長田佳子の季節のハーブを愉しむお菓子。

March 26, 2022 生地の食感がクセになる「チャービルと文旦のクレープ」 長田佳子の季節のハーブを愉しむお菓子 vol.24

自然からのいただきものであるハーブの力を取り入れて、心と体に優しく寄り添う「レメディ」のようなお菓子を作る〈foodremedies〉として活動する菓子研究家の長田佳子さん。砂糖にはない甘さやほのかに感じる苦味、鼻をくすぐるいい香り——。ハーブはそのときの心と体の状態によって、五感で感じ取るものが繊細に変化する奥深さを秘めた暮らしに役立つ植物です。そんな季節のハーブを使った長田さんオリジナルのお菓子のレシピを紹介するこの連載。第24回は「チャービルと文旦のクレープ」をお届けします。

 

This Month's Herbal Sweets

「チャービルと文旦のクレープ」

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旬のフルーツやおかずになりそうな具材を巻いて、折りたたむ。

巻いたり、折ったり、さまざまな材料を包み込んでいただくフランス北西部のブルターニュ発祥のクレープ。生地が薄手で、ちょっと甘いものが食べたいときにおすすめしたい軽やかなお菓子です。

生地作りに必要な材料は薄力粉と塩ひとつまみときび砂糖。そして、オーツミルクと水のみ。このオーツミルクを使うことでもっちり、しっとりとした食感に導くことができます。バターも使わないので、比較的あっさりと食べられる味わいに。

そして、綺麗に焼くためにはちょっとしたコツが。鉄板が熱すぎると生地が分厚くなってしまうので、フライパンを一度熱した後に濡れ布巾に置いて熱を冷ましましょう。そうやって、ひと手間かけて丁寧に焼き上げることで、味そのものが応えてくれるはずです。このやり方は、ホットケーキを焼くときにも役立つ裏技なので、ぜひ身に付けて。

後は好きな具材を置いて包むだけ。旬のフルーツ、文旦は皮を剥く間、柑橘特有のいい香りに包まれて心も晴れやかに。ホイップクリームの上には文旦2房とチャービルをそっとのせて。文旦の皮を捨てずにグレーターでほんの少しすりおろして香りづけを。

生地にサンドしたふわりとした生クリーム、少しの苦味と甘さが立った文旦、爽やかな香りを纏ったチャービルの味の重なりに思わず笑みがこぼれてしまいます。生地の作り方を覚えたら、ぜひ、アレンジメニューに挑戦を。生地作りの材料から砂糖を抜き、おかず系の具材で作ってみても。例えば、サワークリームとベーコン、カレーを巻いてみるなど、取り合わせの妙を探るのも調理の楽しみになりますよ。

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チャービル
セリ科シャク属の一年草。ヨーロッパでは古代ローマ時代に食されるなど、長年親しまれてきたハーブです。甘く爽やかな香りが特徴で、フランス料理によく使われています。パセリよりもマイルドな味で「美食家のためのパセリ」と呼ばれることも。オムレツ、マリネ、パスタ、スープ、タルタルソースなどの香りづけにも好相性です。
 

レシピ 4人分 

クレープ液
・薄力粉85g
・塩ひとつまみ
・きび砂糖10g
・オーツミルク(無糖)45ml
・水110ml

・生クリーム50ml
・きび砂糖2g
・文旦などの柑橘1個
・チャービル適量

[下準備]
生クリームときび砂糖2gを合わせホイップしておく。
文旦の皮を剥き、薄皮と種を取っておく。 ※文旦の皮を最後に削るので1枚取っておく。

 

How to cook

1.クレープ液を作る。ボウルに薄力粉、塩、きび砂糖を入れ、オーツミルク、水も加えてホイッパーでゆっくりすり混ぜたら濾し網でこす。
1.クレープ液を作る。ボウルに薄力粉、塩、きび砂糖を入れ、オーツミルク、水も加えてホイッパーでゆっくりすり混ぜたら濾し網でこす。
2.フライパンを熱し、一度濡れ布巾の上に置いて温度を一定に落ちかせる。
2.フライパンを熱し、一度濡れ布巾の上に置いて温度を一定に落ちかせる。
3. 再びフライパンをコンロに戻し弱火にし、油(分量外)をひいて全体に馴染ませる。クレープ液を流したらすぐにフライパンを回し生地を薄く広げる。鉄のフライパンの場合、片面中弱火で4分〜5分焼き、片面全体にやさしい焦げ色がついてきたら裏返して1分ほど焼く。皿に取り出し粗熱をとる。
3. 再びフライパンをコンロに戻し弱火にし、油(分量外)をひいて全体に馴染ませる。クレープ液を流したらすぐにフライパンを回し生地を薄く広げる。鉄のフライパンの場合、片面中弱火で4分〜5分焼き、片面全体にやさしい焦げ色がついてきたら裏返して1分ほど焼く。皿に取り出し粗熱をとる。
4.「3」の生地にホイップクリームを置き、文旦の実、チャービルをのせ、四方から包んで上からきび砂糖(分量外)をかけ文旦の皮を削って完成。 
4.「3」の生地にホイップクリームを置き、文旦の実、チャービルをのせ、四方から包んで上からきび砂糖(分量外)をかけ文旦の皮を削って完成。 
 
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photo:Hiroko Matsubara edit & text:Seika Yajima
キッチンクロス提供:FLUFFY AND TENDERLY 器:フランスアンティーク


菓子研究家 長田 佳子

レストラン、パティスリーなどでの修業を経て、YAECAフード部門「PLAIN BAKERY」でメニュー開発、お菓子の製造を担う。2015年に独立。〈foodremedies〉という屋号でハーブやスパイスなどを使ったまるでアロマが広がるような、体に素直に響くお菓子を研究している。著書に『季節を味わう癒しのお菓子』(扶桑社)、『全粒粉が香る軽やかなお菓子』(文化出版局)などがある。2021年7月より登録制による動画配信のお菓子教室を開催。

foodremedies.jp

Latest Issue心を揺さぶる、アートの力。2022.06.20 — 880円