツ」 長田佳子の季節のハーブを愉しむお菓子 vol.27 June 18, 2022

自然からのいただきものであるハーブの力を取り入れて、心と体に優しく寄り添う「レメディ」のようなお菓子を作る〈foodremedies〉として活動する菓子研究家の長田佳子さん。砂糖にはない甘さやほのかに感じる苦味、鼻をくすぐるいい香り——。ハーブはそのときの心と体の状態によって、五感で感じ取るものが繊細に変化する奥深さを秘めた暮らしに役立つ植物です。そんな季節のハーブを使った長田さんオリジナルのお菓子のレシピを紹介するこの連載。第27回は「セントジョーンズワートのドーナツ」をお届けします。

This Month's Herbal Sweets

「セントジョーンズワートのドーナツ」

「セントジョーンズワートのドーナツ」 長田佳子の季節のハーブを愉しむお菓子

大人も子どもも一緒に楽しめる、揚げパンのようなドーナツ。

丸くて、プクプクとした可愛いフォルム。ドーナツは、眺めているだけで心を和ませてくれる不思議な力を持っているおやつだ。大人も、子どもも一緒に食べられて、オーブンを使わないで作れるので、家庭でも作りやすい手軽さも嬉しいもの。

生地に使う材料は、牛乳、卵、中力粉、薄力粉、きび砂糖など簡単に手に入りやすいものばかり。生地作りにはちょっとしたコツが必要で、生地そのものにツヤが出るように、力を込めて捏ねることが大切。おいしいドーナツを作るために必要なステップ、と思って丁寧に仕上げましょう。

生地ができて成形できたら、鍋に油を入れて温めて。いい焼き色になるように揚げているときの香りは、気分を盛り上げてくれるものです。

ドーナツを揚げたあとは、鍋に水とセントジョーンズワートの葉を入れてフレーバーをうつして、シロップを作りましょう。粉糖と冷ましたシロップをかき混ぜて作った、セントジョーンズワートのフレーバーのグレーズをドーナツにつけたらできあがり(セントジョーンズワートが手に入らない場合は、レモンバーベナ、レモンバーム、ローズマリーなど爽やかな香りのハーブで代用しても)。

もちもちとしていて、食べ応えるがある揚げパンのようなドーナツとグレーズの天然のフレーバーが重なることで、より豊かな味わいを引き出すことができます。

グレーズに使ったセントジョーンズワートは、気分を明るくさせてくれる作用が期待できるハーブ。ドーナツのお供にフレッシュハーブティーにして飲めば、気分的な不調を和らげるサポートをしてくれて、心がほっと落ち着きそうです。

「セントジョーンズワートのドーナツ」 長田佳子の季節のハーブを愉しむお菓子 セントジョーンズワート<br /><br /> オトギリソウ科オトギリソウ属の多年草。古くからヨーロッパの伝統医学で使用されていたことで知られ、ヨーロッパではうつ症状や不眠の治療などにも用いられてきたハーブです。摂取することで、ストレスに対する作用が期待できる、脳内物質・セロトニンの濃度を高めることができるといわれていて、更年期や生理時の不調のサポートにもおすすめです。不安で落ち着かないときには、ホットティーにして飲んでみても。
セントジョーンズワート

オトギリソウ科オトギリソウ属の多年草。古くからヨーロッパの伝統医学で使用されていたことで知られ、ヨーロッパではうつ症状や不眠の治療などにも用いられてきたハーブです。摂取することで、ストレスに対する作用が期待できる、脳内物質・セロトニンの濃度を高めることができるといわれていて、更年期や生理時の不調のサポートにもおすすめです。不安で落ち着かないときには、ホットティーにして飲んでみても。

レシピ 6〜7人分 

ドーナツ生地
・中力粉150g
・薄力粉50g
・きび砂糖20g
・ドライイースト3g
・塩2g
・牛乳120ml
・卵1/2個
・こめ油(揚げる用の油) 適量

グレーズシロップ 
・セントジョーンズの葉5g
・水100ml
・粉糖50g

How to cook

1.大きめのボウルに中力粉、薄力粉、きび砂糖、ドライイーストを入れ、人肌に温めた牛乳を加えたらゴムベラで混ぜ、続いて卵を加えて混ぜる。
1.大きめのボウルに中力粉、薄力粉、きび砂糖、ドライイーストを入れ、人肌に温めた牛乳を加えたらゴムベラで混ぜ、続いて卵を加えて混ぜる。
2. 生地に塩を加え、ボウルの中あるいは台の上に置き、手でしっかり捏ねる。表面がつるんとなめらかになるまで捏ねたら、ボウルに入れラップをして冷蔵庫に一晩置いて休ませる。
2. 生地に塩を加え、ボウルの中あるいは台の上に置き、手でしっかり捏ねる。表面がつるんとなめらかになるまで捏ねたら、ボウルに入れラップをして冷蔵庫に一晩置いて休ませる。
3.粉(分量外)をうった台の上に生地を取り出して6等分にする。
3.粉(分量外)をうった台の上に生地を取り出して6等分にする。
4. 生地を丸め、麺棒か手のひらで平らにする。
4. 生地を丸め、麺棒か手のひらで平らにする。
5.中央部を抜き型で抜き、真ん中の生地をとる(真ん中の生地もそのままの形で揚げる)。
5.中央部を抜き型で抜き、真ん中の生地をとる(真ん中の生地もそのままの形で揚げる)。
6.鍋に油を入れ、温まったらドーナツを入れて両面を色よく揚げる。
*温度の目安は170℃くらいで高温にしすぎないように。
6.鍋に油を入れ、温まったらドーナツを入れて両面を色よく揚げる。 *温度の目安は170℃くらいで高温にしすぎないように。
7.グレーズを作る。鍋に水とセントジョーンズワートの葉を入れて長めに煮詰め冷ます。
7.グレーズを作る。鍋に水とセントジョーンズワートの葉を入れて長めに煮詰め冷ます。
8.ボウルに粉糖と冷ました「7」のシロップを入れかき混ぜ、なめらかになったらドーナツをつける。
8.ボウルに粉糖と冷ました「7」のシロップを入れかき混ぜ、なめらかになったらドーナツをつける。
朝食やおやつに食べたい「セントジョーンズワートのドーナツ」 <i>長田佳子の季節のハーブを愉しむお菓子 vol.27 </i>

photo:Hiroko Matsubara edit & text:Seika Yajima
キッチンクロス提供:FLUFFY AND TENDERLY 器:中本純也 ほか


菓子研究家 長田 佳子

レストラン、パティスリーなどでの修業を経て、YAECAフード部門「PLAIN BAKERY」でメニュー開発、お菓子の製造を担う。2015年に独立。〈foodremedies〉という屋号でハーブやスパイスなどを使ったまるでアロマが広がるような、体に素直に響くお菓子を研究している。著書に『季節を味わう癒しのお菓子』(扶桑社)、『全粒粉が香る軽やかなお菓子』(文化出版局)などがある。2021年7月より登録制による動画配信のお菓子教室を開催。

foodremedies.jp

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