〈御菓子丸〉が一皿で表す、京都、寺社仏閣の風景

大慈院に寄せた「転景」。【〈御菓子丸〉が一皿で表す、京都、寺社仏閣の風景 vol.30】October 10, 2026

〈御菓子丸〉が一皿で表す、京都、自社仏閣の風景
〈御菓子丸〉が一皿で表す、京都、自社仏閣の風景
京都で和菓子を制作する〈御菓子丸〉が、四季折々の寺社仏閣の風景を、独創的な菓子と文とで表現。京都の風景に思いを馳せたくなる、美しい一皿を紹介します。
大慈院に寄せた「転景」。【〈御菓子丸〉が一皿で表す、京都、寺社仏閣の風景 vol.30】
 

 京都市北区にある臨済宗大徳寺派の大本山大徳寺。千利休ゆかりの寺ともあり、茶道を日常的に嗜む京都の人々にとってはとても馴染みの深い寺だ。20以上を数える塔頭には坐禅を体験できるところもいくつかあり、なかでも大慈院では夜の坐禅が開催されている。坐禅の方法は様々であるが、ここでは体のストレッチから始まる。夜に寺に入るというだけでも心が休まるが、大慈院の縁側で仰向けになったとき、天地が逆さまになり、軒先に広がる美しい夜空に心が洗われる。風に揺れる木々の気配や虫の声も、次第に体の内側へと入ってくる。

 坐禅とは、自然と自分の境界線がなくなっていくことなのだろうか。大慈院では、夜空と自分の境界線が段々と薄くなっていく。その感覚を、夜空と木々の二層の寒天で構成した。

 夜空にはひんやりと感じるハッカとレモン、木々には蓬とヒノキとクロモジの香りを入れる。口にしたときに二つの層が重なり、自然の香りを体内に入れることで、自分と自然との境界がほどけ、自然に包まれる感覚を得ていただきたいと思う。

『大慈院』京都市北区紫野大徳寺町5 ☎090‒1144‒2355 通常は非公開。夜の坐禅は月1回開催。詳細はhttps://daitokujidaijiin.comで確認を。

photo : Yoshiko Watanabe
*『アンドプレミアム』No.155(2026年11月号)より
*掲載中の菓子は、寺社での提供はありません。


和菓子作家 杉山早陽子

1983年三重県生まれ。老舗和菓子店での修業を経て、2006年から和菓子ユニット〈日菓〉として活躍。2014年から〈御菓子丸〉を主宰している。

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