〈御菓子丸〉が一皿で表す、京都、寺社仏閣の風景

December 08, 2022 天龍寺遠近山〈御菓子丸〉が一皿で表す、京都、寺社仏閣の風景 vol.12

〈御菓子丸〉が一皿で表す、京都、自社仏閣の風景
〈御菓子丸〉が一皿で表す、京都、自社仏閣の風景
 
 
京都で和菓子を制作する〈御菓子丸〉が、四季折々の寺社仏閣の風景を、独創的な菓子と文とで表現。京都の風景に思いを馳せたくなる、美しい一皿を紹介します。
 
 
天龍寺 遠近山 御菓子丸
 

天龍寺
遠近山

 

 嵐山といえば誰もが知る京都の観光名所。何度訪れても、川と山、橋が織りなす風景には魅了される。老若男女がここを楽しそうに歩く様子も相まって、とても幸せな空気が流れる。
 紅葉する山を見立てたお菓子を作りたいと考えたとき、いつか見た天龍寺の庭園が記憶から鮮明に蘇った。曹源池庭園といわれるその庭は池の周囲を回遊できるようになっており、借景として嵐山や亀山が奥に聳える。不思議なのは、この庭から望む山々は、それら単体で眺めるよりも大きいのか小さいのか、何故かわからなくなってしまうこと。庭の風景と比較して山々を眺めてしまうゆえに起こる現象だという。
 この遠近感をお菓子でも感じてもらいたいと、きんとんで山を作った。緑の部分はイチジクの葉のパウダーと抹茶で色付けし、そこにカボチャの餡を植え付ける。夏の名残の緑色と一足早く秋へと向かう黄色、それぞれの色彩がまさに紅葉の山と重なり、小さな嵐山が出来上がった。色づいて深みを増す山を食べたらきっとこんな味だろうという想像から生まれた菓子だ。

 

臨済宗天龍寺派の大本山。 ▷『天龍寺』京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町68 ☎075-881-1235 参拝8時30分〜17時 参拝料500円

photo : Yoshiko Watanabe
*『アンドプレミアム』2023年1月号より。


和菓子作家 杉山早陽子

1983年三重県生まれ。老舗和菓子店での修業を経て、2006年から和菓子ユニット〈日菓〉として活躍。2014年から〈御菓子丸〉を主宰。
Latest Issue楽しく部屋を、整える。2023.01.20 — 920円