〈御菓子丸〉が一皿で表す、京都、寺社仏閣の風景
梅雨の憂鬱を晴らす、雨を模した干菓子。
―京都・東山 高台寺―〈御菓子丸〉が一皿で表す、京都、寺社仏閣の風景 vol.17May 29, 2023


京都で和菓子を制作する〈御菓子丸〉が、四季折々の寺社仏閣の風景を、独創的な菓子と文とで表現。京都の風景に思いを馳せたくなる、美しい一皿を紹介します。

高台寺
緑雨
観光客で賑わう清水にある高台寺は、豊臣秀吉の正室・ねねが秀吉の死後を過ごし、安土桃山文化を色濃く残す寺。敷地には、茶の湯が成立する以前の自由な形式による3つの茶室が構えられている。うちのひとつ、傘亭は、隣接する時雨亭とともに伏見城の遺構といわれ、放射状に竹で組まれた天井の景色からその名が付いた。中に入れば、大きな唐傘の中にいるような錯覚さえ覚える。
また、その茶室の風情はとても簡素なもので、桃山文化の華麗な印象とは程遠い。華やかさで溢れる桃山時代に逆行するように、利休が侘茶を求めたことを思い出せば、高台寺の中にこの茶室が存在することを理解できる。
6月の梅雨時季、この大きな傘の下で食べる菓子はどんなものだろうと想像した。フキの茎の部分を飴がけし、少し乾燥させて干菓子のようにして、雨に見立て真っすぐと仕上げる。鮮やかな黄緑色が美しく残り、噛むとじゅわっとフキの香りが口の中で広がる。雨が続く憂鬱な時季に、この鮮やかな色を目で楽しみ、フキの香りを味わえば、少しは気が晴れそうな気がする。
茶会の開催もある。▷『高台寺』京都市東山区高台寺下河原町526 ☎075-561-9966 拝観9時〜17時30分(17時受付終了) 拝観料600円 無休
photo : Yoshiko Watanabe
*『アンドプレミアム』2023年7月号より。
和菓子作家 杉山早陽子
1983年三重県生まれ。老舗和菓子店での修業を経て、2006年から和菓子ユニット〈日菓〉として活躍。2014年から〈御菓子丸〉を主宰している。













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